japanese_Pull_Saw



日本の木工用鋸が引いて切るのに対し、西洋の鋸は押して切るように出来ています。
どきらのも長所と短所があるのですが、海外の木工家の中には日本の鋸を愛用している人も多く、日本の鋸について語っていました。

関連記事:海外の木工家が語る「日本のノコギリってどう思う?」



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●アメリカ
今持っているノコよりも良いものを買おうと思ってるんだ。
今持っているのはもう数年使っていて(3年)、ノーブランドで良いノコじゃないし、刃も擦り減ってきてるから。
自分のせいだと思わずにはいられないけど、どちらにせよ最高のノコという訳でもなかった。
凄く便利だった時もあったけど。
今持っているのもそうだし、今度も両刃のノコを探してるんだ。
何かお勧めはあるかな?
ブランドとか。
高周波で硬化させた取り換え式の刃じゃなくて研ぎ直しのできるのが良いんだ。

●バンクーバー、ブリティッシュコロンビア州、カナダ
Japanese Traditional Ryoba Saw
japanese_ryoba_saw

↑これとか
今持っているのを”The Japan Woodworker”に送って研ぎ直してもらうってのはどうかな。
(カリフォルニアにあったと思う)

●ポートランド、オレゴン州、アメリカ
(訳注:北米で日本の木工具を取り扱っている企業)

もうちょっと情報を出してアドバイスしようかな。
彼らに電話すればすぐに君のスキル、普段の工程、木の種類等から最適な工具を選ぶ助けをしてくれると思うとはいえ、良い値段の物は見つけられても良い情報を持った人達を見つけられるかどうかは疑問かな。

●カナダ
IRWIN TOOLSをチェックしてみてくれ。

●アメリカ(スレ主)
日本で最も有名な鋸製作一族の1つで、最高の鋸製作家と呼ばれている光川の鋸を買ったよ。
鋸についてリサーチするまで、彼の名前は聞いた事もなかった。
凄く才能ある人物らしいね。
彼はほぼ全て手仕事でノコを作るらしいんだ。
カットから研ぎ、刃を立てる所まで。
もし日本のノコを試してみたくなった人がいたら、ここで知ることが出来るよ。
もうちょっと質問してみてもいいかな。
工具を単に必要に駆られて買うんじゃなくて、良い工具が好きだから欲しくなるっていう人はいないかな?
単により使い勝手が良いというだけじゃなくて、本当に上手く作られていて手に入れられる最高の工具を自分の物にするというのは何か満足感を覚えるんだよ。

●アナコルテス、ワシントン州、アメリカ
個人的な経験から言わせてもらうと、再研磨できるノコは高周波焼き入れした物よりも使い勝手が良くないんだよな。
ジグソーとかバンドソーは研ぎ直さないだろ?
工場で研いだフレッシュな刃の方が、研ぐのに掛ける時間当たりの金額よりも安く済むし。

●バンクーバー、ブリティッシュコロンビア州、カナダ
>工具を単に必要に駆られて買うんじゃなくて、良い工具が好きだから欲しくなるっていう人はいないかな?
いやー、そういうのをたくさん持ってるよ。
20年前に買って一度も使ってないのとかね。
自分はツールジャンキーなんだな。
斧だけで船や家を作ってしまう職人を尊敬するよ。
問題に遭遇した時に工具が無くてもなんとかして解決できるような自分になりたいんだけどね。
私の義妹の父親は1902年の日本に生まれたんだ。
まだ木工に興味を持つ前に、彼が日本から送ってもらったおかしな形のノコや鉋を使って仕事をしてるのを見ていたよ。
日本の工具が人気になる前の話だ。
彼は1ダース程度の工具しか持っていなかったけど、凄いスピードで仕事をしていたな。
霞んで見える位だった。
良いツールを買うのは、女性がジュエリーを買うようなものだね。
欲しいから買うんであって、必要だからじゃないんだ。

●アメリカ(スレ主)
↑サンクス。
気分が良くなったよ。
妻に自分の気持ちをどう説明していいか分からなかったけど、これならいけそうだ。

●オリエンタル、ノースカロライナ州、アメリカ
自分は西洋スタイルのノコよりも日本のノコの方が好きだな。
両刃は色々と幅広く切れる良いノコだけど、自分は背金(刃の峰部分に付けられた補強材)にあたる限界までどんなものも胴付鋸で切ってしまうかな。
あり継ぎもこれで切っちゃうよ。
Azibiki(鯵挽?)は板の一部分を切るためのノコだね。

azihiki_saw
 
他のノコよりも刃が厚くて固いんだ。
自分はHighland Hardwareの中級グレードのノコを買ってるよ。
良い仕事をしてくれるし、刃がかけても泣かずに済むからね。

●ポート・タウンセンド、ワシントン州、アメリカ
日本のカーペンターである完全に修復を行う職人は21種類以上のノコを工具として持っているらしい。
コレクションマニアという訳じゃなくて、使う木によってそれぞれ研ぎ方を変えていて、それぞれの作業で最も効果的なノコを使うためなんだ。
柔らかい木には3層の角度が付いた刃のノコと、それとハンマーを使って刃の間に挟まった切り子を効率的に排出するようにしてるんだよ。
同様に、固い木にはねずみ刃というノコを使う。
これは西洋のクロスカットと同じような形状をしてるんだ。
ちなみに、ハードウッド用のノコは木との摩擦を減らすために1cmあたりの刃の数が少なくなっているから、ロッキングチェアの揺り子を作るのにも最適だったりする。
ノコギリは踵から先端にかけて刃がテーパーになっていて、断面がわずかに砂時計のような形をしているのが高品質なノコギリなんだ。
ついでに言うと、切れる刃はストロークの開始点となる踵の部分で、先端に行くにつれて大きなサイズになっていく。
最高級の刃は三層構造になっていて、毎日使っていても年に1回くらい研ぐだけで良いんだ。
鋸の研ぎ師に研いでもらう必要があるけどね。
残念ながら、アメリカにはその要求を満たせる人がいないから日本に送るしかないんだけど。
送って帰ってくるのに三週間から四週間掛かるよ。
素性の知れない木や、金具がついてるような木を切る時は替え刃式のノコを何丁か持っていた方が賢明だろうね。

●バラード、シアトル、ワシントン州、アメリカ
(日本の)レザーソー工業のノコをちょっとだけコレクションしてるんだ。
切れ味が良いし、自分が買える値段だからね。
自分にとってのハンドツールはテニスのラケット、野球のバットみたいなものだね。
手に馴染めば、上手く使える自信が出てくるし、そこから出来るものも良いものになるという訳。
自分としてはまず目的別に50~60ドルのノコを数丁買って、使い心地を見てみるかな。
もし違和感があったら、更に買う必要が出てくるという感じで。

●シーベック、ワシントン州、アメリカ
自分のは日本のノコについてではないけど、日本のノコは木の種類によって刃や胴の形状が違うというのは共感が持てるし興味深いね。
別の掲示板だと、ヘンリー・ディストン(西洋の背中部分がテーパーになったノコを発明した人物)はきちんと素材に合わせたテーパーのノコを使えば、2x4(38mmx89mm)の木を3ストロークで切れたと言っている人もいたよ。
私はヘンリーのようなノコ使いではないから、ヘンリーの時代のサイズの2x4の米松をノコで切った時は夏だったこともあって非常に苦労したね。
だから私は異なるピッチのノコでどの位のストロークで切れたのか数えてみたんだ。

push_saw1
 
push_saw2

ソフトウッド用の7PPI(1インチあたりに刃が7つ)のノコより細かい刃は乾燥したハードウッド用だから良い結果にならなかったけど、ノコの種類によって大体同じ結果になる事は分かると思う。

結論はどうかって?
ヘンリーの(3ストローク)は多分間違って引用されたんだな。

●カリフォルニア州、アメリカ
個人的に、日本の引き刃ノコは(西洋の)ノコの使い方を勉強していない人向けだと思ってる。

●ポート・タウンセンド、ワシントン州、アメリカ
↑異なる意見があるのは良い事だけど、自分としては西洋のノコを完全に使いこなし、メンテナンス出来る人間だけが日本のノコや木工具の持つ洗練さや巧妙さを高く評価していると思うんだ。
ま、どんなに良い工具を使おうとも”日曜大工の作るものは日曜大工的な物にしかならない”って事で。

私はこれまでのツールコレクションから、なるべく不必要な工具は買わないようにしているよ。
日本の小さな鉋をコレクションしてるんだけど、モデルを作るのに使う事が多いね。
細かな作業をするのに凄く向いてるんだ。

(日本の)ノコや鑿は複雑な建具を作るのに素晴らしい精度を出してくれるよ。

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●カリフォルニア州、アメリカ
↑実にいい仕事をしているね。
数日前、こういう鉋をバークレーにあるHida Toolで見かけたけど、1個80ドル位だったよ。

●ポート・タウンセンド、ワシントン州、アメリカ
私は鉋を1度で全部揃えたわけじゃないんだ。
何年もかけてフルセットにしたのさ。
幸運な事に、当時は1個30ドルもしなかったね。
30年前は今と同じくらい財布を破壊する価格だったけど。
この鉋が手作業で作られていて、作っているのはただ1人でもうかなりの高齢である事を考えれば、過去の物になる前に覚悟を決めて幾つか持っていた方が良いかもしれないよ。
これは大きな鉋と同じように調整が必要だという事を心に留めておいてくれ。

●不明
マイツールを愛用してはいるけど、例え十分にツールを持っていても他のツールが欲しくなってしまうんだよな。
最近は日本の良いノコを買う前にちょっと試しにと安い引き刃のノコを買ってしまったよ。
自分が普段使っているハンドソーよりも扱いが難しい事に気づいたね。
今のところは自分が以前から持っているノコ程の価値があるかどうかは分からないな。

●ポート・タウンセンド、ワシントン州、アメリカ
なんで私が日本の木工具に興味を持ったのか、ちょっと説明させてもらおうかな。
40余数年前、私は野生写真家のJim Dutcherのために50フィート(約15m)の双胴船を作ったことがあるんだ。
そのプロジェクトでは10人の職人が働いていた。
その時、時々カリフォルニアで仕事をしていた日本の宮大工がそのプロジェクトに加えてもらえないだろうかと聞いてきたんだ。
Tadaski Okomoto(オカモト・タダシ?)は次の日、Tシャツ地の生地に包んだ普通の工具箱を持ってやってきた。
中に入っていた鑿、丸鑿、ノコ、鉋は我々には全く馴染みのない物だったよ。
その時、私はシンプルなキャビネットと引き出しを図面通りに作ろうとしていた。
初日の彼の主な不満は図面の読み方についてで、日本では常に中心から外に向かって寸法を出しているのに対して我々は単純に1つの方向から距離を測る方法だったからだ。
私はすぐに彼が他の職人よりも早く、そして正確に仕事ができる事に気づいたよ。
こうして私は彼の頭脳を頼るようになり、今まで考えた事もなかった木工世界の精密さの魅力を知る事になったんだ。
タダシは私に引き切りするノコギリの感覚や水砥石、鉋の調整方法や墨壺、竹ペンや指し金の使い方を教えてくれたよ。
今では西洋の工具を使う事の方が稀になっている位だ。

●フロリダ州、カリフォルニア州、アメリカ
日本のノコは格別だね。
適切なノコかどうかは、まずハンドルを見る事かな。
次がサイズと刃の細かさ。
日本のノコのハンドルは切った溝がノコ自身の動きのテンプレートになるまでのノコの制御を行う意味があるんだ。
引く時に溝の切り子を取ろうとしたり、本来は引く時に切るもので体重を掛けなくてもいいのに押す時に切ろうと力を入れるせいで、切れ目を入れる事が出来ない人もいるね。
実際にはビリヤードのキューを木口で操るように指先でハンドルを握って、素早く切ることが出来るんだけどね。
よく切れる刃は、刃自身の重みだけで木を切っていくことが出来るんだ。
経験豊富なシェフのように、指の爪先で刃を操作して細く切る事だって出来る。
日本のノコは刃全体で切るようになっていて、先端は切り子を掻き出すように刃が大きくなっているんだ。
自分はボートを作る時にお隣に迷惑を掛けないように電動工具は使わないようにしてるんで結果として両刃のノコを選ぶ事になったよ。
これ無しは考えられないし、もし1つだけ選べと言われたら両刃ノコを選ぶだろうな。





日本でも金ノコは押し切りですが、西洋の場合硬い木が多いから押し切りノコが主流になったのでしょうか。