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日本の狐は民話や神話において時には人を騙し、時には福をもたらす存在として登場しています。
海外のサイトで日本の狐を紹介していました。

※翻訳の都合上、神話に登場してくるものをキツネ、動物の方を狐としています。



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神話と狐は私を魅了してやまない2つの事柄なのですが、キツネにはその2つがブレンドされています。
日本の文化では魔法と動物について西洋とは異なった見方をしています。
西洋人の眼には超常的だったり超自然的な属性を持った動物と映りますが、日本では動物達が本来持ち合わせている特徴の1つとなっているのです。
そしてそれは日本で狐、キツネと呼ばれている動物にもあります。

私が初めてキツネと出会ったのは地元の図書館の児童書のセクションで借りてきたRobin Palmer作の『Dragons, Unicorns and Other Magical Beasts』という本の中ででした。
キツネについては少ししか触れておらず、ソースも同意できるものではありませんでしたが私は魔法の生物の辞典であり昔話がたくさん入っていたその本が好きで何度も借りていました。

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■日本の民話の中のキツネ
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狐は世界中の民話に登場しており、アメリカのブレア・フォックス(wikipedia)、イギリスのトッド(wikipedia)等そこからインスパイアした近代のフィクションもあり、日本にもキツネが出てくる様々な民話があります。
キツネは賢く、年を取るごとに知恵を持ち、尾が9つに別れたりもします。
そして攻撃から身を護るために尾から火を放つ事もあるのです。
しかし主となる能力は自分の姿形を変える事です。
狼男など形状が変化する他の民話とは違い、人が動物になるのとは逆にキツネが人となるのです。
キツネは若くて魅力的な女性に化けて男の人を騙すのが好きなのです。
キツネの中には本当に男性を好きになって一緒に住むようになる事もありますが、ほとんどの場合は単に騙すだけです。
キツネが人間の姿になる時は葦や水草の葉、あるいは人間の頭蓋骨を頭に乗せます。
キツネは若い女性に乗り移る事もあり、これはキツネ憑きと呼ばれています。
20世紀になるまで、日本では精神病をこう呼ぶ事がよくありました。


■稲荷の白狐
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キツネの中には日本では重要な食物であるお米を司る神道の神、稲荷に使えている者もいます。
稲荷信仰は少なくとも6世紀まで遡ることが出来ます。
このキツネは日本で幸運の色とされている白色で、神からのメッセンジャーという役割を持っています。
キツネ達は稲荷信仰と密接に繋がっており、時にはキツネ自身に供物が供えられることもあります。
それ故に、多くの稲荷神社にはキツネの像が立てられていて、この写真を撮った伏見稲荷ではキツネは自分達のための神殿すらあるのです。
白狐は悪を払う守護者となる事もあります。
人を騙して困らせるキツネを追い払うのも彼らの仕事の1つなのです。


■狐火
キツネは防御用の武器として尾から火を放つことがありますが、石燕の描いたこの絵のキツネは西洋の竜のように口から火を吹いています。
これが狐火というキツネが夜に生み出す火で、山奥ではしばしば複数で共同して輝く火の行列を作る事があります。
絵の中でも遠くの丘の上で他のキツネが同じことをしているのが描かれています。
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キツネ達が毎年共同で火を作り出すイベントは大晦日です。
キツネ達は当時は田舎だった東京の王子という場所にあった榎の元にに集まっていたという事です。
(安藤)歌川広重は1856~1859年にかけてその様子を絵に描いています。
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■日本文学におけるキツネ
民話による止まないキツネへの関心によってフィクションもゆっくりと育ってきました。
1004~1077年にかけて生きていた宇治大納言とも呼ばれていた源隆国は今昔物語という大作の多くを書いたと考えられています。
(訳注:現在は否定説が有力:wikipedia:源隆国
今昔物語にはインド・中国・日本の物語が集められています。
様々な生物が登場しており、その中にはキツネが登場する話もたくさんあり、中には人間と結婚した話も含まれています。
それらの物語に味を添えるためにも1つの物語をサンプルとして紹介します。

ある晩、下級仕官の妻が急な用事が出来たと家を出ていきました。
妻がすぐに戻ってきたので夫は安堵しましたが、それは別の女が到着した事により警報へと変わってしまいます。
2人の女は背格好から着ている服、顔まで全く同じだったからです。
彼はすぐに片方はキツネが化けているのだと気付きます。
しかし、どうやって見分けたらいいのか?

しばし考えた後、彼はおもむろに刀を抜くと2番目に来た女に突き付けました。
しかし、その女は妻の声で夫は気が触れたのだと泣き出します。
それから彼が最初の女に振り返ると、彼女は助けてくれと泣き叫びました。
何かを不審に思った彼は最初に来た女の腕を掴むと彼女はキツネの姿に戻り、彼に小便をひっかけるて男を仰天させ、逃げおおせたのです。



■西洋のフィクションに登場するキツネ
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近年ではキツネを主題とする話を書いている作家もいます。
よく知られているのが20世紀前半に人気だったファンタジー作家のエイブラハム・メリットです。
残念ながら彼が書いた、暴力的な男から逃げるためにキツネを祀った神社に避難した妊婦を描いた『Fox Woman』は未完となっています。
インターネットで読むこともでき、ハネス・ボクが完結させてもいますが、私はこのバージョンが成功したとは思っていません。

(キツネの)ルールにこだわらずにアイディアを使っている作家もいます。
1922年に賞を取ったデイヴィッド・ガーネットの『狐になった奥様』は森の中を歩いていると突如狐になってしまった女性の話です。
彼女は人間のように振る舞おうとしますが、野生の本能が徐々に姿を現していき、最終的には狐の子供を産んでしまいます。



●kajohu
キツネについては前に聞いた事があるけど、おおよその部分は全然知らなかったな。
狐の民話も含めて凄く楽しかったし勉強になったよ。

●不明
これを見るまで誤解してたのに気づかなかった。
教えてくれてありがとう!

●Lovelifelaughter
名前は聞いた事あるけど、どういう物かは知らなかったな。

●BrandonCase
日本は大好きなんだけど、日本の民話も凄く魅力的なんだね。
近代で狐を題材にした作品だと、九尾の狐を自分の体内に封印した忍者の少年の話である『NARUTO』もあるね。
アニメに興味があるなら、これは素晴らしいシリーズだよ。
(西洋だとカートゥーンと思われがちだけど、日本ではゴールデンタイムに放映されてるし西洋のものよりも洗練されていて深みがあるんだ)

●Aunt-Mollie
狐が出てくる民話は大好きだし、自分も作品を書いてるよ。
イタズラ好きの狐は色んな文化の民話に登場してるよね。

●Dewines
キツネという言葉は聞いた事があるけど、どういう意味かは知らなかったよ。

●不明
キツネについても、日本の民話における彼らの立ち位置も知らなかった。
狐について知ってる事と言えば、鼠の天敵としてイギリスの経済に大きな役割を果たしているという位だったよ。
悲しい事に厄介者と見られている事が多いんだけど。

●peterduck
↑サンクス。
私もイギリス出身だから狐から自分達の飼っている鶏を護ろうとしている人達に共感はしてるんだけど、狐は鼠を追い払ってもいるんだよね。
特に鉄道の線路沿いに民家に侵入していくのを。

●flycatcher
魅力的な伝承だったよ。
幾つかは知ってたけど『狐になった奥様』はちょっと気付くところがあったな。
クロアチアだかどこかに似たような話があったと思うんだ。
ま、深く考えるとおかしくなるからいいけど。
ともあれ、シェアしてくれてありがとう!

●seenamary
日本は何もかもが興味深いね。
こういう記事をもっと読みたいな。

●ifancythat
子供の頃、吹き替えされた日本のドラマを見てたよ。
素晴らしい記事だった。

●fanfreluche
キツネについての興味深い記事をありがとう。

●LindaJM
面白かった!
キツネの物語はずっと前に読んだ事があるんだけど、日本の民話でキツネが魔法の力を使うと知られていたり、キツネを祀った神社があるのは知らなかったな。

●gadgetbuff
キツネの話が凄く興味深かったよ。



狐が登場する民話、物語は世界中に存在しますが、それだけ狐の生活圏と人間の生活圏が近かったという事でしょうか。
基本的にはずる賢いというイメージが付きまとっており、日本でも人を化かす存在ですが同時に人を助けたり神の使いにもなるのが日本的な所でしょうか。


おまけ:
アラスカの民間伝承をベースにした少女と白狐のアクションゲーム