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カスタムナイフの世界は欧米が主流ですが、日本にも世界的に知られたナイフメーカーが数多く存在します。
その中の一人、中山英俊氏は研ぎ師として働きながら根付とカスタムナイフメイキングを学び、それらを組み合わせた独自の世界を作り上げて日本のみならず世界で高い評価を得ています。

中山英俊
(根付師/カスタムナイフメイカー)

江戸時代からの名店「日本橋木屋」にて研師として働きながらも、根付を「斉藤保房」氏から、カスタムナイフメイキングの技術を「上釜信行」氏から学び、両師が驚く程の上達速度で修業を終えた中山英俊氏。
日本の伝統工芸である根付とカスタムナイフの技術を組み合わせ、他に類を見ないカスタムナイフメイカーとなった彼の作品は、カスタムナイフの世界に大きな衝撃を与える事になった。
現在では世界のナイフメイカー100選にも選ばれ、パリやニューヨークを筆頭とした、世界中のナイフショーに出展すると即日完売してしまう程の人気メイカーとなっている。
その顧客は10カ国以上にも及び、国内の名立たる刀匠や彫金師との親交も厚く、世界中の様々なアーティストにも彼の作品は賛辞され、デザイナーのマークニューソンやハリウッド俳優のジェイソンベアー、MR.BIGのポールギルバート、ギタリストのスティーブバイ、グレッグハウ、スターリンギアのリックマーべリック、BWLのビルウォール等言い出したらキリがないが、ロシアやサウジアラビアの某富豪も彼の作品の大ファンである。
引用元:MARGINAL

中山英俊氏のナイフに対する海外の反応です。(※以下敬称略)


引用元:britishblades.com


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●パリ、フランス
私が中山英俊の作品を追いかけるようになってもう2年になるんだ。
最初に彼の事を知ったのはアメリカのカスタムナイフのウェブサイトでだった。
ネットを巡回していて、ずば抜けたナイフメイキング技術と、日本の伝統を洗練させた芸術ともいえる根付をブレンドした、彼の独特で魅力的な作品に出会ったんだ。
遂に私が橋を渡る決心をして彼のナイフを買おうとした時、いつもの返答に行き当たる事になったんだが。
即ち、” not available(販売してません)”
6月に私は彼のウェブサイトを見つけてメールを通じて彼にコンタクトを取り、ナイフを注文してみた。
私のメールに完璧な英語で答えてくれたこの若いジェントルマンは、3か月後に開催される夢のSICAC(パリ・ナイフショー)でナイフを提供してくれると言ってくれた。
一切の躊躇なくイエスと答えたよ。


そして9月26日、私は自分のナイフコレクションを携え、作者に会うためにパリ・ナイフショーに向かったんだ。
ナイフは全く失望するところが無かった。
それどころか、(自分にとっては)以前に(ネットの)写真で見た彼のナイフよりも美しい位だったよ。

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これは中山英俊の象徴的なモデルの1つとなるスリップジョイントの小型フォールディングナイフ(折り畳み式ナイフ)で、D2鋼のブレードと小さなヤモリが留まっている古い竹のハンドルで出来ている。

個人的に、あくまで自分の視点で彼の作品を見るなら、中山英俊はただナイフを作るだけではなく、それは彫刻でもあると思う。
明らかな事ではあるけれど、私が”彫刻”と言ったのは単にハンドルの部分だけでなく、ナイフ全体の事であって、これは見た目以上に絶妙なんだ。
私が手にしたこのナイフは単なるナイフではなく、ナイフとして作られた緻密なディティールが施されたリアリティのある小さな彫刻なんだよ。
これは既に”生命”を持った古いナイフの彫刻とでも言おうか。

彼のサイトでは彼が象牙や木などで作った同じようなコンセプトの、”騙し絵”的なエフェクト以上に本物と見分けがつかないようなリアリズムを持った栗や落花生の根付を見る事もできるよ。

これはまるでハンドルにやってきた訪問者がそのまま彫刻されてしまったかのようだね。
あたかも彼がナイフを作るために竹を切ってきたかのようで、ついている傷も自然についたものみたいだ。
芸術家として、彼はおそらく夏の温かい夜に見かけたであろうヤモリの彫刻を追加したのだろう。
彼は最大級のリアリズムでもって爬虫類の持つ肌の質感を木に彫り込み、解剖学的な細かなディティールで彫刻を行っている。
しかも野牛の角と金毛の山羊の角で作った小さな眼は光に輝き、まるで飛びかかろうととしているみたいだ。

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ハンドルの大きさから見てこれは本物の竹を使っているように見える。
でも、これは柘植の木で出来てるんだ。
(竹で作った場合に出来る)裂け目だって見える。
ピンの周りにはストレスラインができているし、エッジはちょっと欠けているよね。
全てこのナイフが以前から使われていたと見せるために中山英俊があえてつけたものなんだよ。

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今度は刃を見てみよう。
化学処理でもってまるで何年も使い込んできた刃のようになっている。
形状だって、まるで何度も何度も研がれてきたみたいに見えないか?
しかも刃先は一度欠けて、リペアしたようにも見えるんだ。
それでいて刃のラインは滑らかで、近代的なデザインでもある。

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自分にとってこのナイフは真に詩的な一品で、世界中の古いナイフのトリビュートになっているようで、そして中山英俊は本物のアーティストだと思う。
このナイフを見ていると、自分の想像力が彷徨っていくんだ。
竹林を通る風の音が聞こえてきて、自分がその場所を訪れて目の前に風景が広がっているようだよ。

でも、これは実に良く出来たナイフでもある。
メカニズムは完璧に調整されていて、最高級の出来だ。
バネには竹のような彫刻が施されていて、刃の背中にも同じ模様があるからまるで完全に一体化しているようだったりと、エレガンスでディテールに富んでいる。

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ヤモリについては、一見ハンドルには奇妙なように感じるかもしれないけど、実際には全然気にならないよ。
掌側にはならないからナイフを持つ妨げにはならないんだね。

ヤモリの頭が人差し指と中指の間に来るから実際には持ちやすくなる位だよ。

切れ味はどうかって?
もちろん(D2鋼だし)凄く良いよ。
でも、サイズが小さいから鉛筆を削ったり、紙を切ったり、果物の皮を剝いたりといった小間使い用になるかな。

自分の意見は客観的ではないけどね(笑)

●イギリス
ワオ。
これはちょっと特別だな。

●アバディーン、イギリス
峰とバネのこしらえは今まで見てきた中で最もシンプルで美しいものだな。
君の人生に新たな芸術を迎えた事におめでとうを贈るよ。

●ケープタウン、南アフリカ
良いね。
シェアしてくれてありがとう。
本当に素晴らしい芸術品だし、手に入れた事を誇りに思えるだろうな。

●スティールビル、ミズーリ州、アメリカ
信じられないようなナイフだな。
自分も日本のナイフ職人は新人から古参まで追いかけてるんだけど、彫金となると彼らが最高だね。
彼らが過去に作った物には本当に素晴らしいものがあるんだ。
5~6種類の海の生き物をモチーフにした短刀の写真を見た事もあるよ。

●北部アイルランド、イギリス
これは本当に美しいな。
誇らしくなるだろうね。

●ウルグアイ
マーベラス。
何とも目に美しいね!!
審美的に完璧だよ!!

●イーストデヴォン、イギリス
>峰とバネのこしらえは今まで見てきた中で最もシンプルで美しいものだな。
同じことを思ったよ。
見事な外観だ。

●ベルギー
凄く良いな。
でも、自分としてはヤモリは無い方が好きかな。

●オランダ
凄く良い写真だった!

●サウスデヴォン、イギリス
ファンタスティック。
何から何までオリジナルで、珍しくて美しいね。
作者の事を紹介してくれてありがとう。
初めて聞いたよ!

●エセックス、イギリス
ワオ、これはアメージングなリトルナイフだ。
君は幸運な奴だな。
君のコレクションの続きを見るのが待ちきれないよ。
見せてくれてありがとう。

●ロンドン、イギリス
マナが宿ってるな。
刃の色が良いね。
でも、ヤモリを壊さないかとちょっと心配になるかも。

●ケント、イギリス
楽しげで実用的な芸術品だね。

●パリ、フランス
>でも、ヤモリを壊さないかとちょっと心配になるかも。
その気持ちは分かる。
でも、私はもっと実用的なナイフも持ってるからね。
今の所このナイフは想像力を羽ばたかせるために使ってるんだ。

●ミッチャム、サーレイ、イギリス
床に落ちた顎が戻ってくるまでにしばらくかかりそうだ。
ワオ、何とも素晴らしい芸術作品だな。

●ミッチャム、イギリス
本当に本当に素晴らしいナイフ/芸術品だね。

●アイオワ州、アメリカ
凄く良いね。
本物のアートだ。
気に入ったよ。

●パリ、フランス
みんな中山英俊の作品を楽しんでいるみたいだし、ここで写真を追加しようかな。
このナイフを注文した時に作ってる最中の写真を撮ってくれないだろうかと聞いてみたんだ。
彼は私の願いを聞き入れてくれて、その様子を贈ってくれたよ。
これでナイフが誕生する様子を見れると思う。
コメントは必要ないよね。
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●イーストデヴォン、イギリス
お見事。

●ケント、イギリス
写真もナイフも美しいな。

●香港
この男は本物の芸術家だ。
良ければ値段を教えてくれないかな?

●パリ、フランス
↑私のナイフは500ユーロだったよ。
(訳注:当時の相場で約6万6000円。多分間違えている?)

●ラルゴ、フロリダ州、アメリカ
凄い出来だ。
信じられない位美しいな。

●イングランド、イギリス
言葉も出ない…
ワオ。

●パリ、フランス
みんな中山英俊の作品を気に入ってくれたみたいだし、彼の他の作品でも。
他のウェブサイトで売っている物だよ。
それぞれの作品の詳細は知らないけど、彼の場合基本的に刃はD2鋼、ハンドルは柘植か象牙を使ってるね。

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●ロンドン、イギリス
アメージングな作品だな。

●グダンスク、ポーランド
ワオ、凄く良いね!





実は氏の作品はとあるナイフショーで見かけて一目惚れしていつか記事にしようと思っていました。
ナイフも確かに見事なのですが、自分としては根付が特に素晴らしい。
コメントでもありましたが、落花生の根付は彫刻だと気付かずに普通に(ああ、落花生を根付にしたのね)と思っていた位で。
↓こんな感じ
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ちなみに他の作品で紹介しているナイフの木の枝も皮の部分は彫刻で掘り出したものです。




KNiFE (ナイフ) マガジン 2014年 06月号 [雑誌]
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