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先日、日立製作所は使用済み核燃料を燃料に出来る資源再利用型沸騰水型軽水炉(RBWR)の開発に着手すると発表しました。
使用済み核燃料は天然ウランと同じ程度まで減衰するのに約10万年かかると言われていますが、この原子炉を使えば300年程度にまで短縮できるとの事。
使用済み核燃料を燃料とするのは高速増殖炉もんじゅを改造するという構想もありますが、高速増殖炉は液体ナトリウムで冷却するのに対し、RBWRは既存の原発の発展形であるため水を冷却材に使えるとの事。

順調に開発が進めば2030年代には実用化が期待できるそうです。





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●geekoid
良いね。
こういう事をする会社ってもっと増えないのかな?

●perpenso
↑国の研究機関を忘れちゃいけない。
アメリカ政府が政治利益団体に入れ知恵をされてこういう研究をストップさせなければ良いんだけどな。

●calidoscope
この原子炉のデザインは以前に国主導の原子炉テストを行っていたINEL(アイダホ原子力工学研究所)の一体型高速炉と言われていたEBR-IIにちょっと似てる。
そのプログラムは1990年代にストップさせられたけど。

●tomhath
ジミー・カーターが全ての再処理をストップさせたんだ。
彼の決定は近視眼的で入れ知恵されたものだったけど、少なくとも”使用済み核燃料”と呼ばれているものは禁止が解除されたらすぐに燃料に使うことが出来るよ。

●LWATCDR
これは目新しいって訳でもない。
ここ何十年でこういう設計の原子炉は幾つもテストされてきたからね。
それに燃料再処理プロセスはこれと同じことをしてる訳だし。
これだと半減期の短い高放射性物質が少量残るんだ。
残った物質は研究に使う事もできるし、原子力電池の燃料にもできるね。

●Applehu Akbar
日本が自分達の使用済み核燃料を使う分には問題ないと思うな。
もしこれが上手くいったら他の国もこぞってこの原子炉を欲しがると思う。
なんでアメリカやロシアはこれが重要じゃないと考えてるんだろうか。

●melstav
↑むしろ他の国は日本に使用済み核燃料を送るようになるんじゃ。
自国で処理と日本へ輸出の両方をやると思うけど。

●theshowmecanuck
>なんでアメリカやロシアはこれが重要じゃないと考えてるんだろうか。
ロシアとアメリカだけが原子力発電所を持ってる訳じゃないから
というか世界最大の原子力発電所はカナダのブルース原子力発電所だ。
(訳注:現在稼働はしていないが柏崎刈羽原子力発電所が世界最大の原子力発電所)

●rwise2112
CANDU炉(wikipedia)はもうすでに他の原子炉から出てきた使用済み核燃料を使ってるんだよな。

●Anonymous Coward(臆病な名無しさん)
日立!!

●fragfoo
更に強力な原子力の魔法の杖(発電所)を作るという事か。

●Tinsoldier314
使用済み核燃料の問題はLFTR(トリウム炉)が解決してなかったっけ?

●brambus
↑トリウム炉が増殖サイクルを出来るとは思えないな。
中性子損失マージンがかなり薄いから、ほとんどの設計がプルトニウム238抽出ステップを目的にしてるし。
燃焼サイクルには良いかもしれないけど、高速炉は中性子に余裕がないと駄目だからね。
 
●Cyberax
中性子束(一定の空間を占める中性子の流れ)が強かったら核廃棄物を燃焼させられるんじゃ。
(例えば半減期の短い放射性同位体に変移するまで照射し続けるとか)
残念ながら転用可能な中性子バランスをもった高速炉は1基しかないけど。

●quax
こういう事を出来る設計の原子炉は1つだけじゃないし、自分はベルギーのMYRRHA計画(加速器駆動未臨界炉(wikipedia))の方が良いかな。

●Cyberax
↑安全じゃないという以外はね。
これは未臨界なのに大量の燃料が含まれてるから、冷却材が損失した時は残った放射性廃棄物で起こす以上のメルトダウンを引き起こすかもしれない。

●Gliscameria
放射性廃棄物の問題は廃棄物量の規模を大いに誤解してる人がいる事だな
これは山ほどという訳じゃなくて、せいぜい10万トン以下の話だ。
それをほぼ永久に保管するというビッグプロジェクトもある。
ユッカマウンテン放射性廃棄物処分場(wikipedia)は失敗させたがっていた人がいたせいで中止に追い込まれたんだ。

●Anonymous Coward(臆病な名無しさん)
↑いや、放射性廃棄物の問題は、それに廃棄物のラベルを張ろうとしてる人がいる事が問題なんだ。
これは放射性廃棄物じゃなくて未使用の核燃料なんだよ。
何にもならない無意味で巨大な施設を作るのは馬鹿げた事だよ。
誰も核廃棄物を移動する事なんかない。
というかそもそもこれは燃料であって最初から廃棄物じゃないんだ。
溶融塩原子炉という言葉を聞いた事はないか?
一番有名なのはカーク・ソレンセンによって提言されたLFTR(トリウム炉)というものだったと思う。
このタイプの原子炉は核廃棄物を燃焼させるけど大気圧下で行うから安全なんだ。
同じ場所に溶融塩原子炉を作れば燃料をどこかに移動する必要なんかなくなるし、危険な水ベースの原子炉を使用停止して安全な溶融塩原子炉を稼働させればいいんだ。
日立の設計はちょっとおかしいからこの記事は混乱するな。
これだと加圧した水を使ってるから色んな問題が出てくる気がする。

●PPH
核廃棄物の問題はどういう意見を持っているかという点だな。
再処理は邪悪で長期間危険な廃棄物を生み出し、原子力発電は結局不経済だと叫ぶかどうか。
多分最初から頭の中にそれがある人もいると思う。

●macpacheco
ウラン238は中性子を吸収してネプツニウム239になり、その後崩壊してプルトニウム239になる。
プルトニウム239が中性子を吸収して核分裂する可能性は3分の2。
それに水は中性子を吸収する性質もある。
超ウラン元素燃焼に水やヘリウムを冷却材に使った物が無くて、常にナトリウム、鉛、溶融塩を冷却材にしたものばかりなのも不思議じゃないな。

しかし不思議なのは日立は既にS-PRISMという超ウラン元素を燃焼させる炉の設計をしてたはずなんだ。
(GE日立ニュークリア・エナジーで)
ナトリウム冷却高速炉はちゃんと動く事で知れてるはずなんだけど。

●Albinoman
これは良いね。
今の技術なら核融合よりも実用的だと思う。
これは既存の技術を踏まえながら化石燃料の使用を低減させていく方法だと思うよ。
乗った!

●iamacat
太陽光や風力の持つ不安定という問題を回避できるクリーンエネルギーは我々が待ち望んでいたものだな。
最悪な気候変動が来てる時代だし、世界中の政府はそのために税金を使って欲しいよ。

●Tumbleweed
日立は日が立ち上るという意味だよ。

●GuB-42
放射性廃棄物を燃焼させる原子炉って高速増殖炉じゃなかったっけ?
出来るんだけど作られてないとか。
例えばフランスのスーパーフェニックス高速増殖炉は技術的な問題は合ったものの商業利用はできたはずなのに政治的理由で廃炉になったよね。

●Jim Sadler
多分自分の勘違いだろうけど、似た考えはカーター政権下に潜在的な危険があるという事で中止されてなかったっけ?

●mrbill1234
フランスは30年前にやってるけどな。(wikipedia) 

●kriston
アメリカの問題は核廃棄物を再処理できない事なんだ。
イギリスやヨーロッパじゃ数十年間産業規模で行われてるのに。
アメリカの場合は核不拡散の名目で商用原子炉の燃料を再処理する事は許可されないんだ。
この記事自体は特に目新しい物でもないかな。
1960年代から再処理に関してはみんな知ってたわけで。
この記事の”ニュース”となる部分はアメリカがしっかりと実証された工業規模の再処理施設を自国の原子炉に取り入れる時が来たという所だ。
カナダですらやっている事なのに、アメリカの原子力エネルギー方針は本当に恥ずかしくなってくるよ。

●careysub
↑いや、どんな企業でも再処理施設を作ることは出来るよ。
ライセンスを申請して料金を払わなきゃいけないだけだ。
ひょっとして核燃料を製造するための税金を出す人は誰もいないし、作っても限られた所でしか使えないから政府は再処理施設を稼働させないと思ってる?
商用じゃない、金を生み出すどころか使うだけ位の再処理施設なんか世界中にあるぞ。
確か再処理燃料を使う事が必須となっている施設が建設中だったと思う。
最初の廃棄物はそれ程多く要らないはず。
実際に燃焼する準備が整うまではアクチノイドを分離して行うはずだから。

●TWX
これで生成されるものは半減期が短いんだよね?
それを燃料にすれば更に半減期を短く出来るのかな?

もしそうなら、それが超ウラン元素であったとしても安定した土地に少数の原子炉を作る必要はなくなるだろうか?
今までに大きな原発の事故は3回あって、1つはメンテナンス中に起きたスリーマイルもう1つは不用意なテストがメルトダウンを招いたチェルノブイリ、そして天災が原子炉の制御装置を止めてしまった福島第一。
このうちチェルノブイリ型と福島第一型に関しては制御技術と土地の選択を誤らなければ防げると思う。
スリーマイルに関してはエンジニアリング/技術の問題だ。
もし作るのなら変動的なリスクにもきちんと対応しないとね。

●perpenso
↑一般的に第4世代の原子炉から出る廃棄物は半減期が数百年だと言われてるね。
数万年と言われている現状と比べたらまだ対処できるレベルだ。

●Giant Electronic Bra
うーん、超ウラン元素を燃やして半減期を減らす事は出来るのかもしれないけど、最終的にプルトニウムやアメリシウムと交換で得られる半減期の短い放射性廃棄物は出来るわけで、疑問なのは問題が少ないかどうかなんだよな。
構造物や近辺の物なんかも放射性廃棄物になるし、低レベル放射性廃棄物だって処理にコストがかかるだろうから。
これは使用済み核燃料の再処理が不経済になってしまう事とセットになった問題なんだ。
結局取り扱いが困難で危険な廃棄物を処理するのにコストがかかるから。

●LWATCDR
低レベル放射性廃棄物になるのは原子炉周辺の部品で建物全体じゃないけどな。
コストという意味じゃ太陽光だって風力だって解体するのにはコストがかかる訳で。




高速増殖炉は今も実用化には至っていないので、既存の原子炉技術を流用できるこの炉を開発していくという事なのでしょうか。
コメントにもあるように使用済み核燃料を再利用できる原子炉は世界各国で研究されていて、ベルギーのMYRRHA計画は来年建設開始予定だとか。


なぜ再処理するのか?―原子燃料サイクルの意義と技術の全貌 (エネルギーフォーラム新書)
なぜ再処理するのか?―原子燃料サイクルの意義と技術の全貌 (エネルギーフォーラム新書)