america_anime


日本で独自の進化を遂げ、今では世界中で放映・配信されている日本のアニメ。
漫画やライトノベル原作のアニメもたくさん作られていますが、何故アメリカではそういうアニメが作られないのか、アメリカで日本の原作を直接アニメ化できないのだろうかと海外のサイトで質問がされていました。



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■質問
(原作付き)アニメでも漫画原作の一部だけを追ったものや、ある地点から全然違う展開になる(オリジナル展開)になるものがあるよね。
自分の好きな漫画である『史上最強の弟子ケンイチ』と『ロザリオとバンパイア』が今年最終回を迎えるわけだけど、アニメ版は『史上最強の弟子ケンイチ』の場合だと原作の一部だけをなぞっていて、『ロザリオとバンパイア』はオリジナル展開をしてた。
どんなアニメも再アニメ化やリブートがありえることは知ってる(『ロザリオとバンパイア』には必要だ)けど、アメリカで日本よりも人気になりそうなジャンルってどんなのがあるんだろう。

さてここで僕の(ちょっとややこしい)最初の質問:
現在のアニメ放送モデル(漫画がアニメ化され、それが日本で人気になってからアメリカや西洋にアニメ放送・配信権が売られる)をバイパスするのって不可能なんだろうか?
アメリカの会社(あるいは個人)が直接日本の出版社と交渉して(あるいは漫画家個人と?)、西洋の視聴者をメインターゲットにしたアニメ化権をゲットして、漫画の絵やストーリーそのままにアニメ化できるスタジオを自分らで調達することは可能なのかな?



■返答
完全に不可能というわけではないだろうけど、もの凄く難しいだろうね。
そもそも漫画家が完全に自分だけの権利にしている漫画はほとんどないんだ。
少年ジャンプのような形式で出版している漫画だと、ほぼ無い。
少年ジャンプは集英社という超巨大な出版社の所有物で、そこで連載している漫画も集英社の所有物なんだ。
もちろん作者は自分の作品の権利を持ってはいるけど漫画家自身がコントロールできる部分はごく僅かで、出版社は人気が出なかったらいつでも漫画の連載を終わらせられるんだと漫画家に脅しをかけることが出来るんだ。
例えば、尾田栄一郎は『ワンピース』の映画やその他関連することに関してほぼ全てに許可したり拒否することが出来るし、テレビシリーズに介入する事だってできるだろう。
(もし彼が望めば。彼はそういう事をあまり気にしないと思うけど)
それは、もし尾田が何かに腹を立てたら彼は『ワンピース』を描くのを止めることができて、そうなると集英社は文字通り何百万ドルも失う事になるからだ。
もっと人気の無い漫画は漫画家自身が出来るコントロールも少なくなる。
『ブリーチ』の作者、久保帯人は(尾田栄一郎ほどは)自分の作品に対するコントロールが出来ないだろうし、連載を始めたばかりの新人漫画家は集英社に言われた通りやるのみだろう。
これがアメリカの会社が漫画家と直接交渉して彼らの作品を直接アニメ化するのは出来ないと思う理由だ。
出版社と交渉するのに関しても同様だね。

今、99%の(原作付き)アニメは原作漫画の出版社とアニメスタジオがパートナーシップを結んで作られている。
アメリカの会社だってアニメのライセンスを取得するんじゃなくてそこに入ってパートナーシップを結ぶことも出来るだろうけど、これはアメリカの会社が放映される前の時点である程度の資金を提供するという意味でもある。
そしてこれはアニメシリーズの製作において発言力を与えることにはならないだろう。
ありがたいことに…
これが日本のアニメビジネスの自然な形だ。
アメリカの会社がアニメ化権を取得して、それからアニメを作るよりもありえる方法だろうね。

アメリカの視聴者に向けたアニメ製作に関しては…
不可能ではないけどその価値があるのはごく僅かだろうな。
世界の視聴者よりもアメリカの視聴者に向けたアニメと聞いてすぐ頭に浮かぶのは『アフロ・サムライ』だけど、これだってあまり上手くはいってなかった。
アメリカの企業FUNimationが共同制作して大量の資金を投入してアメリカをターゲットに作ったけれどもシリーズは立ち消えしてしまった。
日本では人気がでたけど、アメリカではさほど人気が出なかったアニメというのも過去にはあるし(確か映画版『エヴァンゲリオン』がそうだった)、日本の出版社/アニメスタジオのパートナーシップは日本でのアニメリリースが決定するまでアメリカのライセンサーと話をする事もないだろうな。


●Corpore Metal
正直な話、アメリカでアニメを作ってほしいと思ってるアニメファンなんかいるのか?
アニメの魅力の半分くらいはハリウッドのコンテンツ工場で作られていないメディアやフィクションであることだと思ってるんだけど。

●Aderyn
今のアメリカのアニメファンなら、アメリカ製アニメを作ろうとしても無視を決め込んで失敗してしまうんじゃ。

●ShadowStaarr
>アニメの魅力の半分くらいはハリウッドのコンテンツ工場で作られていないメディアやフィクションであることだと思ってるんだけど。
これは日本の漫画の良作をアメリカ(主導で)アニメ化するということだと思うぞ。
悪いアイディアじゃないと思うな。
『ビッグ・オー』のセカンドシーズンは基本的にアメリカ製作で面白かったし。

ま、アニメの魅力にはアメリカ国内製じゃないという所もあるというのは正しいと思う。

●JackRabbitSlim323
アニメとハリウッド作品の長所と短所はほぼ一緒なんじゃないかな。
アニメはお約束とキッチュなものにもなりえるし、新鮮でユニークなものだってある、
これはハリウッドも一緒だね。

●RappingNinja
『アバター/The Legend of Korra』はアメリカの作った(日本スタイルの)アニメじゃなかったっけ?

●Atomic Samurai Robot
自分は大人になってからアニメを見始めた口なんだけど、それは北米ではめったに見る事が無い、そのシリーズ独自の切り口を持ってるからなんだ。
美術スタイルもアニメによって独特だしね。
単発エピソードも少なくて、むしろ全体的なプロットを持っている。
SFやファンタジージャンルが同じ作品内でロマンスやミステリーと一緒にあっさりと同居してもいるね。
(SFやファンタジーは)アニメとして一般的なジャンルでもあるんだけど、90年代から2000年代初頭に北米に大量に紹介されたアニメにはこの手のジャンルが相当なパーセンテージを持っていたと思う。
世界観の構築、プロット、アクションとドラマ、コメディ、ロマンス的なタッチの絶妙なミックス加減という意味で西洋のアニメシリーズで唯一上手くいっているのは『アバター』シリーズだけだと思うな。

●Goh Mifune
90年代のカートゥーンなんかコミック原作のものがたくさんなかったか?
自分が見てた『ガーゴイルズ』はもうずいぶん前だけど、未だに語れるね。

●Atomic Samurai Robot
↑良いポイントだ。
『ガーゴイルズ』はThe Goliath Chronicles(シーズン3)以外、凄く良いシリーズだったね。
ま、シーズン3のせいで全焼してABC放送は製作をキャンセルすることになったんだけど。
ABCが製作から外れたリブート版もかなり良かったよ。

当時は衛星チャンネルが新たな人気アニメを持ち込もうとした時代だったけど、アニメを広めること、(男の子向けに)マーケットとして成功させるために、プロットやキャラ、果てはエピソードの編集まであったな。
90年代初頭のアニメで覚えているのは(特に男の子向けである)『テッカマンブレード』以外だと、『セーラームーン』、『カードキャプターさくら』、『天空のエスかフローネ』の3作品かな。
後者の2作品は男子視聴者の注目を集めるためにメチャクチャ改変したけど、大失敗した。

●Sajanas1
アメリカ以外で作られているアニメを見るのも好きだけど、ティーンや大人を対象にしたアメリカ製のアニメも見てみたいね。
アメリカや世界にはまだまだ実写にするにはファンタジックすぎるけど、アニメにしたら素晴らしいものになりそうな原作がたくさんあると思うんだ。
イアン・バンクスの『ザ・カルチャー』シリーズ、ラリー・ニーヴンの『リングワールド』シリーズ、ダン・シモンズの『ハイペリオン』シリーズ、James S. A. Coreyの『The Expanse』シリーズなど、広大な世界観を持って奇妙な亜人が登場する、映画やテレビシリーズには収まりきらない広大なプロットを持った作品がたくさんあるよ。

●crosis101
『The Expanse』はHBOで実写化するぞ。

●skipperbyrd
『アバター』や『サンダーキャッツ(リブート版)』のようにカートゥーンにすればいいのでは?

●Meander061
>アメリカの視聴者に向けたアニメ製作に関しては…
>不可能ではないけどその価値があるのはごく僅かだろうな。
全く意味無しだと思うぞ。
アメリカの視聴者は長いストーリーのアニメは見てられないんだ。
カートゥーンネットワークがやっていることを見ればいい。
13話よりも長いものは放映しないと圧力をかけ、最終的にはキャンセルさせられるんだ。
日本ではアニメは幅広い視聴者を得ている。
ワイルドな(幅広い)ストーリー、ワイルドなキャラクター、非現実的なストーリーでも、全て当然のこと、普通の物語として視聴者にも市場にも受け入れられてるんだ。
(エヴァンゲリオンのキャラが車やサンドイッチの宣伝に使われている画像を見たことがある!)

●Croswynd
RWBYはどうだ?
ワーナーが日本語に吹き替えをするぞ?
(訳注:『RWBY』はRooster Teeth Productionsが製作したWebアニメシリーズ)




日本のアニメもウルヴァリンをアニメ化したり、徐々に世界をターゲットにしつつあります。
海外資本で日本のアニメスタジオがアニメを作るということも今後は増えていくのではないでしょうか。
個人的には海外SFをアニメ化するというのは願っても無いことで。