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日本の鉋と西洋の鉋は日本の鉋が引くのに対して西洋の鉋は押して使うなど様々な違いがあります。
海外の木工家が集まるサイトで日本の鉋と西洋の鉋について語っていました。

引用元:lumberjocks.com

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●ロングアイランド、ニューヨーク州、アメリカ
初めて本格的な鉋を買うんだけど日本の鉋と西洋の鉋のどちらが良いだろう?
自分は新人の木工家で基本的でラフな物を幾つか作った事がある位。
庭用の物とか、お店用の物とか。
面取りは日本の面取り用鉋を使ってた。

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credit:lumberjocks.com

そう、今の所自分が持ってる鉋はこれだけなんだ。
ともかく本物の鉋を手に入れるという本題に戻ろう。

何故自分は日本の鉋を欲しいか
・この面取り鉋に嵌ってるから。信じてもらえるか分からないけど凄く使いやすいしラフな鉋がけはかなり早く出来る
自分はプロではないけど絶対にお金をかけて使い方を学んで慣れていこうと思ってる
・日本の鋸を使ってて気に入ってるから。
・西洋の鉋は使った事が無いからよく分からない。
・金属じゃなくて再度平らに出来る木のボディという考えが好きだ。それに潤滑油も使わなくていいし(だよね?)


何故自分は西洋の鉋が欲しいか
・ここだと日本の木工に関する情報は少ししかない。英語で説明しているYoutubeの動画はかなりの助けになると思うし。
『The New Traditional Woodworker』の作者ですら日本の木工については語っていない。
これはフラストレーションが溜まる。
・日本の鉋と比べたら刃物の研磨が楽だ。
自分は研ぎに関する技術もないし業者も知らなくて、どんな鉋であれ手に入れたら可及的速やかにその状況を変える事になると思うけど何の知識もない人間にとって刃物の研ぎというのはなかなかに驚異的だ。
・エルゴノミクスとか?日本の鉋のボディはちょっとそれから離れてる気がする。
けど木の塊な訳だしカスタマイズできるのかな?

両方のタイプを使った事のある人のアドバイスが欲しい!
どちらのでも良いけど初心者にお勧めの鉋のお勧めも!

●イリノイ州、アメリカ
西洋の鉋も100ドル以上の良いブランドのを買わないと設定に時間がかかるぞ。
金をかける前にまず安いのを買った方が良いな。
スタンレー・ベイリーの#4の中古を買ってどういう風に機能するのか、調整具合でどういう風に悪くなるのかを確認した方が良い。
日本の工具が好きと言う事は残念ながらリー・ニールセンの良い鉋に150ドル位かけないと駄目だろうと思う。
西洋の鉋の刃は日本の鉋程研ぎやすくないからどちらにせよ研ぐスキルは身に付けないと駄目だ。
それから日本の鉋は引いて使うからデザインもそういう風になってる。

スタンレー・ベイリー・#4鉋
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credit:lumberjocks.com

●ロサンゼルス、カリフォルニア州、アメリカ
日本の鉋には日本の鉋の魅力がある。
特定の作業スタイルに向けた進化をしてるけど。
自分ならベイリー式(ベッドロック式)の鉋をお勧めする。
木の鉋は語ったり集めたり使ったりするのに興味深くはあるけどベイリー式のベンチプレーンの買いやすさや使いやすさを考えると雑誌なんかでもよく見かけるし習うのに一番の鉋はこっちだろうな。
日本の木工具の使い方に興味があるならオダテ・トシオの本は必見だ。
使い方に繋がる設定やメンテの仕方や問題への対処方法がすっきりと書かれてる。


ベッドロック鉋
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credit:hansbrunnertools.com

●カルガリー、アルバータ州、カナダ
自分は逆の方が良いと思うぞ。
スタンレーの#4は安いだけじゃなくて鉋の基本的な役割も教えてくれる。
適切な角度に設定できるし更に満足いく仕事ができるようになる。
最悪自分に向いてなくても20ドルを無駄にするだけだ。
日本の鉋は刃の出来に依存する部分が大きくて設定もかなり細かくする必要がある。
まずはスタンレーの4番から始めて、工具の神様が日本の工具を使う準備が整ったと判断したら彼が目の前に買える値段の鉋を出してくれるはずだ…

●レバノン、ミズーリ州、アメリカ
投稿主の写真とそっくりのMujingfang(香港の工具メーカー)の面取り鉋を使った事がある。
自分が日本の鉋について調べた限りだとその鉋は日本の鉋の代表的な形ではないらしい。
ほとんどの鉋は楔を使わないとか。
刃のテーパーと本体で楔の働きになって刃を適切な位置にするみたいだ。
ともあれ、これはかなり細かくて柔軟性が無いようにも見える。
鉄製の鉋と同じくらい東洋の木の鉋を使った事があるけど自分は鉄の鉋が好きかな。
形が自分に使いやすいし、必要に応じて力をかけられるし長持ちする。
(木製の鉋は湿度や温度の変化で変形するから)
自分もスタンレーの#4を勧めるかな。
たくさん出回ってるし。

●ロサンゼルス、カリフォルニア州、アメリカ
日本の小さな鉋を持ってた事がある。
残念ながら売ってしまったけど。
刃の角度は40°だったと思う。
日本の仕上げ用の鉋は見た目以上に複雑だね。
しかもその場の気候に合わせて刃を本体にフィットさせる方法を学ぶ必要もある。
(しっかりとフィットさせるために)
鉋の底を平らにすることはないけど、口の前後は擦る事によって隙間が空いてる。
刃を取り付ける時に本体が歪んで、それで出来る隙間が材と鉋が当たる時に適切な位置になる助けになってくれるんだ。
日本の工具と作業方法は凄く興味深い。
鑿やケビキ(材に線を引く道具)、鋸は凄く使いやすいね。
最近なら日本の鉋もeBayで安く買える。
興味があるなら絶対に幾つか手に入れた方が良いね。
それから日本の鉋は刃の角度が浅い傾向にある。
これは柔らかい木材や木目の真っ直ぐな堅い材木に使う事を意図してるから。
日本の木工家は難しい木目の木に合わせて鉋を調整して刃の角度を高くしたりしてるけど、日本の鉋のシステムから考えて正しく設定するにはかなりの実践が必要だと思う。

●ジョンソンシティ、ニューヨーク州、アメリカ
鉋は実に注目すべき工具だ。
きちんと設定された鉋は使う度に笑顔が浮かんでくるよ。
まずは角度の浅い鉋から始める事を勧める。
スタンレーの60-1/2か同等のから始めて、刃の研ぎ方も勉強するんだ。
ブロックプレーン(小型の西洋鉋)はフィッティングや仕上げによく使われてる。
一度ものにすれば手放す事はないはずだ。
eBayでも簡単に見つけられる。
その次はスタンレーの#4仕上げ用鉋かな。
この時点で刃の研ぎ方は身についてると思う。
今回も設定の仕方を身に付けたら自分の努力の結果に驚く事になると思うね。
これが西洋式鉋を始めるのに良いスタートになると思うな。
(自分には効果があった)
ただし、木工具は嵌る事に気を付けるように。
常に新しいのが欲しくなるぞ。

●ロングアイランド、ニューヨーク州、アメリカ
みんな返答ありがとう。
みんな自分の疑問に答えてくれたみたいだ。
どうも日本の鉋は技術レベルも値段も今の自分の手には余るかな。
いずれ絶対手に入れようとは思うけど。
オダテ・トシオの本は必ず入手して勉強しようと思う。
みんなありがとう。

●カリフォルニア州、アメリカ
限られた予算しかない新人として難しい決断を迫られてる。
自分はかんな盤は持ってない。
で、手でやろうと決めてる。
木工は自分にとって趣味みたいなものだし、手作業で伝統家具を作っている従兄弟を見て育ってるからこれはあまり大した問題じゃない。
顧客からのリミットやデッドラインも無し。
疑問は西洋式で行くか日本式で行くかという事。
自分の理解してる所だと日本の伝統的な木工は柔らかい木材を使っているとか。
日本の鉋は固い木材にも使えるんだろうか?
もし日本の鉋を使った事がある人がいるなら話を聞かせて欲しいな。

●オマハ、ネブラスカ州、アメリカ
非常に主観的な自分の体験ではあるけど、東洋式で行こうと思ってその考えを放棄せざるを得なくなった人間は結構な数いると思う。
ハンマーで刃の出方を調整するのはこれも習得に時間がかかるものだから。
スタンレーやノリスの鉋の刃の調整はもっと自然で楽だ。
実際自分は戦前の古い鉋を受け継いだけどこれには実に苦労した。

自分は日本式の鋸や鑿が好きだし、鍛造刃の鉋も魅力的だ。
それにクレノフの木製鉋がどんな事を出来るのかを見ると試してみたくもなる。
※ジェームズ・クレノフは旧ソビエト生まれでアメリカで活躍した家具工芸家。スウェーデンで家具作りを身に付けノルウェー・ヴァイキングの木製鉋の作成方法を復活させてクレノフ式鉋を生み出した:wikipedia

自分はどちらのスタイルの鉋も固い木材に使えると思う。
本体は樫にするとか気を付ける必要はあるけど鋼は何にでも使えるからね。

クレノフ式鉋
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 credit:waynedraper.com

●ジョーダン・バレー、オレゴン州、アメリカ
同意。
きちんと使える限りどんな鉋でも問題はないと思う。
私のショップの写真を見れば鉋で出来た壁を見る事が出来るよ。
ほとんどがeBayで買ったもので、全部で300ドル位じゃないかな。

●ニューハンプシャー州、アメリカ
まずその件についての意見を述べる前に聞きたい事がある。
背中はどんな感じだ?
木工には自分が”西洋”と”東洋”と呼んでいる地域があって、それが鑿や鋸、鉋を探す際の決定要素として必要になってくる。
”西洋”の木工の思想は西洋の鋸や鉋が”押して”切ったり削ったりするという要素が中心にあるのに対して東洋の伝統的な木工は鋸も鉋も”引いて”使うようになっている。
なんで背中の事を聞いたのかと不思議に思っているかもしれないけど、これで分かったと思う。
筋肉が違えばスタンスも違ってくるし、これこそ自分が境界線と呼んでいるもので、これで木工に対するアプローチや考え方が変わってくるんだ。
君は”予算の限られた新人”という事だし、この考え方の違いが木工という旅の始まりに関係してくるとだけ言っておこう。

ついでに言うと日本の鉋はハードウッドにもソフトウッドにも使える。
日本の鉋は突き鉋と呼ばれるものから進化して鉋となり、突き鉋は押して使うもので元は16~17世紀から始まっている。
東洋の木工の考え方にも幾つかあるようで、古代中国の鉋はヨーロッパと同じように押して使っていた。
17世紀ごろに日本はそのスタイルと突き鉋から分かれて名前も短く鉋となった訳だ。
当時の日本の木工職人はその時代に新たな背中の筋肉を付けて、それで引く使い方をするようになったんじゃないかと思ってる。

まず日本の大工や宮大工は木工に対するアプローチに大きな変化がある事を理解しなくてはいけない。
個人的に日本の鉋は西洋の鉋よりも素晴らしく木を削る事が出来るからシンプルでフラットなデザインへと進化していったんだと思う。
日本では鉋をかけた後でエッジを鑿で装飾して仕上げとしている位だ。
何故自分がそう考えるかというとこれは日本の仕上げのプロセスから来ていて、日本人の木工作品はより木の個性やスタイルが現われていると思ってるから。
ここに西洋と東洋の木工に対する考えの違いがある。
日本の鑿についてでも書いた事があるけど日本の鉋についてもファーストカットがフィニッシュカットになると言う事が出来る。
対して西洋では何度かカットをして更に仕上げもしている。
日本の大工が鑿を使う場合、それはケガキ線と同じ場所に打ち込み、それが仕上げとなるんだ。
(我々が培ってきた)ヨーロッパの大工の場合だとケガキ線の内側に鑿を入れて、鑿の後でクリンナップをしろと教わってきた。
どちらが間違っているとか正しいという訳じゃない、
作った後にどういうものが出来るかというだけだ。

それから上で鉋をハンマーで叩くと言ってるけどこれは木槌の事だね。
自分の鉋を無遠慮に金槌で叩く木工家はいないから。
師匠に弟子がコテンパンにされたという話だって読んだ事がある。
これは弟子が師匠の鋸をまたいだからだとか。
東洋の道具や木工に対する考えは西洋で慣れ親しんでいるものとは全然違っていて、これは(日本では)敷居を踏まずに家に上がるのともよく似ている。
敷居はまたぐが道具はまたがずに回り込めという訳だ。
小さなことだ思われるだろう事は分かってるけど、道具に敬意を払うという事は作品にも敬意を払うという事であり、ひいてはお互いに敬意を払う事の大事さという事にもなるから。

これが日本の鉋に対するアプローチの助けになってくれることを祈ってる。
そして次は西洋の鉋について誰かに語ってもらいたいね。
自分の場合電動工具を使わずに手で木工をする場合は東洋の道具が好きかな。

●カリフォルニア州、アメリカ
↑長く思慮に富んだ返答をありがとう。
グーグル以上に鉋の知識を得る事が出来たよ。
背中の事を聞かれたのは面白かった!
実は数年前から腰を痛めててセラピーを受けてたんだ。
もちろんまたセラピーに行くような事はしたくない。
まずは引くのと押すののどっちが自分の背中に向いているか見てみようかな。
腰に悪いことが判明してから手持ちの鉋を捨てる事になるのはがっかりだろうしね。





日本の鉋と西洋の鉋、どちらにも利点があります。
木工の場合は知識や技術の集めやすさという点も選ぶ時の要素となりそうです。



角利 ミニ鉋 芯樫 42×150mm
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