kaala
credit:kaala.jp

日本のメタル音楽は海外にもファンが多く、海外公演を行っているバンドも多数存在します。
そんな日本のメタルシーンを海外に向けて発信しているサービス、『kaala.jp』が誕生しました。
バンド情報の他に日本でのライブ情報なども網羅しています。
kaala.jpの運営者が海外の掲示板に登場し、質問に答えていました。

引用元:reddit.com

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『kaala AMA、日本のアンダーグラウンドなメタルシーンの全てについて答えよう』

●投稿主
ヘイル、メタル板のメタルヘッズ共、俺は20代を日本のエクストリームな音楽のギグ、レコーディング、ブッキング、ツアーに費やしてきた男だ。
日本のポピュラーなイメージはともかく、アンダーグラウンドはその音楽の性格そのままに多様性に満ちている。
上記の経験を全て活かし、俺は日本でもっとも汚れたクラブでの長年のステージ経験と共にPR、エンジニアリング、ジャーナリズム、写真/動画、イベントマネージャーを背景にした他国的かつ多言語な7名のチームでkaalaを立ち上げた。
東京をベースに仙台や奈良に支部を置いてファンやバンドのためのサービスを提供している。
それに俺達が文書や分析に使っている日本全国のバンド、イベント、会場、レーベルの動向等を格納したデータベースも提供している。
ざっと計算してみたら今のところ86000のデータポイントがあった。
小さなビッグデータと言った所だな。
さて…もし日本のメタルシーンについて何か質問あるなら、何でも聞いてくれ!
俺達のサイトは今のところβバージョンだけどチェックしてみてくれ。
追記:アメリカ本国でも展開を開始してるからそっちの質問にも答えるよ。

●comment
ここ数年で最も成功しそうなヘヴィメタバンドは何?

●投稿主
↑ヘヴィ?
(ヴァッケンフレンドリーな)ヘヴィメタシーンはそんなに追いかけてないけど『Solitude』が活動を再開していて、かなりきてるね。
※ヴァッケンはドイツの街の名前で、ヘヴィメタルのフェスティバルが行われている

●comment
>(ヴァッケンフレンドリーな)
今のバンドが模倣してるかもしれない1980年代に日本から出て来たトラッドメタルはヴァッケンでやってるようなのとは全然違うぞ。

●投稿主
↑議論をする気は無くて、単に俺が今のヘヴィメタでまともに攻めてきてるのを見てないってだけ。
あるけど見てないだけかもしれない。
『AIMING HIGH』は良いと思うけど。

●comment
最近気になってるのはローカルなフェスの経営側面について。
例えばOEF asia(Obscene Extreme Asia)には海外のアーティストが多数参加してるけど、LOUD PARKやOzzfest Japanに比べたらまだまだ規模が小さい。
どうやってアーティスト達の飛行機代やビザ代を捻出してるんだろうか?
いつか日本でRoadburnフェスみたいなのを開催するのが夢なんだ。
リー・ドリアン(wikipedia)のような人達が日本の音楽シーンにいる事を考えれば、金銭面はともかくかなり上手くいくんじゃないかと考えてる。
今やってるので近いのだとトーキョー・サイケ・フェスがあるけど、プロモーションはほとんど行ってないようなものだし。

●投稿主
↑OEF asiaは壁にぶつかってしまった素晴らしいフェスティバルの好例だな。
長い話をまとめると、フェスティバルはメチャクチャ金がかかるし色んな事を自前でやれば多少は費用を軽減できるけど数百ドル程度の節約はあまり足しにはならない。
誤解しないでほしいんだが、俺はOEFの運営者(それに他のDIYなフェスティバルも)や彼らが自前で資金を調達してきた事を最高に尊敬している。
この方法でフェスはかなり長く続けてきてるしな…50年位?
金銭面からバンドやオーディエンスの制限はかなりあると思う。
俺は運営者が破産する可能性がない巨大で凄いフェスは存在しないと考えてるんじゃないかって?
というか、俺の場合は別の方法を探してるという感じかな。

●comment
日本で演奏したいバンドが直面する問題で簡単に解決できるものと難しいものは何と何?

●投稿主
↑簡単なのは日本に行く事だな。
日本に行く事に関しては色んな問題があるけど一番重要且つ最初に来るのが(驚く事に)金だ。
日本は凄く金がかかると思われがちだし確かにその通りではあるけどコストに関しては色んな方法があって、これは単に日本のシステムの中をどう過ごしていくかの知識があるかどうかが問題だ。
ここで問題になるのはよく理解されてるコンセプト(コンサートツアーの事)でこの手の代替的なアプローチがあまり上手くいってない事だ。
というか考えられてすらいない。
だから恐ろしく高価なツアーが続く事になる。
例えば俺は現在今年後半に来日ツアーをしようと思っている海外バンドのために水面下で動いているんだけど、最初は格安パッケージを提示してもあっさりと高くなっていってしまう事が多い。
これは安いクラブやホテルについての話じゃない。
俺達がコネクションしたコミュニティセンターやバー、ライブハウス、場所についての話だ。
交通も別の要素になる。
新幹線じゃなくて相乗りや深夜バス、ローカル鉄道を考えてる人もいれば、どこに行くにも群衆がどの位いるのか把握したがる人もいる。
よく日本ツアーをしてる『The Shrine』の2016年がそんな感じだった。
今の彼等は燃やす金も十分にあるみたいだしリラックスして色んな場所を見て廻りたかったんだろうけど、旅程を考えたらこのツアーをブッキングした人間はちょっと調べる事すらしなかったらしい。
交通に関して続けてもいいけど、考慮すべき別の問題もあって、それは担当者だ。
もし知られていないバンドだったら来日ツアーのブッキングも出来ないし観客にアピールする機会も減る。
この問題を解決する方法は幾つかあるけど一番簡単なのはヘッドライニングツアー(大々的に宣伝するツアー)をしない事だな。
でも企画するならシーンの知識を持ってなくちゃいけないし、少なくともナビゲート出来る知識を持った人間とのコネがなくちゃ駄目だ。
それも商品の一部だからな。

●comment
↑逆の質問になるけど日本のバンドが海外に挑戦しようとした時の障害は何だろう?
日本よりも小さな国のバンドが海外で演奏する方が楽なように見えるんだ。
自分はニューヨークにいるんだけど、前回近場で日本のあまり知られていないバンドが演奏したのが何時だったのか分からない位だ。
とは言え日本のバンドがどの位ヨーロッパで演奏してるかは知らないし、アメリカだけの現象かもしれないけど。

●投稿主
↑ビザと金だな。
ツアーをするだけの金を持ったバンドはエクストリームミュージックに嵌ってる人間の興味の対象にはならないし。
前回自分がチェックした限りだと、会場でギグをしようとするミュージシャンがビザを使って入国するには1人当たり1000ドル(約11万円)かかる(おそらくもっと値上がりしてる)から、スタッフ無しの5人のバンドがアメリカの土地を踏むだけでも最低飛行機代+5000ドル(約56万円)がいる事になる。
インディーズバンドはこの大金を返ってくる保証も無しに払わなきゃいけないって事だ。
しかもこれにはツアーに関連する費用は含まれていない。
ビザは時間にも敏感だからアメリカ規模の国でツアーをする制限にもなる。
LA→シアトル→シカゴ→ボルチモア→DC→アトランタ→タンパというコースは動員や露出等から素晴らしいツアーになると思うが(資金面はおいておいて)、こういう滅茶苦茶長いツアーは普通のビジネスビザじゃカバーできない。
日本(や他の国)のバンドは予算も限られるから移動は飛行機じゃなくて車になるし時間も短くなってしまう。
だから近くにある大都市1~2都市とかその周辺って事になる訳だ。

●comment
追加。
なんでオーストラリアや東南アジアは日本のバンドのツアールートになってないんだろう?
特に東南アジアなんかはコストも安く済むと思うんだけど。
『Defiled』が一度来たことがあって、日にちが短かったから宣伝もあまりできなくてあまり良い感じにはならなかったけど、受けてたっぽいのに。

●投稿主
↑オーストラリアと日本のバンドと話した事があるけどどちらもその地域はギグが出来るような街と街の距離が離れすぎてると言ってたな。

●comment
今度のARCTURUSと1349の来日ツアーなんだけどどこがオーガナイズしてるか知ってる?
B'n'F(コンサートのマネージメント会社)がまだあるならそこだと思うんだけど、どこか新しい所の様な気がする。

●投稿主
↑B'n'Fは解散したと庭の小鳥が言ってた…2015年後半だったかな?
だから彼等じゃないな。
このツアーの詳細について初めて悩んだのがこの件だ。
今も調べてるけどノルウェーをベースにしてるPhotograveというマネジメント会社が一緒にやってるっぽい。

●comment
↑興味深いな。
B'n'Fが廃業したのは聞いてたからどこかが替わりにやってると思ってたんだけどまだだったのか。

●comment
・日本の伝統音楽や一般的な日本の楽器とミックスしたメタルバンドは何がある?自分が知ってるのは『Birushanah』だけだ
・日本は他の国よりもメタル(やロック/ノイズ/エレクトロニカ)に関わってる女性が多いという印象なんだけど、どう思ってる?
・日本のバンド/ミュージシャンは多様なスタイルに対してオープンで特定のジャンルに固執するよりも色々ミックスしてると思う。
これは真実?それとも誇大に捉えすぎ?
それから日本は1つのスタイルに集中したシーン(例えばアイスランディックブラックメタルシーンとか)よりも色々違うバンドの巨大なシーンがあるように思う。
これは事実かな?それとも小さくてニッチなシーンがいっぱいある感じ?
・日本はパンク/クラストが大好きなように見える。でブラック/デスはあまり人気が無いような。
これって事実?だとしたら何故?

君らの仕事は面白くてやりがいがあるみたいだね。
頑張って欲しい。

●投稿主
↑素晴らしい質問だ!
>日本の伝統音楽や楽器とミックスしたメタルバンドは何がある?
”伝統音楽”という意味だと実験的なもの以外ではあまり見かけた事は無いな。
仙台の『マグダラ呪念』の魔子は時折三味線を使う事で知られてるし、Ruby Roomでやった『Sithter』と『Heretic Rites』(セルビアのバンド)のツアーでも弾いてたな。
答えを返すならあまり一般的でない事は確実だな。

>日本は他の国よりもメタル(やロック/ノイズ/エレクトロニカ)に関わってる女性が多いという印象なんだけど、どう思ってる?
おっと、凄い質問だ。
これこそエクストリームミュージックの中の女性という主題に切り込むためにkaalaで議論してきた事なんだ。
これは日本と言えども、グラインドコアに限られてるな。
(例えば『Self Deconstruction』、『disgunder』、『Sete Star Sept』、『Flagitious Idiosyncrasy in the Dilapidation』等々)
とは言え、これはここ数日俺達の頭を悩ませている興味深い主題ではある。
一般的に女性的よりも男性的と認識されている音楽の中に男女が混在している現象についてジェンダー・バイナリー(性別による違い)としてのアプローチでまとめる事は出来なかった。
むしろ性別による区別が遠のいているから逆だとも言える。
この件はもっと真剣に調査する必要があるからこれ以上は言えない。
質問に答えるなら他の国よりも多いという事は無いな。

>日本のバンド/ミュージシャンは多様なスタイルに対してオープンで特定のジャンルに固執するよりも色々ミックスしてると思う。
ああ、日本は色々ブレンドしてるから、その点においては間違いじゃない。
けど見てわかる位偏在的だとは思わないな。
俺は個人的に『GUEVNNA』のディスコ・ドゥームが好きなんだけど『Lifeblood』のブラッケンド・ロックや『Endon』のブラッケンド・サイケデリック・ハードコアなんかも最近のミクスチャー的な例になるな。
でもジャンルそのままな素晴らしい演奏をしてるバンドはたくさんある。
シーンについてはかなり多彩だ。
デスメタルが長時間支配してる王者でその後をグラインド、スラッシュ、ドゥーム、ブラックと続いてるかな。

>日本はパンク/クラストが大好きなように見える。でブラック/デスはあまり人気が無いような。
これについては近いうちに記事にする予定だ。

●comment
日本はうちらみたいにジェント(メタルの1ジャンル)の駄目な流行が来てる?

●投稿主
↑無い、と言えるかな。
実際にそうである事を願ってる。

●comment
もうあるぞ。
東京にはやりすぎなメタルコアバンドが何組もある。
何年か前に地元の店で8弦ギターを探した事があるんだけどその時は全然見つからなかった。
でも最近だとどの店でも安い7弦や8弦ギターを置くようになったな。
結構興味を持たれてるみたいだ。
ツイッターでフォロワーも多いウェブマガジンもあるし。
sin23ou.heavy.jp

●comment
2016年にリリースされた日本のメタルのトップ10は何?

●投稿主
↑良いね。
順不同でこんな感じだ。

●comment
ミュージシャンのその後はどうなってるんだろう?
バンドが解散したら?
例えば90年代初頭のメタルバンドとか。
(黒蜥蜴、the Night Breeze Zinnia等)

●投稿主
↑他のバンドを作ってるな。
それ以外だとデザインとか音楽制作の仕事をしてる人達を何人も知ってる。

●comment
↑成程、興味深いね。
趣味として所在が分からなくなった人達を調べてる所なんだ。

●投稿主
↑こういうのは基本的に地下情報だからな。
俺も当時サウンドエンジニアとしてX氏を雇っていたクラブのオーナーの知り合いと知り合いになって色々知ったんだ。







海外のバンドが来日ツアーをするのも、日本のバンドが海外でツアーをするのも様々な障害があるようです。(主に金銭面で)