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花岡靖子は娘・美里とアパートで二人で暮らしていた。そのアパートへ靖子の元夫、富樫慎二が彼女の居所を突き止め訪ねてきた。どこに引っ越しても疫病神のように現れ、暴力を振るう富樫を靖子と美里は大喧嘩の末、殺してしまう。今後の成り行きを想像し呆然とする母子に救いの手を差し伸べたのは、隣人の天才数学者・石神だった。彼は自らの論理的思考によって二人に指示を出す。
そして3月11日、旧江戸川で死体が発見される。警察は遺体を富樫と断定、花岡母子のアリバイを聞いて目をつけるが、捜査が進むにつれ、あと1歩といったところでことごとくズレが生ずることに気づく。困り果てた草薙刑事は、友人の天才物理学者、湯川に相談を持ちかける。
すると、驚いたことに石神と湯川は大学時代の友人だった。彼は当初この事件に傍観を通していたが、やがて石神が犯行に絡んでいることを知り、独自に解明に乗り出していく。

東野圭吾のガリレオシリーズ初の長編であるこの作品は第6回本格ミステリ大賞、第134回直木賞受賞など2006年に国内のミステリー小説主要ランキング5冠を獲得した傑作ミステリです。
海外でも翻訳されており、高い評価を得ていました。



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★★★★☆ - 頭脳の戦い

これは元々日本で出された小説を英語翻訳したもので、作者にとって初めてメジャーに英語翻訳された小説でもある凄くクレバーなミステリーだ。
この小説はガリレオという人気のクライムドラマの続編となっているようで、映画化もされているんだ。
映画の『容疑者X』は2008年にリリースされている。
このシリーズの主人公は湯川学という帝都大学の才気あふれる物理学者で、探偵ガリレオと呼ばれている。
彼は時々地元警察の手伝いをしており、今回の殺人事件もその1つだ。

~あらすじ紹介のため中略

調査が進んでいく様子、登場人物同士のやり取りを楽しんだよ。
この小説は複雑で、人の思考を読んでいく事になるんだ。
複雑で哲学的な疑問や数学的な照明が散在している。
ハイインテリジェントな湯川と石神が互いに複数階層になった犯罪の解決側、提供側となっており、事件はゆっくりと解決していく。
しかし、解決は辛いものとなった。
悲しみに沈みながら本を閉じたよ。
分かっている読者にお勧めだ。
聞きなれない作者であるから、日本人作者だからといって読むのを延ばす事はない。



★★★★★ - どうやら早くも2011年最高のミステリを見つけたらしい

まだ1月だと言うのに…
第1章の最後の時点で誰がどのように殺人を犯したのかは分かる。
そしてそれが東野圭吾の『容疑者Xの献身』のページをめくらせる理由ではないんだ。
これはフーダニット(誰がやったのか?)が精巧にできた推理小説ではない。
ラストまで読んだ時(争うように読むことになるだろうけど)、あなたも私と同じように頭をひっぱたかれた様な感じになるだろうな。
凄くシンプルでありながら最高級のストーリーなんだ。

~あらすじ紹介のため中略

この小説ほど”悪人”を応援した小説はないかもしれない。
しかし、本当にそうなのだ。
殺人と、犯人となる女性の予期せぬ共犯者は邪悪ではない。
彼らはただ、不可能な状況に追い込まれただけなのだ。
彼らは無事逃げ切れるのか、それとも謎の物理学者が真相を暴くのか?
あらゆる展開で石神らが捕まる事を心配していたけど、事の顛末に驚き、自分は凄く驚いている事も分かっていたけど、最後の章に到達した時は息を呑んだよ。
もちろん、いくつかの数学や科学のシーンは頭の中を右から左に抜けていったけど、それは自分がその分野には明るくないからだね。



★★★★☆ - 全く別物の犯罪小説

『容疑者Xの献身』は別物のクライムノベルだね。
これはフーダニットじゃないんだ。
最初の時点で靖子が元旦那の富樫を殺す事は分かるから。
殺害方法や動機が謎ではないって事。
富樫が靖子と彼女の娘である美里に対して暴力的な態度を向けている事、靖子が美里の助けを借りて富樫を考察する様子は鮮やかに描写されている。
あえて言うなら、『容疑者Xの献身』は警察小説と探偵小説を組み合わせたような感じだろうか。
私立探偵の役をするのは物理学者の湯川で、警察の捜査官である草薙と友人だ。
そして湯川は靖子のおかした殺人の後始末を手伝った数学教師・石神の旧友でもあるのだ。
物語は数日後に死体が発見されたところから動き始める。
その死体は顔が潰され、指紋も消されていた。
果たして石神の作戦は成功するのか。
小説はこの時点でまだ3分の2だ。
プロットは鋭くターンして、新たな謎を生み出す。
何故容疑者Xはこんなに予想外の事をしたのだろうか?

自分はこの『容疑者X』を楽しんだよ。
東野圭吾の作風(おそらく翻訳者のか)はストレートだ。
文体は抑揚に富んでいないものの、気が散るという事はなく、しっかりとした構成になっている。
必要な物のみ書かれているという感じだ。
靖子は(殺人犯と考えるには)驚く程当たり障りのないキャラだが、仏陀のような石神と彼の友人である湯川は興味深い人物で、彼らの知能を尽くした戦いがこの小説に活気を与えている。
石神と草薙(こちらも凡庸なキャラ)のやり取りは面白みに欠けるが、それでもプロットを進めるのに役立ってはいるかな。

『容疑者Xの献身』は壮大な文学作品ではないが、よく出来た物語だ。
プロットは急速に、そして驚くべき展開を見せていく。
最終的に謎は解明されるのだが、その解決策には打ちのめされたよ。
しかも作者は全うな方法を使っているんだ。
手がかりは色んな場所にある。
最後の数ページはとあるキャラの行動があまりに予想可能過ぎてちょっと残念ではあった(読者を喜ばせようと言う作者の願望の結果だと思う)けど、この不満もこの作品に対する自分の肯定的な感情を覆す程ではなかったね。
可能であるなら★4つ半を付けたい位だ。



★★★★☆ - 面白いミステリーだった

興味深いキャラで良い感じに複雑な、面白いミステリーだったよ。
イギリスのクラシカルな探偵小説に似てて、日本のライフスタイルを描いてもいるね。
ちょっと注意:
探偵小説をたくさん読んでいる人なら、ネタが分かっちゃうかも。
それでも、この作者の他の本も読んでみるつもりだけどね。



★★★★☆ - 定型的な殺人ミステリーの良作
(フォートローダーデール、フロリダ州)

探偵と、自分の元夫を殺した元ホステスの助けをしようと決心した探偵の友人にフォーカスを当てた、凄く面白い殺人ミステリーだったよ。
読者は誰が殺人犯なのか分かっているんだけど、探偵の分析を介してリードされるように新しい発見をしていく事になるんだ。
最後には効果的に捻った展開があって、脱帽する位楽しく読めたよ。
とは言え、この小説はちょっとシンプルな文体過ぎるかな。
本というよりは脚本を読んでる感じだった。
多分作者のせいじゃなくて脚本家のせいじゃないかな。
凄く良くできたプロットの小説だよ。お勧め。



★★★★★ - みんな必読!

今まで読んだ中で最高に面白かった小説の1つだよ!
最後に向けてのプロットの捻りが…最高なんだ!!



★★★★★ - 容疑者Xの献身
(バー・リッジ、イリノイ州)

これは初めて読む東野圭吾の小説で、日本を舞台にした小説としても『The Giesha』に続いて2冊目だ。
プロット自体は凄く複雑だったけど、この本のシンプルさが楽しかったよ。
凄くお勧めするし、続編である『聖女の救済』にも興味がわいてきた。
良い本であることを期待してる。



★★★★☆ - 素晴らしい読み物だった!

知的で、ペースも早くて、凄かった。
犯人は2人、女性と子供だ。
これはフーダニットというよりも、むしろどちらがより機知に富んでいるかだね。
絶対にお勧めだよ。



★★★★☆ - コンセプトが面白い

幾つかの理由からこの本を楽しんだよ。
自分の国とは違う生活様式や文化を学習する楽しみが1つ。
そしてこれはアクションスリラーじゃなくて、メンタルミステリーである事。
読者のために自分がこの本を読んで経験したことを語るのは止めておこう。



★★★★★ - 素晴らしかった
(フィラデルフィア、ペンシルバニア州)

私は20年以上探偵フィクションの書き方を教えてきたんだけど、これは今まで読んだ中で最も素晴らしい探偵小説の1つだね。
この小説はオーディオブックもよく出来ているよ。
プロットがずば抜けているんだ。
不満は翻訳についてだね。
慣用句はアメリカナイズするよりも、外国の慣用句を直接表現してくれた方が好きだから。
プロットは驚くべきもので、予期せぬラストは計画した男に値するものだったよ。



★★★★☆ - 魅力的な日本の犯罪小説

日本の文化と、小さな事件がどのように一人の人間の人生を変えたのかを描いた面白い本だった。
強くお勧めするよ。



★★★★★ - 素晴らしいキャラクターに、最高級のストーリー

この本は本当にお勧め。
ストーリーもキャラクターもユニークで、読む価値があるよ。
日本のサスペンス小説ファンにとっては完璧な1冊だね!



★★★★☆ - 良い読み物だった
(ホランド、ミシシッピ州)

時々展開が遅くなったり、微に入り細を穿ち過ぎてる所があるかな。
とは言え良い本だった。
最後にかけてのプロットの捻りが凄まじく良かったね。



★★★★★ - 東野圭吾のような日本人作家の本を読もう


これは私にとって初の東野圭吾作品。
最後ではないのは言うまでもないよね。
これは天才的数学者達の脳内、彼らの静かな暮らし、科学者の心の中の研究所、犯罪学や法医学の研究、無実な真に美しい心、人としての道を外してまで献身を遂げた人について書かれた物語。
こんな作品を読むことができて幸運だよ。
何1つ無駄な物が無い、魂がこもった本を読みたい人にお勧めするよ。



★★★★★ - 世界中でベストセラーになる価値がある

凄く知的なプロットに興味深いキャラクターで良く書けていて、喜ばしい事に翻訳も良いんだ。
あちこち走り回るだけじゃないスリラーが好きな人や日本文化に興味がある人ににお勧めだね。




最後のトリックが判明した時はリアルで「ああっ!」と声が出ましたよ。
これ程あれ、本当にそうだっけ?と何度もページを戻った小説は久しぶりです。
そして確かに石神の方を応援したくなる。
東野圭吾氏の小説は他にも『聖女の救済』、『秘密』が翻訳されており、来年には『白夜行』もでリリースされるようです。