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日本の漫画の英訳や海外のサイトで漫画に関する記事を書いている女性ジャーナリストが、日本の漫画がアメリカの女性ファンを獲得した理由を紹介していました。
※便宜上、アメリカで描かれている漫画はコミック、日本の漫画は漫画と訳しています。




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私はコミックの中に描かれた様々な偏見を見てきたという女性の声を数多く聞いてきました。
ジャーナリストとして、編集者や作者と新作について電話会議をした時は、私が数多いるジャーナリストの中でただ一人の女性である事を感じさせられます。
時に彼らとの電話は居心地の悪さを感じ、それが私のどこから来ているのかは分かっていませんでした。

しかし、アニメコンベンションに参加した時、他の女性漫画ファンに囲まれていると私はアットホームな雰囲気を感じています。
アニメコンベンションに参加した時は”君は女性だから、本来この世界には属していないんだ”という感じを受けた事が無かったのです。

何故こんなに違うのでしょうか?
私が話した編集者や漫画ジャーナリスト、漫画ファンは漫画が女性に人気な理由としてよく同じ点を指摘しています。
つまり、女性の作家が多く、ストーリーにバラエティがあると。

「アメリカのコミック産業は”スーパーヒーロー”のイメージが強く、業界全体ではそうではなくても多くの人がそういう目で見る傾向があるから」
そう語るのはDigital Manga Publishingの販売マネージャー、ヨーコ・タニガキ。

「漫画が初めてアメリカに上陸した時、これはスーパーヒーローコミックとは違い、アートスタイルも違っていて、より共感できる女性キャラが描かれていて、幅広いストーリーがあると女性に紹介したのです。
より率直に言うと漫画は多様であると。
一目見ただけで多様性がわかり、女性に訴求するものを簡単に見つける事ができるのだと。」

「日本には、現在アメリカのコミック市場で見かけるよりも遥かに多くの女性作家がいるので、それによって女性読者の選択肢が更に多様化しているのです」
Yen Pressのシニアエディター、JuYoun Leeはそう指摘しています。

私は実際に漫画家の男女比を示すデーターを持っていませんが、タニガキやLee、VIZの出版部門の副社長であるLeyla Akerはみなその点について同意しています。

女性漫画家と男性漫画家の数はほぼ同数であるように思います」
Akerはそう語っていました。

「男性女性の平等さは日本と西洋の漫画/コミック産業の大きな違いの1つでしょう」
「女性漫画家がたくさんいる事が、女性読者が数多くいる事の直接的な要因ではない、と主張するのは難しいと思います」


漫画を出版している各社に女性向けの漫画の割合を訪ねた所、タニガキもLeeも多くのタイトルは(男女両方に)被っており、一般向けとして宣伝する事が多いと答えていました。
しかし、VIZのAkerは全タイトルのうち、1/4から1/3が女性向けであると述べています。

LeeはYenPressで出している漫画の70%程が女性向けであり、タニガキは Digital Manga Publishingで出しているタイトルの80%は昔から女性に読まれてきたやおい漫画であると答えています。

「正直言って、国籍や出自を問わず、女性読者と男性読者の漫画フォーマットに対する興味は同じだと思っています。」
グラフィックノベルサイト『No Flying No Tights』の作者でチーフエディターであり、『Understanding Manga and Anime』の作者でもあるRobin Brennerはそう語っています。
「作品を探したり、入手するのは女性読者の方が多いように思います。」
彼女はそうも言っていました。

日本では1970年初頭から女性や少女を読者として漫画を出してきたのに対し、1970年代のアメリカでは置き去りにされたままでした。
(1940年代から1970年代にかけても、コミックのファンである少女達がいたのですが、少女を訴求対象にしたコミックはごく少数だったのです)

Brennerは女性と漫画についての歴史の背景についても語ってくれました。
「1970年代、日本の漫画編集者は何か新しい事を始めようと考えました。
日本では1950年代から既に女性や少女向けの漫画が出ていましたが、大成功した事はありませんでした。
当時日本には既に多くの女性漫画家がおり、編集者は賢明にもこう考えたのです。
”女性や少女向けの漫画を売ろうと思っているなら、女性漫画家に描いてもらえばいいのでは?”と。
こうして、伝説級の少女漫画家達が人気少女漫画の作者としてのスタートを切りました。
(『ベルサイユのばら』、『地球へ…』、『エロイカより愛をこめて』…)」

結果、そこから少女漫画、女性漫画は女性が描くようになったのだと。

「彼女達は男性漫画家には予想もできなかった要素を導入し、少女向け・女性向け漫画のコンテンツを多様化させていきました。」
「彼女達はまた、少年漫画・青年漫画とは異なる、特徴的な作画や語彙を作り上げていったのです。」

「アメリカにも大人の女性読者を対象にしたコミックはあり、幾つかのシリーズはかなりの女性読者を持っているものもあります。」
そう語るのはAbout.comの漫画エディターでありカートゥニストのデヴ・アオキです。
「それでも、十代の女性を対象にした漫画について語る場合、人口統計内での読者のレースで勝つのは間違いなく漫画でしょう」
アオキは2つの大きな理由として多様性と女性作家の台頭を上げているが、数十年にもわたって濃密なストーリーが続いているアメリカのスーパーヒーローコミックよりも簡単に飛び込むことができるという点も指摘しています。

「例えば、X-Menを読む場合はストーリーやキャラクターが持つ、たくさんのバックストーリーを知っておくことが要求されます。」
「何故なら、アメリカンコミックの主流は既にマーベルやDCコミックを読み込み、数年に渡ってストーリーやキャラ、キャラ同士の関係を学んできた読者を対象にしたもので、新規の読者が容易に入り込めないものがほとんどだからです。
比較して『セーラームーン』の1巻や『ヴァンパイア騎士』1巻は簡単に手に入り、すぐに物語に入る事が出来ます。」
彼女は、人気の他の要因として、漫画はコミックショップではなく書店で簡単に買う事ができる点もあげています。
誰でも本屋に行けば簡単に漫画を買う事ができると。

とは言え、漫画が女性に受けている大きな理由は女性漫画家が自分と同じ女性が楽しむものを描いている事と、それぞれの好みに合った様々な漫画が存在している事でしょう。

「私はアメリカの女性コミック作家が増える事が、アメリカのコミックの内容とスタイルの多様性に繋がると思っています。」
Brennerはそう語っています。
「話を作る事の出来る女性が増えれば、より万人のための多様で興味深い物語も増えるはずです。」




↓この記事に対する海外の反応

●Van
漫画はバラエティ豊かだよね。
自分はコミックも好きだけど、漫画の方がもっと好きかな。

●tjet
私はもう何年も漫画を読んできているけど、漫画は数年前、あるいはそのもっと前からカップルの間で繰り広げられるサスペンス、魅力、ロマンス、コメディが描かれてるよね。
私は漫画版『キャプテン・ハーロック』や『宇宙戦艦ヤマト』なんかが好きなんだ。
『吸血鬼ハンターD』も読んでみたけど、これはちょっと自分の好みからは外れたかな。
でも友達は読んでたよ。
私は30年以上アニメや漫画を好きでいるんだけど、最近は『ガンダムSEED Destiny』や『00ガンダム』みたいに男女の関係を描いたものが好きかな。
私はロマンチストだから…

●drowlord
アメリカのコミックは基本的にはみ出し者をターゲットにしてるからねえ…
15歳から17歳くらいの間に読んでみようとしたことがあるんだけど、自分にはちょっと馬鹿馬鹿しかったかな。
基本的に20ページに3ドル払って、絵を楽しもうと思ったら読むのに5分位、それに月に1冊というペースだから1年かけても少ししか話が進まないんだ。
好きな作家が年に1冊か2冊しか出さなかった時は苛々したけど、(漫画の)ペースはコミックブックの10倍早くて、1ドル単位の面白さも10倍はあるね。
漫画は(コミックとは)正反対で、1巻の中に物語のような内容が詰まっているよね。

●belladonna
女性がコミックの中で偏見に遭遇したという話は興味深かったけど、30年以上コミックを読んでいる女性として言わせてもらえば、私はコミックストアやコンベンションでそういった偏見に一度も出会ったことは無いな。
私が出会った唯一の事は若者にとっての私の外見についてだね。
(”見ろよ、おばちゃんがコミックを読んでるぜ”って。こういう風に言うのは大抵18歳以下の子供だったね)
それから、私は漫画は一度も読んだ事がないんだ。
アートワークは好きなんだけど、私はスーパーヒーローが好きだから!

●Tom, Tom, the Piper's Son
↑同意。
偏見に出会ったという人は、単に文句を言いたいだけだと思う。

●reithena
最後のまとめは上手いと思った。
『X-23』を見ればわかるけど、 この作品はMarjorie Liuのシリーズも入っていて素晴らしいし、男性女性両方から支持されてるよね。
(訳注:Marjorie LiuはNew York Timesの超常的な恋愛・現代ファンタジーのベストセラー作家にも選ばれた事のある小説家。マーベル作品のストーリー担当もしている)
 
●sqeptiq
大きな目、小さな鼻と顎が”一見”して分かるバラエティってか?

●Van
それは”一見”ではないと思う。

●Olinser
何故女性は漫画を楽しんでいるのか?
”何故女性は本を楽しんでいるのか?”についてはどう?
女性をターゲットにした漫画の正しい用語は”Shoujo(少女漫画)”だと思うな。

本がジャンルではないように、漫画は媒体であってジャンルでは無いでしょ。
そこにはロマンスやSF、ミステリー等がある訳で。
漫画の人気が急速に高まったのはアメコミの様に特定の読者向けに小さく閉じこもっていく傾向がないからだと思うな。
アメリカのコミックの場合、作者が主人公をピンチに陥らせるふりをしながら悪人を捕まえるスーパーヒーロー物がほとんどだよね。
対して漫画は、例えば『花より男子』は恋愛、『ヒカルの碁』は幽霊を肩に背負った十代の少年がプロの棋士になる話、『NARUTO』は忍者の若者の物語、『ハイスクールD×D』は大雑把にまとめるなら終わりなきファンサービスパレードで、『ベルセルク』は血という言語であらゆる表現をページに収めてるって感じだね。

●Todd
アメコミというのは厳密に定義された世界だし、アメコミが作品と社会的な評価の両方において強烈に男性向けという訳ではない、とは言えないだろうな。
ストーリーラインと内容は時にディープで面白いんだけど、キャラ自身はアメコミという条件に縛られまくっているよね。
男性は筋肉質でがっしりしていて女性は痩せてて出るとこ出てるって感じで、アメコミは男性のファンタジーで女性が興味を持ちそうなものはほとんど出てこないからね。
それから、物語が面白いかどうかにかかわらず、女性読者はキャラ描写の偏りはあまり気にしない感じかな。
漫画はもっとバリエーションがあって、男女のどちらかに合う作品が多くて、女性に焦点を当ててるものも多いよね。
自分はどちらにも”問題”があるとは思わないな。
読者に対するアプローチが違うだけで。

●Vision33r
アメリカのコミックスは主に男性のスーパーヒーローの物語なのに対して、アジアの国々では漫画はもっとバラエティに富んだ読者をターゲットにしてるね。
子供の読者には子供のヒーローを、女性読者にはロマンチックな男性主人公を、って感じに。
『トワイライト』シリーズが漫画から色んな物を取り込んでいる事も以前から指摘されてるよね。
主人公のエドワードとベラは『トワイライト』が出版される十年以上前から漫画のバンパイア物で描いてきたキャラそのままだし。
『ヴァンパイア騎士』がその最たる例えかな。
最近のハリウッドはアイディアが枯渇してて、アジアから色々と持ち込みまくってるよね。

●Janie
↑公平に言って、ユタ州出身の保守的なモルモン教徒であるステファニー・メイヤー(トワイライトシリーズの作者)が漫画の大ファンであるとは考えにくいんだよね。
そもそも『トワイライト』シリーズはキャラもストーリーも超ありがちな訳だし。
全然独特な話じゃないし、2人(あるいはそれ以上)の人が似たようなアイディアを閃くのはそんなに信じがたい事じゃないと思うよ。

●Lily
>『ヴァンパイア騎士』がその最たる例えかな。
私は漫画の大ファンで、あなたがその駄作と『ヴァンパイア騎士』を比較した事が信じられないよ。
エドワードはヴァンパイア漫画のどんなキャラとも関連性がないし、ベラは(漫画だと)即殺される系だよ。
(漫画とは)全然似てないし、どれか一作品でも読んだのでない限り比較するべきじゃないよ。

●Jina
↑私は『トワイライト』シリーズの本も映画も見た事ないけど、トレイラーを見てエドワードが吸血鬼ハンターDや『ヘルシング』のアーカードと戦ったらどうなるかと想像しちゃったよ。
面白いビジュアルになると思うな!

●Dan
吸血鬼ハンターDなら2秒でエドワードを殺すだろ。
それを見るためにも描く価値があるかもしれないなwww







日本における最初期の少女漫画ブームも、アメリカで漫画が女性からの人気を獲得したのも潜在的な需要を掘り起こしたという点では同じなのかもしれません。
男性向けだと言われているアメコミですが、最近はマーベルが『ミズ・マーベル』の新シリーズで主人公をイスラム教徒の女子高生にしたりと、若い女性読者を意識してきてもいます。

ms-marvel


海外でも日本の漫画スタイルで描かれた漫画が増えてきました。
(wikipedia:List of female comics creatorsのmangaフィールドより抜粋)

Alex De Campi:『Smoke,Ash』
Alex_de_Campi_Smoke_Ash

Joanna Estep:『The Misters』
Joanna_Estep

 Ellen Schreiber・作/Priscilla Hamby(Rem)・画『Vampire Kisses: Blood Relatives』
Vampire-Kisses

こちらは小説のコミカライズで、小説版は日本語にも翻訳されています。

ヴァンパイア・キス1 転校生は吸血鬼
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月刊MdN 2014年 3月号(特集:少女漫画のデザインに革命が起きていた。) [雑誌]
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