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新年、あけましておめでとうございます。
2011年、海外の反応一発目はアニメ『かみちゅ!』のレビューをお送りします。

ごく普通の女子中学生、一橋ゆりえが神様に選ばれてしまい、そこから巻き起こるちょっと不思議でおかしな出来事を描いたアニメ『かみちゅ!』
2005年に放映され、今なお高い評価を受けているこのアニメは海外でもDVD(吹き替え版)が発売されています。

公式サイト:sonymusic.co.jp
Wikipedia:かみちゅ!
引用元:the-most-beautiful-animaton-in-the-world

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■世界で一番美しいアニメ

とても良いアニメシリーズがアメリカ市場にリリースされた途端ゴミ扱いされていくのは悲しいものだ。
ここに、小さな欠点のあるアニメがある、その唯一の欠点はそれ自身によるものじゃあない。
これは万人のためのアニメじゃない。
とても短く、日常系で、軽いロマンスがあり、見るのも聞くのも美しいアニメなんだ。

まず最初に、今までこのブログを見てきたのならこのアニメが『ゴルゴ13』のように男らしく、暴力的なアニメだと思うかもしれない。
いや、これはそうじゃはない。
いわゆる萌えと日常系が完璧な状態で混ぜ合わさった『かみちゅ!』のようなアニメは非常に稀で、自分も今までに見たことはなかった。
このアニメはみんなが想像するような普通な少女が目覚め、自分が神になったと自覚するところから始まるんだ。
そして、他の幽霊や神が見えたり、願望を叶えるといった神の持つ力を少女は手に入れる。
でも、このアニメは少女が神である事を世界中の人間が知っていた、自分のアイディンティティを隠そうとする少女の物語じゃない。
このアニメの最も良い部分は皆が彼女の手に入れた力に全く無頓着であるという点だ。
人々は彼女に自分の願いを叶えてもらおうとはするけど、他のアニメのように凄い力を持っている変人とは見ていないんだ。

『かみちゅ!』には主役のゆりえが単に友人と過ごし、彼女が好きな健児という少年の気を惹こうとする話が何話かある。
自分は、その少年が彼女を好きになるようにという願いを、神の力で彼女自身に与えないということに単純に驚いている。
『かみちゅ!』に直接的なプロットというものは存在しないが、ロマンスやそういったトーンが全話にわたって微妙に重なりあっている。
全ての話が一話で完結し、一話もアニメ全体の雰囲気を乱すことがないんだ。
第4話「地球の危機」では宇宙から来た異星人とコミュニケートするために日本の首相がゆりえを雇う。
このエピソードには卑劣な人間が何度か出てきて、合衆国大統領と同じ立場にある首相はただ家に帰ろうとしている異星人に対して厳しい拷問にかけることに、何も知らないゆりえを関わらせようとする。
このエピソードの後、第8話「野生時代」(地上波未放映)でもこういう珍しい事は起こるけど、このアニメがそこまでに作り上げてきたものを台無しにはしていない。

登場人物間の描写となるとこのアニメは一段と輝きを増していくんだ。
ゆりえはまだ子供の心を残しているシンプルな思考をする少女で、彼女は道徳的な欠点を少ししか持っていないが、自分としてはそれこそが欠点だと思ってる。
彼女は完璧すぎるんだ。
『To Heart』のようなメイドやパンティがそこら中に溢れ、時間が長く感じるようなアニメに出てくるのなら、そういうキャラクターは嬉しいんだけど。
ゆりえが恋する健児は『スクール・ランブル』の烏丸のような鈍感な変人だ。
大勢の人がいると気が散るからという理由でたった一人の部活動をしているという彼のキャラクターはかなり興味深いな。
他の登場人物たちのキャラクターもこのアニメを愛すべきものにしているんだ。
ゆりえの親友たちは彼女が落ち込んでいるとき、いつも励ましてくれる。
このハートウォーミングさが『ゴルゴ13』こそが人生の全てである自分のバランスをとってくれるんだ。

このアニメを自分が選択した主な理由はそこかしこで言われている”アメージングなアニメーションと作画”だ。
これはここ10年間で最も良いアニメーションの一つだよ。
多くの人がこのアニメを”ジブリの作った萌えアニメ”と呼んでいるけど、それはまったくもって正しいな。
わずかに作画が落ちるところもあるけれど、アニメーションは全体を通して一貫したクオリティを保っている。
まるで世界が動き続けているかのように背景は描かれ、スクリーン上には映らないい場面も動き続けているようなんだ。
アートワークに関する限り、キャラクターデザインはかなり可愛らしい。
そしてこのアニメで使われている音楽はただただ美しい。
このゆったりしたクラシカルな音楽は、君がアイスクリームを食べているだけで1日が過ぎていったシンプルな過去の日々へと、君を連れて行ってくれるだろう。
自分はこのオリジナルサウンドトラックを持っていることが自慢で、入っている22曲には退屈したことがない。

『かみちゅ!』の吹き替えはアメージングだ。
これは少女の声がキーキーした偽物の声に聞こえないアニメの1つだよ。
日本語版もすばらしいけど、英語の吹き替えが良いものである場合、自分は吹き替え版を選ぶ傾向にあるんだ。

総括すると、このアニメはビューティフルだ。
これは必見のアニメだが、唯一の欠点は万人向けではないということだ。
君が『Aria』のようなアニメを楽しめないのなら、これはお勧めできないだろうな。
萌えアニメ好きというスタンスなら、これは必見だ(信じてほしいがこのアニメは萌える)。
告白のシーンはアクション的な場面だけど、君にとって1マイル先から銃で撃たれたような効果があるだろうね。
そしてこのアニメは中毒性も高い。
優しく、リラックスするように作られているアニメなんだ。

我々は良く出来たアニメについて顔を真っ赤にして議論しているのを見ることがあるが、大抵それは『ナルト』や『ブリーチ』のことだ。
このアニメこそが洗練され、円熟した、楽しめるアニメだよ。


何故新年一発目が『かみちゅ!』なのか、見た人にはわかってもらえると思うのですが、新年のアニメといえば『かみちゅ!』なのです。
日常系萌えアニメはほとんど見ない管理人ですが、これと『まじぽか』だけは別格です。
(まじぽかが日常系かどうかはまた別の話ですが)
実際『かみちゅ!』も見る前は1話だけチェックはするけど、どうせ1話で切ることになるだろうな、程度にしか思っていませんでした。
1話で切らなくて本当によかった!
未だに台風が来れば思い出し、新年が近づけば思い出します。
作品として癖があるのは否めませんが、作画、ストーリー、アニメーションが高い位置で融合している(色んな意味で)神アニメだと思っています。