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このサイトでも度々引用元としているAnimeNewsNetworkですが、ここが他のアニメ漫画情報サイトと大きく異なっている特徴の1つにコラムが充実している、というものがあります。
そのコラムの1つ、『right-turn-only』は様々な漫画のレビューを行っていますが、そこに「Import Of the Month」というミニコーナーがあり、月に一度くらい海外では販売されていない漫画の紹介を行っています。
そのコーナーで2010年秋にアニメ化もされた『それでも町は廻っている』が紹介されていました。

少年画報社『それでも町は廻っている』紹介ページ:shonengahosha.jp
引用元:animenewsnetwork.com/right-turn-only/


※今回の記事はかなり短いです。
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●Encyclopediaより
嵐山歩鳥はミステリーへの愛とトラブルに遭遇する癖を持ったドジな少女だ。
歩鳥はメイドカフェにしたら売り上げが上がるのでは?と考え付くような流行っていない喫茶店でウェイトレスをしている。
残念ながら、メイド服を着る以外に何をしたらいいのか、誰も知らなかったのだが。
これは歩鳥の友人たち、すれ違いの恋愛模様を含んだ…幽霊や宇宙人まで出てくるいかれた物語である。

●薦める理由
作者、石黒正数の秘密を知りたいだろうか?
実は彼はメイド喫茶に行った事が無いのだ。
しかしそれこそが『それ町』に『エマ』以降のメイド文化において、もっともスマートな外部からの視点を持たせている。
もちろん日々の生活への視点は言うまでもなく。
読者のフェチズムにおもねるかわりに、石黒はオーダーを間違えた歩鳥が砂糖よりも甘ったるい声で「おかえりなさいませ、ご主人様」といってごまかしたりするような、シーサイドカフェで日々起きるコメディを淡々と描いている。
また、皮肉やしゃれの効いた素早い会話の応酬、スラップスティックコメディ等も『それ町』のコメディを語る言語の1つだ。
そしてそれはカフェだけでなく、歩鳥の買い物先、学校、家でも起きる。
数学教師と数学の法則について討論したり、妹弟に言う事を聞かせようとしたり、トラブルに巻き込まれたり、彼女の行動はその全てが面白おかしい。
ためらいの無い描線とキャラクターデザインは強い視覚効果をこの作品に与え、牧歌的な都会生活とスピード線によるアクション描写の劇的なシフトは各ページで穏やかさと興奮の高感度な天秤を作り上げている。

そう、町は廻っているのだ―間違いなく喜劇を軸にして。

●不満のわけ
コメディの軸はは確実に廻り続けているが、これは実際のところどこに向かっているのだろうか?
この疑問に対して『それ町』は1巻において、黙秘するかわりに全ての指をパイに突っ込む(訳注:あらゆるものに手を出すという意味)ことで答えたようにも思う。
これは職場が舞台のコメディだ!No、これはハイスクールロマンスだ!No、これは家族コメディだ!
もちろん、これらの異なったスタイルはそれぞれ上手く描かれているのだが、その結果結局のところ作品自体は浅くなっているように感じる。
例えば歩鳥と級友との恋の三角関係は、チャーミングな設定ながらどんなロマンティックな展開にも進展しない。
「シーサイドカフェ」を適切なメイド喫茶に変えようとする試みは最初の2話に面白さを与えているものの、石黒が他の面白い話を考え付いた時にあっさりと脱線してしまう。
それに歩鳥の弟妹はとても可愛いのだが(宇宙探検ごっこの話を読んでくれ)、メインキャラとは思えないくらいたまにしか出てこない。
漫画家が自分でやりたいことを始めから終わりまで決めているのならいいのだが…

●総括
引きが強く、続いていく物語が好きな人にとっては、このシリーズには失望するかもしれない。
しかし、たくさんのキャラやテーマを持ったウィットに富んだ日常系コメディや、ひたすら楽しい作画が好きな人にとっては、これは確実に面白いだろう。


『それ町』の魅力のひとつはSF(少し不思議)を含む何でもありな物語だと思うのですが、見ようによっては視点がとっ散らかっているように見えるのかもしれません。
確かに最終回があったとして、その時に何かが進展しているとは想像しにくい気が。
日常系コメディとしてではなく、日常描写のみの回もあるSF短編集として読んだ方がとっつき易いのかもしれません。

ちょっと短かったですが、今回はここで失礼します。
1月は忙しいのでちょっと翻訳量が少なくなるかも。
アニメの反応もまとめていかねば…