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アメリカの田舎で子供時代を過ごし、自然と触れ合っているうちに虫に興味を持ったジェシカ・オーレックさん。
しかし、アメリカには虫を愛でる習慣はほとんどなく、肩身の狭い思いをする事も。
そんな中、講師となったアメリカ自然史博物館で日本人は虫が好きだと教えられます。

日本語を勉強し、日本にやってきた彼女は虫に親しむ日本人を目の当たりにし、古事記や源氏物語をも研究し、そこに「もののあはれ」を見出します。

彼女の撮った『カブト東京(原題:Beetle Queen Conquers Tokyo)』、海外でのレビューです。

※原題の”Beetle Queen Conquers Tokyo”は日本語に訳すと『女王カブトムシ、東京を制圧す』的な意味になります

Beetle Queen Conquers Tokyo - Official Movie Trailer 2010 [HD]

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■sfgate.com

”もしあなたが泳ぐ事が出来るなら、海を恐れはしないだろう”
作家であり科学者でもある養老孟司は様々な格言、謎かけ、詩的な言葉で語られているこのドキュメンタリー『カブト東京』の最後でこの言葉を投げかけている。
彼の言葉は何故日本が他の国と違い、虫を気味の悪いものではなく身近な物として扱っているのかを説明している。

作家であり監督であり、プロデューサーでもあるジェシカ・オーレックはこの優美な作品で虫に深い愛情を注いでいる日本を描き出している。
驚くべき事に、虫愛好家の一人は昆虫のために90,000ドル(約710万円)を費やしているのだ。
しかし、映画監督はこういったショッキングな事に興味を持ってはいない。
その代わりに、彼女は文化的、歴史的な流れを見せてくれている。
100年前に詠まれたトンボに関する詩が、今日のビデオゲームに繋がる様を描いているのだ。
『カブト東京』は禅寺の庭園、盆栽といった小さな環境で虫を愛でる事を描く事において素晴らしい結果を見せている。
それはこの世界を取り巻く全てをミニマイズさせているのだ。
オーレックの映画はあまりにも穏やか過ぎるのが視聴者にとっての課題だろうか。
(蛍のシーンは特に眠たくなる)
冗長な作りと場面から場面への繋がりの矛盾が最初の課題だ。

このドキュメンタリーは日本語ナレーションに英語字幕、所々英語音声という形式をとっている。
その言葉は美しいが、オーレックの映画は沈黙の中にメッセージを語りかけている。
6歳の子供2人が好きな物を手にした時の字幕を見るチャンスは今年これが最後かもしれない。


■hollywoodreporter.com

日本人の虫に対する興味を哲学的に、歴史的に社会学的観点から調べ、叙情的に瞑想的に描こうと努力したこの作品は、虫にまつわる様々なジョークを忘れさせる。
これは驚くべき事ではない。
この作品を作ったジェシカ・オーレックは動物保護活動家にして、ニューヨークのアメリカ自然史博物館の講師なのだから。

現在FilmForumでプレミア上映されているこの映画がケーブルテレビや公共放送で流されるのは自然な事だろう。

映画は男の子がカブトムシを買ってと父親にねだる所から始まる。(値段は57ドル(約4500円)位)
この映画は、ペットとして飼い、店や自動販売機で売られ、ビデオゲームで描かれ、祭られ、絵画や文化となっているように昆虫が日本文化に驚くほど浸透している事を探っていく。
(監督のような)平均的なマンハッタンの住人が虫を魅力的且つ畏敬な存在として捉えているのは確かに困惑させられる。
現象を説明するのに古代の文章、特に俳句を用いたりと、この映画での彼女の持つ主題へのアプローチは若干非現実的でもある。
この雰囲気を増す事になっているのが、哲学的な解説を提供している解剖学者でありベストセラー作家でもあるDr.養老孟司だ。

プロの昆虫ハンターの活動を取り上げたり、内容的な不足は無い。
(これは明らかに利益を生む仕事だ)
そしてこの映像、混沌とした密度の都会と牧歌的な田舎を活き活きと描く様は、非常に素晴らしい。



■boston.com

ジェシカ・オーレックによる『Beetle Queen Conquers Tokyo』。
これはタイトルに偽りありだろう。
このタイトルには300フィートの身体を引きずり、ゴジラよろしく炎を吹き出す様を思い起こすかもしれない。
その代わりに見る事になるのは、90分間画面を飛び回るクリーチャー達だ。
これは納得のいくトレードだ。
この生き物たちにはうっとりとし、驚きもする。
彼らは茎にしがみついているだけではなく、卵から孵り、飛び回り、這い回り、脱皮する。
この映画は日本人と虫達の密接な関係を私たちに見せてくれる。
我々にとって虫たちとの関係は強迫観念的な問題でしかないのだが。
市場では、真っ黒なスカラベ的な昆虫に206ドル(約1万6000円)の値段が付けられ、昆虫の商人はフェラーリを乗り回している。

この映画は虫たちと精神的な繋がりを持った国の様子を囁きかける本日オープンの美術館だ。
神道、アニミズム、輪廻転生、虫達は我々の一部であり、次に生まれるときは虫になっているかもしれない。
監督である彼女の別の顔は、ニューヨークのアメリカ自然史博物館の講師であり、動物保護活動家でもある。
彼女はこの映画について、若い頃の昆虫についての喜びを拡げた物だと語っている。
この解説は映画の説明としては不十分だろう。
軽快な日本語によるナレーションによる詩の朗読は日本の伝説を語り、昆虫に関する情報を提供してくれる。
この映画は毛虫、蛾、カブトムシ、私の持っている昆虫図鑑でも見た事が無いような虫達で埋め尽くされている。
(何が何と知る必要は無い、それが不満というわけでも無い)
それは時に幼虫であり、時に成虫だ。
そして、映画のカメラは所々正確であるとは言えない。
公園での蛍のシーンは街角にあるコンビニのセキュリティカメラを思わせる。
暗く、曖昧で、怪しげだ。
それでも、最後の30分間は全く詩的でもある。
オーレックはノンフィクションで印象派のような映画を撮る方法を良く分かっているようだ。
叙情的なシーンの連なり、驚くほど染み渡るような、奮い立つようなイメージは、この映画の主題にぴったりだ。
カメラは何千もの虫たちが白い背景や照明で映し出されるようになっている。
電車の中で揺れる靴下は、その綿花の外で蠢く虫たちと併せて撮られている。
フェラーリのオーナーはスズメバチの入った酒を飲む。
虫達はテレビスクリーンに留まっている。
陽気な子供とそれを追いかける虹色のコガネムシ、地下鉄で本を読む男達と、背後の窓にかかる虹のアーチの流れは突然ではあるが気持ちよくもある。
そして、その後には貝殻のような傘を差して道を行き交う東京の人たちのショットが入れられている。
真実では無いが、これは明らかに比較なのだろう。


■variety.com

脚本家であり監督であるジェシカ・オーレックは『カブト東京』で昆虫と日本の歴史的な魅力に潜り込んでいく。
そして、この静かで幻想的なドキュメンタリーは視聴者に魅力を共有させる事も注目に値する。
登場人物達、詩的なアプローチをする熱のこもった解説者、しばし眠気を誘うシーンの含まれる叙情的で前衛的な昆虫映画であるこの作品は非常に直感的だ。
奇妙な主題であり、成功するとっつき易さに欠けてはいるが、映画祭での反響は良く、ネットでは話題となっている。
現在52分バージョンが放送されている。

映像は昆虫をペットとして売る店(時々自販機にも入っている)、自分の顔と同じくらい大きなカブトムシを飼う子供たちに多くの時間を割いている。
その一方でオーレックは様々な宗教や哲学の影響を辿ってもいる。
仏教や神道、それは自然の優位性を重視しており、それが罵倒されてきた生き物を慈しむ日本のユニークさを普遍的なものにしていると。
シーン・プライス・ウィリアムズ(カメラマン)のミニDVレンズは自然の昆虫たちを映し出す。
とりわけ、闇の中の蛍たちは素晴らしく詩的だ。




数年前に話題になった作品ですが、その時のレビューです。
虫を飼っている人というのは世界中にいますが、ホームセンターやディスカウントストアで虫を売っているとなるとなかなか無いような気が。
昆虫の変態に物事の移ろいを見出したりもあるとは思いますが、カブトムシや蝶、トンボ、バッタといった魅力的な虫が生活範囲内にたくさんいた事が日本の虫好きを維持してきた一因な気も。
日本で公開したら結構話題になると思うのですが。

追記:予告トレーラーを追加しました。情報ありがとうございます。




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