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アニメの表現は時として海外のクリエイター達に強烈なインスパイアを与えます。
アニメがアメリカのSFに与えた10個の視覚表現という記事が海外のサイトで紹介されていました。

※10要素に関しては抄訳です。

引用元:10-visual-motifs-that-american-science-fiction-borrowed-from-anime
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10)虫型メカ
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これは非常にたくさんあるので、誰が最初なのかを挙げるのは非常に難しい。
しかし、不気味な虫型メカに関しては士郎正宗が『攻殻機動隊』や『アップルシード』で人気のあるアイディアをたくさん提供している。

9)三点着地
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TVTropesが指摘している通り、片手を付いての着地である三点着地はアニメから始まり、今ではアメリカ中を征服している。
この動画を見てもらえれば分かるが、最も古いものは『攻殻機動隊』と『エヴァンゲリオン』だろう。

Three Point Landing


8)セメントを破壊
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関連した事だが…映画『アイアンマン』等最近の映画でこういったシーンを見る事が出来る。
”着地によって地面が割れるのはアイアンマンが最も有名だが、ほとんどのアニメで行われている事だ”
『The New Kind』のアニメシリーズ監督、ピーター・ヒョウグチはそう語っている。
”ヒーローが激しく落下して地面が割れるのはアニメでは非常によくある手法だ”

7)パワーアップ
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アニメは短期の間にパワーアップする方法を提供してきた。
ドラゴンボールのエピソードを考えてみよう。
悟空が身構え、歯を噛み締める。
そうすると何か重要な力が始っている事を示すために小石は地面から浮き上がり、そこが都市だった場合、ガラスが割れるのだ。
他のパワーアップエフェクトも映画で見る事が出来る。
『Chronicle』は『アキラ』のファイナルバトルでメインキャラの叫び声と共に建物が崩れ落ちていく様を大いに拝借している。
『X-MEN:ファーストクラス』ではハボックが能力を使うとき、歯を噛み締めるポーズを取っている。


6)視覚的なサイキックバトル
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漫画評論家ジェイソン・トンプソンによると、デビッド・クローネンバーグによるサイキックバトルの表現はいささか微妙らしい。
しかしアニメは”お互いのフォースフィールドを押し付けあうような”視覚表現をしている。
アメリカ映画のクリエイター達はアニメや漫画からこの手法を拝借し、CGによってエナジーフィールドを視覚化している。
『Dark City』は『アキラ』の手法をかなり真似している。

5)エナジーボール
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最近はレーザーが発射した瞬間に発火というエフェクトが出てきてるだろうか。
”エネルギーをチャージして発射、大砲の口でエナジーボールが大きくなるというのは非常に盛り上がる”
ジェイソン・トンプソンはそう語る。
こういうのは西洋の映画においては非常に”アニメ的”で、漫画版『アキラ』の稲妻が駆け巡るスクリーントーンを思い起こさせる。
これはアメリカの娯楽においては『スパイダーマン2』で出てきたような”ゆっくりと動き回るプラズマ球”という表現がされている。


4)より非人間的な女性生体兵器
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黒の化学繊維とトレンチコートに身を包んだ女性は彼女達の性別を超えてホットで恐ろしい。
彼女達は時に武装し、超人的な恐ろしさも見せる。
アニメは女性サイボークの新たなアーキタイプを産み出した。
彼女達の強靭な肉体は人間性と感情との奇妙なせめぎ合いと共存している。
『攻殻機動隊』の草薙少佐、『Battle Angel Alita(銃夢)』のアリタ(ガリィ)はぴっちりしたボディスーツとトレンチコートで象徴されている。
ジェームス・キャメロンの『Dark Angel』は似たような外観をしているが、彼が『銃夢』の映画化権を購入した事を考えればそれは驚く事では無いだろう。
『アンダーワールド』でケイト・ベッキンセールが演じたヴァンパイア、『バイオハザード4:リトリビューション』のアリス、そしてもちろん『MATRIX』のトリニティも『攻殻機動隊』のフォロワーだ。
『トロン:レガシィ』のアイコニックなボブカット、クオーラはブラックジャンプスーツの新人だ。

3)凄く大きな耳を持ったエルフ
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アメリカで『ダンジョンズ & ドラゴンズ』と共に育った人間が初めて『ロードス島戦記』のディードリットを見た時はショックを受けただろう。
それがエルフの耳だとはほとんど分からなかったはずだ。
しかし、『エルフを狩るモノたち』のようにアニメではこういったエルフが散見されている。
西洋においてはインディコミックの『Poison Elves』以外だとほとんどのエルフは水平に伸びた耳をしている。
アニメのエルフとトールキンにインスパイアされた西洋のエルフの間には砂のラインが引かれていたように思うが、そのラインは『World of Warcraft』が来た事によって消え去り、今では大きな耳のエルフが世界的な共通表現となっている。

2)ネオノワールな都市
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アジア的なネオン広告が煌くダークでサイバーパンクな都市、何がアニメから来て何が『ブレードランナー』から来たのか説明するのは難しいだろう。
リドリー・スコットの独創性に富んだ1982年の映画は間違いなく日本のクリエイター達に強烈なインパクトを与えた。
しかし、その後に彼らは様々なビジュアルを追加し、華麗に走り抜けていく事になる。
『バブルガム・クライシス』、『アミテージ・ザ・サード』、『攻殻機動隊』、そして『アキラ』といった様々なシリーズや映画で陰惨なサイバーパンク都市が描かれていったのだ。
アニメは”ダークシティ”を自分達のものした。
日本のRPGもまた『ファイナル・ファンタジーVII』のミッドガルの様な場所でビジュアル的に展開していく事になる。
アレックス・プロヤスは自身の映画『ダークシティ』で建物が自己修復していくのは『アキラ』へのオマージュであると言っている。
『トロン・レガシー』の都市ビジュアルは『ブレードランナー』の影響をもろに受けているが、洗練されたビジュアルはアニメやゲームからも多大な影響を受けているだろう。


1)ハイスピードな動きを視覚化させたブリットタイム
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2006年のインタビューで、『MATRIX』のビジュアルエフェクトデザイナー、ジョン・ガエタはブリットタイムについて『アキラ』の作者である大友克洋の影響を部分的に認めている。
『MATRIX』のプロデューサー、ジョエル・シルバーはウォシャスキーに『攻殻機動隊』を見せられ、これの実写版を作りたいと言われた、と語っている。
『MATRIX』は後のアメリカ映画に山ほどの影響を与えたが、ネオが弾丸を避けるシーン等、アクションにおける視覚効果はますますアニメ的になっていく事になる。
『攻殻機動隊』から『ナルト』まで、アニメの激しい闘いのさなかに静的な一瞬を挟み込んでくるこのやり方は伝統的にキャラのリアクション、闘いの視点を変更するため、あるいは単純に衝撃的なシーンを見せる前の溜めとして使われている。



↓この記事に対する海外の反応

●ローク
大事な事を忘れちゃいけない。
”宇宙でのドッグファイトだ!”
初めて見たのは1974年の『宇宙戦艦ヤマト』だったな。

●サイモンマクニール223
↑初めてが1974年だと?
ううむ…『レンズマン』が書かれたのは1940年代だぞ。

●ローク
↑巨大な宇宙戦艦の戦闘と言う意味ではイエスだが、ドッグファイトという意味ならノーだろ。

●パウンマン99
本で宇宙戦の様子が書かれたものならたくさんあるけど、宇宙船同士のドッグファイトを定型化させたという事なら、間違いなくアニメの影響を受けてるだろ。

●ドラゴンブレス
この記事で唯一引っかかる点はアメリカのフィクションとハリウッドのSF大作を同一視してる所だな。
SFはアメリカのものだろうとそうじゃなかろうと映画以上だ。
実際、自分は今の映画が現在のSFを表わしているとは思ってない。
SF映画はアクション重視になって、SF的なものは少なくなってきている。
SFってのは”もしこうだったら…?”というシンプルな疑問からきてるんだ。
SF映画はもっとたくさんの疑問が入ってるな。
”もし将来何もかもが爆発して、側にヒーローがいたら?”とかね。
ちょっと単純化させすぎてるけど、この点に気を留めてくれたらもっと良いタイトルになってたと思うんだ…
『アニメがハリウッド映画に与えた10の視覚効果』とかね。

●スライケ071
ここ最近で最もバイアスが掛かった例だな。
ここで挙げられてるポイントは全て例外なくアニメや漫画よりも先に書かれているSF小説を羅列する事ができるぞ。

●スペクトラX
製作者がアニメから影響を受けたと明言しているもの以外で、全く独創的だったりアニメから影響を受けたものなんか1つも無いだろ。
ノワールシティは『ブレードランナー』から影響を受けていると記事でも書いている以上全く意味を成していない。
アニメがその後”それを自分のものとした(議論の余地があるが)”としても、『ブレードランナー』がオリジンである事に揺るぎは無いし、そもそもそれ以前にメビウスやシド・ミードやフリッツ・ラング等の作品から影響を受けてるんだ。
オーマイゴッド、もし真剣にやりたいんならTVTropsをソースにはするべきじゃないだろ。

●ストーリーマーク
>ここで挙げられてるポイントは全て例外なくアニメや漫画よりも先に書かれているSF小説を羅列する事ができるぞ。
サンキュー!!
三点着地についてだが、有名なキャラと言えばスパイダーマンだけど、スパイダーマンはエヴァンゲリオンよりも前だって事を無視してるよね。
ま、”何もかもアニメからパクってる!”っていうタイプの奴はこの記事を気に入るだろうな。

●レフトアットマーズ
訂正するわけじゃないけど、超能力戦については大友克弘の『童夢』と同じ時期に『X-MEN』で人気となってるね。

追記:最高の記事だった。まさにその通り。

●ヤッターマン
『バビル2世』が発刊されたのは1973年で『童夢』よりも前だ。

●ザ・アルティメット・ティー
>訂正するわけじゃないけど、超能力戦については大友克弘の『童夢』と同じ時期に『X-MEN』で人気となってるね。
6)はサイキックバトルでの光線や光球といった視覚効果についてだよ。
”2人の男が顔をしかめながら指を突き出してお互いを攻撃する”ってのはアメリカのスタンダードなサイキックバトル描写だ。

●インディアナペリエ
記事の著者がいいたいのはどのように定型化されたか、だと思うんだよね。
『X-MEN』での稲妻や電撃はどっちかというと”銃撃”って感じだし。

アニメの場合はスポットライト的な光だったり、キャラの周りを風が渦巻いて、光や風と共に変身し、泡のようなフォースフィールドが作られるんだ。

●クリス・ライツ
4)の非人間的兵器と言えば『フィフス・エレメント』のリー・ルーだろうが。

●オープンパーム
バレットタイム(やマトリックスでの銃撃戦)はジョン・ウーの映画に影響されたと思ってるんだが。
多分間違いじゃない。

●グレッグノーボディ
アニメが視覚方法を侵略していく、か。まあいい。
自分としてはフリッツ・ラングの『ゴースト』がネオノワール都市の中に入っていないのは問題があるように思うね。
『メトロポリス』(1927)の事を度忘れしちゃったとか?
日本のアニメが多くの、多くの事をアメリカのコミックブックからコンセプトや”革新的さ”をアメリカのコミックブックから得てきていることも考慮して欲しい。
(君があえて無視したか一笑に付してきた80年にわたるマテリアルがあるんだ)

ディズニーの『白雪姫と7人の小人』(1937)は多くの日本人アニメーター達のインスピレーションに直接的にリンクし、彼らは最終的に日本初の長編アニメでプロパガンダ映画となる『桃太郎 海の神兵』(1945)を作ることになるんだ。
メカは漫画がブームとなる1960年代後半から1970年代前半まで存在しなかった。
メカ自体はジュール・ヴェルヌの『The Steam House』やH・G・ウェルズの『宇宙戦争』からインスパイアされている。
アメリカのSF映画に出てきたロボットや地球を侵略しに来たエイリアンがメカを作る上で影響を与えた事は言うまでも無いだろうね。
(クラートゥ・バラダ・ニクト?)
(訳注:クラトゥ・バラダ・ニクトは1951年の映画『地球が静止する日』に出てくる暴走したロボットを止めるための言葉)
ここ15年間で出来た日本のアニメを挙げて、日本のアニメが視覚表現を産みだして来たと主張するのは合点がいかないね。
いわゆる本当のアニメスタイルというのは1960年まで存在せず、世界がアニメを知るようになったのは1980年代からで、日本のスタジオは他の人達よりも早くに映画やテレビ番組に触れてきていた。
この時点で数十年にわたる海外の映画や漫画、小説からの影響があったんだ。
アニメが多くの視覚表現を開発し、それを人気にしてきた事は認めるよ。
でも、このリストの何もかもが正しいとは認められないな。
何せ『MATRIX』(この映画は聖書やグラント・モリソンの『ジ・インビジブルズ』等あらゆるものからネタを拝借している)は13年前の映画なんだから。

●ベンマックス
『アイアンマン』の地面を割りながらの三点着地はアディ・グラノフのカバーが有名だな。
アディ自身はそれがアニメに影響されたかという質問に対して、どの作品というわけではなく、アニメそのものに対してのオマージュだと答えてる。
いくつかの記事はちょっと拡大しすぎだな。
まるで日本人が西洋からまったく影響を受けてないと思ってるみたいだ…
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●ワッフル・レイブレッド
アキラ、アキラ、アキラばっかりだったけど、『銃夢』、『ロードス島戦記』のディードリット、『バブルガムクライシス』で気分が晴れた。
素晴らしい記事だ!
今度は2)を拡大して、西洋のSFがアニメにどれだけ影響を与えたのかをやってほしいね。

●スラップショック
悪い、でも割れるセメントに関しては間違いだ。
1938年のアクションコミック1巻のスーパーマンが初めてだな。

●キャリアーサイタラス
虫型メカは70年代にもうあったぞ。
子供の頃に見た『タイムボカン』に出てきたタイムマシンが強く印象に残ってる。

●マジックマン
非人間的な女性型兵器と言えば、ロバート・A・ハインラインが1982年に書いた『フライデイ』だろ。




表現に関して何がオリジナルかというのは非常に難しい問題で、何が正解とはとても言えないのですが、エポックメイキング、ターニングポイントとなった作品というのは確実にあるといえます。
『アキラ』や『攻殻機動隊』はその中に入るといって差し支えないのではないでしょうか。
そういえば新作『トータル・リコール』のスラムがまんまブレードランナーで笑った。
ちなみにスパイダーマンのあの三点着地のようなポーズは東映版がオリジナルだったり。
そしてジェームズ・キャメロンはさっさと『銃夢』を映画化しろと、しないならウォンテッドかリベリオンの監督にやらせろと。




1/24 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG シリーズ No.1 タチコマ
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