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日本の仕事現場にはなくてはならない存在の軽トラック。
田舎でも都会でも、場所と用途を問わずに大活躍しています。
海外の自動車専門サイトがスバルのサンバーの乗車レビューをしていました。

※各項目の点数は10点満点

引用元:You Need Subaru's Versatile Little Sambar Pickup: The Jalopnik Review
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■エクステリア:5点
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この車は完璧に機能一辺倒。
フロントエンドには幾つかの中途半端な試みが見られるものの、ほとんどが同じ外観をしている。
何故なら、これは仕事をするためのツールだから。
そして自分はそれが好きなんだ。
個人的にこういう非の打ちどころのないルックスが好きだね。
とは言え、丸ライトでもっとシンプルだった前世代の方が好きなんだが。
今の世代も悪くはないのだが、フロントグリルを目立たせるために窪みや溝があったりと、他の軽トラと比べるとちょっとスタイリッシュすぎるきらいがあるね。
自分としてはフロントフェイスはもっと滑らかな方が好きなんだけど、実際のところ大して重要な問題ではないかな。

この小さな奴は機能的な機械そのもので、ちょうどよく出来たレンチがハンサムに見えるのと同じようにハンサムだ。
アメリカ人の眼からすれば驚くほど小さく、それが自分にとっては堪らなく魅力的に映るんだ。
これを運転している所を見られるのはハッピーだね。

エンジンの上に被さっている荷台は驚くほど実用的なサイズで、側面・背面どこからでも荷物を下ろすことが出来る。
全ての側板を下ろせばフラットな荷台にする事だって出来るんだ。
とにかく実用的で、なんでアメリカではこういうトラックが売られていないのか理解できない位だ。
これはスケールダウンしたVWのType II pickupみたいなものだね。

Type-II
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横から見ると不思議な位に短いけど。
多分みんなはこれに乗っても安全に運転できると思うけど、自分はこれに乗るといつも倍くらいの高さにしてくればいいのに、と思ってるよ。


■インテリア:4点
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別に間違っているわけではない。
これは作業車のインテリアなのだから。
それに凄くミニマルでもある。
高級じゃないのは明らかだけど、安っぽくはない。
そしてそれは重要な違いでもあるんだ。
プラスチック部分はハードな使用に耐えられるように、柔らかくしなやかな手触りのものが選ばれている。
ダッシュボードには必要とされるものが揃っているけど、それだけとも言える。
でも、視認性は良いし機能的。
自分はサンバーの奇妙なCVT(無段変速機)ギアセレクターが好きだ。
ダッシュボートに取り付けられたそれは、まるでエアコンの吹き出し口から飛び出したロボットのコブラみたいだから。

それと、アクセルペダルは今まで踏んだ中でも特に奇妙なペダルだね。
自分が今まで乗ってきた車のアクセルペダルは下から伸びてるものや上から下げられたものばかりなんだが、これは初めての”横から飛び出した”アクセルペダルだ。
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場所的には普通の位置なんだけど、太くて短いバーにつけられたペダルがドライバー側のドアフレームから生えているのはなんだか変な感じがするね。
それと、ダッシュボードの下から飛び出した細いステアリングコラムも奇妙だ。
奇妙過ぎる。


■アクセラレーション:6点

これ以上良くは出来ないだろう。
エンジンは普通の自動車よりも小さく(658cc)、馬力は70年代のビートル程度だ。
(大体57馬力)
でも、そんな感じはしない。
これはこのトラックが普通のスマートカーよりも180kgほど軽いからだと思う。
おおよそ60馬力で、引き回す時の重量が無い事で結果として加速がかなりキビキビしているね。
CVTはしっかりと動力をホイールに伝達してくれていて、ひょっとしたら普通のマニュアル車よりも良いんじゃないかって位だ。
カタログ上だとそれ程には感じないけど、実際に乗ってみると驚くほど良い感じだよ。


■ブレーキング:5点

軽量でリアエンジンのもう1つのプラスポイントはブレーキが簡単に効くという事。
つまり、ほとんどの負荷がかかるフロントにはエンジンの重量が加わらず、全体に重量がかかり過ぎないようになってもいるということだね。
結果、停車は素早く、ドラマチックにならずに済んでるという訳。
大抵のトラックは停車する時に気を使わなきゃいけないし、発進だってなかなか出来ないんじゃないかな。


■乗り心地:6点

荷台が空のトラックを運転する時に耳障りな騒音を出すのはよくある事。
特にロークラスの作業トラックの場合は。
しかし、このサンバーは違う!
リアエンジンのトラックという、一見不合理なルックスがここで生きてくるんだ。
リアとフロントの重量配分の良さは荷台が空の時も維持されている。
CVTによる4段変速は滑らかな速度変化を提供してくれていてサスペンションも弾み過ぎず、乗り心地は驚くほど良いよ。

日よけのないフロントウィンドから見る景色はまるで魔法の絨毯に乗っているよう。
VMの昔のバスやフォードの昔のキャブオーバー・エコノラインに乗ったことがある人なら言ってる意味が分かるはず。


■ハンドリング:6点

自分が乗っている車はほとんどがリアエンジンで、尻の重いハンドリングが我が家みたいなものだから、この評価にはちょっとバイアスがかかってるかもしれない。
自分が乗った場所は平らで大きな円形のコースだったから、もう大爆発って感じだった。
ハンドリングは思っていたよりもオーバーステアかもしれないけど、危険を感じるほどじゃない。
合理性のみを追求した作業用トラックよりも十分楽しく乗れる感じだね。
アシスト無しのステアリングは軽くてダイレクトで、ホイールの感触を気持ちよく感じる事が出来る。
運転が楽しくて夢中になってたからコースのパトロールカーに気づかなくて、同乗していたエンジニアがスローダウンするようにと叫んだ位だよ。
彼は理解してくれたし、サンバーの運転に夢中になったのは私が初めてという訳じゃないと説明してくれた。
多くのエンジニアがこのトラックを運転するのを楽しんでいるらしいよ。

もっとたくさんの点を付けたいけれど、現実的に言ってこのトラックに高性能に設計された車と同じ点を与える事が出来ない事も分かっている。
それに、自分にこの運転のダイナミックさ、本物ハンドリングがどれ程楽しかったかを伝える事が出来る文才があるかどうかも分からないから。
色んなレベルで、とにかく楽しかったんだ。


■ギアボックス:7点

このCVTトランスミッションには高得点を付けよう。
このCVTによって、この車は乗り心地やしっかりした加速を得ていると思うから。
こういう小さくてシンプルな車には良くても5段変速が付いてる位だろ、と思っていたから、初めて乗った時は自動変速機が付いていた事に本当に驚いたよ。
スバルならサンバーにCVTを付けるだろう事に気づくべきだったと後になって思ったけれど。
スバルは80年代に初めてアメリカにCVTを持ち込んで以来、ずっとCVTと小型排気量エンジンの組み合わせに取り組んできたのだから。
この組み合わせは凄く上手く行ってるように感じる。
トランスミッションは小型エンジンの動力を最大限に伝えているし、ギヤのない事が生み出したパワーをスムーズに伝える事にもなっている。
何故マイクロカー・スマートのエンジニアがこの解決法を見つけなかったのか理解に苦しむくらいだ。



■オーディオ:4点

作業車だけに、オーディオ特性について特に注意を払おうとは思っていない。
競争力となる利点があるわけでもないし。
ほとんどの軽トラや軽のバンは運転席の下にエンジンがあり、それによって運転席はちょっとうるさい。
このサンバーはエンジンがリアにあって運転席から離れているから、聞こえてくるエンジン音はそんなに悪い物じゃない。
気付く人はあまりいると思えないけど、ふとした弾みでこれは凄く良いんじゃないかと気づいてこの点を付けたよ。

今となってはノスタルジックなクオリティ以外で娯楽としてのオーディオ関係に関して特に点を付けようとは思わないかな。
ダッシュ・インのラジオ(CDは付いていない)、ユニットとして組み込まれたシングルスピーカーなんかは70年代以降に作られた車では見たことが無いんじゃないかな?
ダッシュボードにハーモニカがあったのと同じくらい基本的な事だったんだ。


■ユーティリティ:9点
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OK、通常のレビューだとこの項目は”オモチャ(ガジェット)”がなのが普通だ。
しかしこの車にはそういう物はない。
サンバーにあるもので”オモチャ”に近い物と言えばワイパー位か。
サンバー自体を”オモチャ”と捉えてみようかとも思ったけど、そんな無礼な事をするつもりもないし。
だから、ユーティリティに変える事にしよう。

そして、これは便利すぎる。
アメリカ人のほとんどがこのサイズのトラックを見たら即座に却下すると思う。
そしてこう言うんだ。
”こんなサイズじゃ何も運べないじゃないか!”と。
もしそれが本当なら、その人達は日本についても説明しなきゃいけないだろうな。
自分が言えることは、日本にあるあらゆるものが軽トラで運ばれているという事だね。
日本語で書かれている最大積載量とサイズの警告は、結局のところこう言ってるんだと思うんだ。
”ロープさえあれば何でも運びます”と。

いや本当に。
東京では非常識な位物を積んだ軽トラを見たこともあるんだ。
中央分離帯の横で信号待ちをしていたのを見たんだけど、凄く大きな木で中央分離帯に植えられてるのかと思った位だ。
中央分離帯に植えられている木でここまで大きいのは見たことが無いと思った位に。
信号が緑になった時に、中央分離帯に生えていると思っていた木が実はサンバーの荷台に積まれていたものだったと気付いたよ。



■価値:8点

実際のところスバルは去年あたりからサンバーの製造を停止し、今ではダイハツが作っている。
それには2つの理由があるとの事。
1つ目はスバルはBRZとFR-Sの製造ラインが必要だったからで、これは理に適っている。
もう1つはスバルがサンバーで金を稼ぐことが難しかったからというもので、サンバーは決して高いものではないけれど、標準でもかなりのハイクオリティだったために利益があまり出なかったらしい。
エンジニアが真剣な面持ちで私に言った事がある。
”ガラクタは作りたくない”と。(少々言い換えているが)
そしてその証がサンバーなのだ。
小さいけれどデリケートじゃない。
私が言い続けているように、汎用ツールを目的とした車でこれ程よく出来た車はそう多くない。
そして覚えておいてほしい。
この小さなツールは8000ドル以下で買えるのだ。
少なくとも2012年モデルは。
もの凄くお買い得だよ。


■総合:100点満点中60点

↓この記事に対する感想


ここ自由の国カナダでは古いサンバーやその仲間達で走る事が出来るよ。
父親は日本から輸入したけど、小さなトラックを使うような時はフルサイズのトラックを使うから市場としてはあまりないと思うな。


↑そうなのか?
アルバータ州に住んでいるんだけど、妻も私もこういうトラックを探しているんだ。
でも、見つかるのは高価な三菱やトヨタの奇妙なBoxy位なんだ


カナダの西海岸に来るべき。
先月ビクトリアに行ったんだけど(自分はアルバータ州住みだ)、こういう小さな宝物がそこらじゅうを走ってたよ。
素晴らしかったね。
他に素晴らしかった点は、マッチョなピックアップが全然無かった事だね。
カルガリーじゃジャッキアップされた一人乗りのガラクタみたいなピックアップを見ずに10フィートも歩くことが出来ない位だから。


スズキの小さなキャリーとスーパーキャリーを思い出すね。
何か月も前、叔父がジャマイカの工場で乗っていたよ。
ツアーで他の人達と一緒に乗り込んだことを思い出した。
悲しい事に、巨大ハリケーンがジャマイカを襲った時に流されちゃったんだよな。
その後、巨大な水たまりの底で発見されたよ。


この写真は地元のガソリンスタンドで錆びている昔のサンバー。
ガソリンスタンドのオーナーが所有者で、もう何年も乗ってないのに売ろうとしないんだ。
目茶苦茶欲しいのに。
WRXのエンジンに乗せ換えたいんだよな。
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↑最高の乗り心地になりそうだな!
色もいい感じだ。


ハヤブサのエンジンを積んだ方が実用的なんじゃ。


親愛なるサンタさんへ。
クリスマスツリーの下にはスバルの小さなサンバーを置いておいてください。
凄く凄く凄く凄く凄く良い子にしてますから。
重くて大きいわけじゃないから橇で引くのに支障ないはずです。

今のサンバーはダイハツが作ってるって事?
それともスバルデザインをダイハツの工場で作ってるって事?


↑新しいのはダイハツ製だね。
リアエンジンの代わりにミッドエンジンになったけど、元のサンバーの良い部分がたくさん残っているよ。
それもレビュー出来たら良いんだけどね。


Japanese Mini-truck Drifting


オーバーステアとか言ってたっけ?


↑ああ、乗ってる時はそんな感じだったよ。


これはちょっと嫉妬しちゃうな…


このレビューは自分の疑問に対する絶好の答えになったよ。
小さくて燃費が良くて、それでいて自然の中で実用的な車を探してる所なんだ。
今は08年製のWRXに乗っていて、凄く気に入ってるんだけどWRXには欠けているユーティリティを持った車を探してるんだ。
WRX的に自然に入っていける小さなトラックがあればいいなって思ってたんだよ。
トヨタ・タコマに乗ってみたけど、気に入らなかったんだ。
今のところフォード・レンジャーが自分の求めてるものに一番近いみたいなんだけど、フォードは自分の所じゃなかなか見つからないんだ。
何か他にお勧めとかあるかな?


↑スバルのバハとかは?


STI(スバルテクニカインターナショナル)バージョンな。
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↑ヘル・イェー!


ちょっと面白い事実
サンバーはロータスエリーゼよりも軽く、オリジナルのミニとほぼ同じくらいの重量で、サンバーの635kgという重量は地球上で一番重い人間だった事もあるJon Brower Minnochとほぼ同じ重さ。


欲しい。
自分の場合はギターとアンプを運ぶから、実際には軽のバンが欲しい。


↑軽のバンはギターやアンプを運ぶのに丁度良いと思うね。
あとはウクレレとか。


ここは人口11000人の小さなカナダの町だけど、少なくとも5台のサンバーが走ってるし、90年代初頭に日本に住んでた時から1台欲しいと思ってるんだ。
東京の狭い路地と極端に小さなお店にとっては貴重な存在だよね。
ここカナダの町では造園や配達、それに防水処理会社の人が仕事で使ってるね。
何か理由があれば買えるんだけど…


軽トラに乗ってるけど(2001年製のダイハツ・ハイゼット)、信じられない位色んな事に使えるよ。
凄く運転しやすいし…高速に乗ろうとしない限りは。
早く時速50kmにするにはかなりギアが低い感じだね。
こういう作業車で事故りたくはないし。


日本にいた頃は軽に乗るのが楽しかったな。


友達の父親がダイハツハイゼット(右ハンドルのマニュアル車)に乗ってるけど、凄く楽しいよ。
特に農場で走らすのが。
彼らはポラリス・レンジャーも持ってて乗り比べた事はないけど、このミニトラックは凄く大好きだ。


アメリカでもゲットできるのかな?






人の移動よりも物の運搬を第一に考えたシンプルな設計思想とそれに基づいたタフな仕様が自分の挙動がそのままダイレクトに車の動きにつながるという、昔ながらの車の良さを引き継いでいるのかもしれません。
アジアでは昔から大人気でしたが、カナダでも乗っている人が多いようです。
しかしどうやってあの狭い車内に乗り込んでいるのか…