巨大ロボと怪獣が戦う映画を作ったギレルモ・デル・トロ監督は大のアニメ・漫画ファンとしても知られています。
彼が海外の掲示板に登場し、ファンたちの質問に答えていました。
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●GuillermoDelToroHere
やあ、僕はギレルモ・デル・トロだ。
そしてこれは僕の始めてのトライになる。
映画、オタクカルチャー、ダイエット、ファッションなんでも聞いてくれ。
今度FXで放映する『ザ・ストレイン』をチェックしてくれると嬉しいね。
●merry722
自分はあなたの映画での色の使い方が大好きなんだ!
『パシフィック・リム』での色の使い方とかどういう風にやったんだろう?
例えば、カイジュウの内部の美しい青とか。
●GuillermoDelToroHere
↑その事について言ってくれて嬉しいね!
『パシフィック・リム』と今手がけている『クリムゾン・ピーク』は今までフィルムに収めてきた動く絵画として、かなり望むものに近かったんだ。
あの映画ででは期待通りの活気に満ちた色使いになるようにCGアニメーションは全てのフレームを僕が監督して、CGの美術監督も実写と同じように手を掛けたんだ。
自分の思っていた色の彩度は”現実世界”の映画で出すのはかなり難しかったと思う。
それに、巨大ロボとカイジュウがいる説得力のある世界を作り上げることもね。
基本的に僕は自分の作品でのカラータイミングは非常に繊細に扱っていて、映画で正しい色を出すために何ヶ月も何ヶ月も掛けてるんだ。
あらゆる衣装のカラーコーディングから始まって、あらゆるセットデザインのカラーコーディングを行い、照明の硬さやビジュアルデザインがきちんとした色になっているか確信するまで何度も繰り返してる。
色が正しく光に溶け込ませて(『ヘルボーイ2』のトロール市場ではかなり大胆な実験をしてみた)、最終的に撮影されたものを濃厚で漆黒なイメージをベースに色調整を施して仕上げるんだ。
僕は色の鮮やかさと絵の中の黒の濃度が映像の美しさを決めると思っているからね。
●vicabart
監督の素晴らしい色使いのことを他にも気づいた人がいて嬉しいよ。
香港とハンニバルの館の色合いが本当に好きなんだ。
●jablair51
クトゥルフ映画を撮りたいというあなたの考えが大好きなんだ。
『狂気の山脈にて』を作るチャンスはあると思う?
(訳注:デル・トロ監督はラヴクラフトの書いた『狂気の山脈にて』の映画化を熱望しているが、資金繰りなどから難航している)
●GuillermoDelToroHere
↑もし出来たら素晴らしいだろうね!
もし色んな理由から出来ないとしても、映画のメイキングシーンやデザイン画を本にすることをユニヴァーサルに許可してもらうよう全力を尽くすと約束するよ。
何せ驚くほど美しいから。
でも、ラヴクラフト映画を作れるなら、どんな内容であれ僕はそれを好きになるだろうね。
僕は彼の作る話が好きだから、もし『狂気の山脈にて』を作れなくても、いつかそれに似た内容の短編を映画にしたいと思ってるよ。
●hrtfthmttr
↑頼む、愛の神のためにもラヴクラフトを映像化して欲しい。
我々には必要なんだ。
これまでのあなたの作品にも感謝を。
『デビルズ・バックボーン』は自分の超常現象スリラーに対する見方を変えてくれた。
●GuillermoDelToroHere
↑サンキュー、『デビルズ・バックボーン』を気に入ってくれたことにもありがとうを。
僕は喜んで2015年の19月に公開予定の『クリムゾン・ピーク』を見るべきだと君に言おう。
これはトム・ヒドルストン、ジェシカ・チャステイン、ミア・ワシコウスカ、チャーリー・ハナムの出演する驚天動地のゴシックロマンスだ。
そしてこの映画は『デビルズ・バックボーン』の姉と言える作品でもあるんだ。
世紀の変わり目の英国邸宅が舞台な所は『デビルズ・バックボーン』の系列だね。
●airbreather02
『パシフィック・リム2:クトゥルフの呼び声』とか。
●orangejulius
『パンズ・ラビリンス』で最も難しかった部分は?
●GuillermoDelToroHere
↑あの映画は特に難しかったね。
本当に、簡単に撮影できたところは1つも無かったと言いたい。
でも、特に頑張ったのはペイルマンのシーンと戦闘シーンを撮ったときだろうな。
何でかというと、この撮影では一切の火器類を使ってはいけないと言われていたからで、僕達は発火のしない火器を使い、俳優達は子供のカウボーイとインディアンごっこのように、文字通りその銃がちゃんと動作しているかのような演技を必要としたからなんだ。
俳優達はあたかもその銃から弾丸が発射されているかのような手の動きをしてはいるけど、銃を使うことは一切許されなかったからマズルフラッシュや銃のりコイルはポストプロダクションで付け加えたんだよ。
色んな理由で、あのシーンはまるでリハーサルをしてるみたいだったな。
確か大尉を演じたセルジ・ロペスはファーストテイクかセカンドテイクで子供がカウボーイとインディアンごっこをするように「バン!バン!」と言っていたね。
それはリハーサルの時だけだと彼に言ったもんだよ。
それとペイルマン、これはファウヌス(パン)とペールマンはメークアップによって全く見えなくなるから(2人を演じた)ペイルマンのシーンはダグ・ジョーンズに集約されると言っていいだろうね。
あのシーンのダグはほとんど何も見えていなかったって分かるかい?
ペイルマンの場合、彼は針の穴から見ていたようなもので、パンの場合は目をアクリル絵の具でメイクアップしてたから同じくらい難しかったと思う。
幾つかのシーンで彼はスペイン語で、全く見えず、整地されて無い地面や闇の中を歩き回ったり、ほとんど見えないままスペイン語で後ろ向きに歩いたりしてたからね。
でも、僕にとってペイルマンのシーンで難しかったのはサスペンスを維持しながら(同時に)恐ろしさも感じさせ、ダークで幻想的な雰囲気を保ち続けることだったね。
あのシーンの撮影には数日掛かったから、若い女優の感情表現を連続しているように保ち続けるのは凄く難しかったな。
●redisforever
↑あの映画は監督の素晴らしいコメンタリー付きやコメンタリー無しで何度も見たけど、何度見ても全く退屈することが無いよ。
美しく、魅力的で恐ろしい映画だ、
それに今まで見てきた映画の中でも最高の脚本だったと思う。
シンプルなのに効果的だった。
●karltee
この説明を聞いた後で、もう一度『パンズ・ラビリンス』を今度は4Kで見たくなった。
●merry722
ギャレス・エドワーズの『Godzilla』についてどう思う?
●GuillermoDelToroHere
↑オリジナルである日本の『ゴジラ』の持つ落ち着いたトーンとスピルバーグ的なスペクタクルの間を行き交っている感じがする『Godzilla』のトーンを凄く楽しんだよ。
それに彼の事を少し知っているから彼のテイストも感じたね。
この映画は彼が大きな砂場で大きな玩具と遊んでいるフィルムメーカーであることを示していたと思うな。
彼は凄く、凄く才能があると思うから、彼の作り出すスターウォーズユニバースを見るのが待ちきれないね。
●Velorium_Camper
↑『パシフィック・リム』と『ゴジラ』のクロスオーバーが見たいんだけどな。
●judomonkeykyle
ロン・パールマンと初めて会った時はどんな感じだった?
あなたとロン・パールマンの間で起きたことで何か面白い話はある?
●GuillermoDelToroHere
↑ハハハ、とても明かせないようなことがたくさんあるよ。
でもロンは実は隠れ肥満だというのは言ってもいいかな。
彼は甘いものが大好きで、そのために彼は撮影の前にダイエットとトレーニングをする羽目になってるんだよ。
僕は彼とプリンの間にあるバリアーであり、ファイアーウォールであり、彼にとっての拷問でもあるね。
もし彼を大好物と一緒にして放っておいたら大喜びして僕と同じような体型になるよ。
彼と初めて会ったのはロサンゼルスにあるインドレストランだったね。
で、僕達の友情はメインコースの前にデザートを注文するところから始まったんだ!
何故なら
A)僕の懐事情がフルコースを頼めるくらいか分からなかったから
B)僕は必ずデザート付きの食事を取ろうとしてるから
僕らは会って話をした時、確かロンはマイアミバイスみたいな格好をしてたんだ。
マイアミバイスに出てくるような青いスーツで、ジャケットの後ろには銀のボルトが付いてた。
本当にハードコアな90年代スタイルだった!
巨大なショルダーパッドも付いてたね。
僕は以前から彼の大ファンで、自分のプロジェクトについて好きな俳優と打ち合わせをするということに圧倒されてたよ。
1989年か1988年だったと思う。
いや、1989年だったね。
●Deto15
ハロー、Mr.デル・トロ。
自分はアニメの大ファンで、あなたの映画『パシフィック・リム』がエヴァンゲリオンのような日本の巨大ロボアニメに影響を受けていたのが印象的だった。
これは巨大ロボの実写化として初めて上手くできた作品を見れたと思ってる。
いずれできる続編も凄い作品になる事を確信してるよ。
この作品のシリーズ化と最近公開して好調な『オール・ユー・ニード・イズ・キル』がアニメ・漫画の実写化を後押しすることになるんじゃないかと思ってるんだ。
この2つの作品に影響を与えた日本のカルチャーはハリウッドが使ってきたものとは全然違うから、凄く楽しみだし驚いてもいる。
それから、監督が協力したという『MONSTER』の実写化も凄く楽しみだ。
・『MONSTER』について何か話せることはある?
・どんな漫画やアニメが好き?実写化できるのならしてみたい作品とかある?
●GuillermoDelToroHere
↑僕は僕の娘と同じくらいアニメや漫画の大ファンだよ。
実際、僕の本や映画のためのオフィスには漫画やアニメだけを入れたキャビンがある位だ。
僕はエヴァや使徒のデザインは好きだけど、作品自体は見た事がないんだよね。
何人かがその事、ゲルがロボットと人間のコネクトに使われていることを指摘してるけどこれはエヴァンゲリオン抜きで僕の中から出てきた考えなんだ。
とは言え、『パトレイバー』、『GHOST IN THE SHELL』、『鉄人28号』、『マグマ大使』、『マジンガーZ』等々、今まで楽しんできたたくさんのアニメの影響をフルに受けていることは認めるよ。
僕は子供の頃からずっと影響を受けてきた手塚治虫の作品が大好きだし、押井守、大友克洋、今敏の作品も大好きだ。
(今敏は宮崎駿や高畑勲とはまた違ったアニメの語り手だと思ってる)
思索的な谷口ジローの作品も大好きだし、韮沢靖の造形は僕に大きな影響を与えている。
そしてホラーストーリーと言えば前回の日本旅行でであった 伊藤潤二だね。
彼は凄く凄くシャイだったから、日本語は全然出来なかったけど僕が率先して話を進めていったよ。
僕を恐怖に落とすことが出来る作家は伊藤潤二だけだね。
『ギョ』の鮫と階段のシーンや機械仕掛けの蟹の足が追いかけてくるシーンは文字通り本を投げ捨てて「ノー!」と叫んだ位だ。
本当に恐ろしかったね。
それと、僕は日本のゲームにもかなり影響を受けていると思う。
友達もいるし、小島秀夫とは大の友達なんだ。
幸運なことに大友(克洋)さんとも友達になれたよ。
でも、もし実写化してみたい作品となると『GANTZ』かな。
それと、知ってるかどうかは分からないけど『BLAME』も好きなんだ。
これは本当にシュールリアルで美しい本なんだけど、みんなは知ってるだろうか。
この漫画は弐瓶勉の作品で、あとは寺田克也の作品も好きだね。
で、アニメファンとして『パシフィック・リム』は初のアニメ実写化映画にするべくベストを尽くしたんだ。
この作品を超艶のある色合いにした理由の1つがそれで、アニメみたいなダイナミックでビビッドな感じを出そうとしたんだよ。
●MollyBloom11
伊藤潤二の漫画は恐ろしいね。
『ギョ』は素晴らしい作品だけど怖い。
●Shykin
オーマイゴッド、『BLAME』を読んでいる人が他にいたなんて。
『BLAME』は本当に美しいね。
ストーリーに引き込まれるし、キャラ達があまりに立ちすぎてて読んでて孤独を感じる位だった。
孤独になりたくないから、誰にも死んでほしくないと思ったくらいに。
●Beeslo
本当に分からないんだけど、なんでこの世界は監督に『ヘルボーイ3』を作らせないんだ?
作ってくれという要求もあって、監督の中には素晴らしいコンセプトもあるのに、何故なんだ。
ロン・パールマンだって乗り気なんだろ?
●GuillermoDelToroHere
↑それこそ僕がいつもいつも思ってることなんだ。
でも、基本的にどのスタジオが求めてくるのは資金調達で、興味を持ってくれないんだよ。
確か1作目は予算分を取り戻した上で利益は多少出た位だった。
でも、ビデオとDVDは大ヒットしたんだ。
2作目も同じ結果で、ボックスオフィスで製作予算は取り戻したけど劇場リリースでの利益は小さなものだった。
けどビデオとDVDではまた大ヒットになったんだ。
悲しいことに今のビジネス形態ではスタジオはDVDやビデオをセーフティネットとして見てないから彼らにとってこのプロジェクトは危険に見えるんだよ。
製作的立場で言えば、これは是非とも作ってみたい。
でも資金調達はほとんど不可能となってしまっている。
僕側の事情ではなく、スタジオ側の事情でね。
もし僕が億万長者だったら自分で資金を調達するんだけど、ゴムのカイジュウ(パシフィック・リム)でお金を使い果たしてしまったから。
●KingToasty
↑オーケィ、あのゴムのカイジュウがかっこよかったし。
それに『パシフィック・リム』には感謝してるんだ。
あの映画は自分の中のスペクタクルとワンダーに再び火をつけてくれた。
全く、とんでもない映画だよ。
映画に対するこだわり、漫画やアニメへの愛をたっぷりと語っていました。
富江の感想も聞いてみたいな