日本には昔から死の直前に辞世の句を一句詠むという習慣があります。
日本の死生観に深く根差した習慣ですが、歴代の辞世の句や日本の死に対する考えを紹介した本が海外で出版されています。
イスラエルの日本詩学者Yoel Hoffmannが著した『Japanese Death Poems』に対する海外の反応です。
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★★★★★
(これは私のお気に入りの詩集で、かのシェルビーおじさんのアルファベットブックすら凌ぐ。
確かにこの2冊はスタイルも目的も違っているが外見(詩集である点)は一緒だ)
確かにこの2冊はスタイルも目的も違っているが外見(詩集である点)は一緒だ)
(訳注:シェルビーおじさん(Uncle Shelby's ABZ Book)は風刺の効いたアメリカの詩集)
短歌の本である以上に、このHoffmann(以下ホフマン)のコレクションは詩の作者と彼らの生きた世界の哲学を読者に伝えている。
(禅宗が圧倒的に多く、自分もそこにこだわっている)
この本は初めに禅宗の詩の多様さと禅の悟りについて紹介していて、例として著名な詩人や全く無名の作者、恋人、思索家、神官、哲学家の作品も含めている。
長大なイントロの後にホフマンは彼が集めた禅僧達の詩を紹介している。
ほとんどが死の直前に詠まれたもので、作者の驚くべき自己認識を表現されてる。
少しの躊躇いや苦味もあるだろうか。
禅僧にとって死は生の一部であり、恐れるよりも受け入れているのだ。
3章目は作中で一番長く、一般の詩人を紹介していて、ここは禅の本質や日常生活、プロによる詩が絡み合って作り上げられている。
禅僧による辞世の句だけではなく生の本質と死の目的が綴られているのだ。
どの詩も日本語と英語で書かれていて読者が両方の言語を読み、詩に込めれた意味を理解できるようになっている。
詩自身もかなり慎重に選ばれていて、じっくり詠まれたものから即興で詠んだもの、正と負両方の視点から見たものが紹介されている。
作者の哲学から複雑な意味を持つものあり、表面的にはシンプルなものありでどれも考えさせられるものばかりだ。
(正と負、両面の句を)一緒に紹介する事で、それらが壮大なものとなっている。
この本は明るい詩を楽しみたい人向きではない。
むしろ簡潔な分の中に大いなる意思を読み解きたい人のためのものだ。
ここで集められた詩は手で波をすくう位の軽さに見えるけれど、どれも最も深い作品としてカウントする事が出来るものばかりだ。
★★★★★
約翁徳検は”死を前にした人の言葉は小事ではない。これは誰もが通らなくてはいけない壁なのだ”と書いている。
また、劉邦も”死の迎え方、究極の旅立ちを教えてくれるのはその人の生きてきた年月だけだ”と言っている。
深い言葉だ。
この本の主となる考えはそこにあると思う。
死の迎え方と”究極の旅立ち”への啓蒙。
死の概念には恐怖と絶望、不確実性がまとわりつき、人を麻痺させている。
この本は死とは旅なのだと分かりやすく説明している。
禅宗の僧侶は自分達が何処へ行くのか確信しているのだろうか?
多分それは無いと思う、が彼らはそれに関して大騒ぎしていない。
彼らは死を確実に行われるものとして受け入れている。
みんなこの本を読むべきだと思うな。
人生を変えてくれるよ。
安禅必ずしも山水を用いず、心頭滅却すれば火も自から涼し
if you have vanquished your selfhood, coolness will rise even from the fire
快川紹喜
来時来処を知り 去時去処を知る
懸崖に手を撒(はな)たず
雲深くして処を知らず
He who comes knows only his coming
he who goes knows only his end
to be saved from the chasm
why cling to the cliff?
clouds floating low
never know where the breezes will blow them
仙厓義梵
旅に病んで夢は枯野をかけ廻る
On a journey, ill:
my dream goes wandering
over withered fields
芭蕉
★★★★★
私は職場で死を目前とした人にたくさん遭ってきてる。
中には年々健康が衰えてきているのに自身もその家族も人生の終わりが来ている事を現実として捉えていない人もいる。
これは死を否定するアメリカ人にとってある種の解毒剤かもね。
この本の作者Yoel Hoffmannは日本の禅僧や俳人が生の終わりに詠んだ句を徹底的に集めていて、西洋圏以外の社会では死は受け入れられ他者との間で議論されているものだという事を反映してる。
作者の分は学術的だけど、序文で辞世の句を読むことは日本の文化の中でどう実践されてきたのかを読みやすく説明しているよ。
凄く啓蒙されたし感動的だった。
★★★★★
最初に読んだのは数年前で、今でも度々読んでる。
辞世の句の歴史は凄く魅力的だから序文は読み飛ばさないように!
私は短歌の形式にも嵌ってる!
★★★★☆
我が家の犬はいづこにゆきならむ 今宵も思ひいでて眠れる
Where did that dog
that used to be here go?
I thought about him
once again tonight
before I went to bed.
島木赤彦
★★★★★
人々の心や体の声としてこの本を1つ1つ読んでみた。
本当に素晴らしい詩だったし、短歌や俳句を紹介している序文も素晴らしかった。
これは凄く長い読み物で、こんな内容だったなんて想像もしてなかったよ。
★★★★★
ホフマンの翻訳は文学的ではないけれど、英語圏の読者に詩に含まれる意味を伝えるために翻訳されてるんだと思う。
この本で紹介してる詩の中には生に対する哲学的な最高の答えが書かれているものもあって、自分のお気に入りの本になったよ。
ボリュームもかなりのもので、最高の効果を得るためにはこのナゲット(鈍器)を数日かけて読む必要があると思うね。
死は確実に存在していて、この宝石はその存在によって自分達に生を思い出させてくれるんだ。
★★★☆☆
合間合間に歴史に関しての膨大な文章を挟むんじゃなくて、俳句そのものが持つ内容を読みたかった。
序文は問題なし(大学の論文みたいだった)だけど、俳句の作者のバイオグラフィーは俳句の間じゃなくて別の所で書いてほしかったな。
芸術としての俳句を楽しむ邪魔になっちゃってたから。
★★★★☆
翻訳された辞世の句を楽しく読んだよ。
本の作者が書いた、俳句を詠んだ禅僧の生涯についての部分は読んでないけど、死に対する見方や辞世の句を作るという文化的視点は読む価値があるね。
★★★★☆(星4.5)
この本はまさにこうあるべき、という本だ。
日本で伝統的に実践されてきていた、その人の生の最後の瞬間に詠むという”辞世の句”(ホフマンはファイナル・ポエム(最後の詩)とは違うと指摘している)について徹底的に研究してある。
この本は序文で中世以前から20世紀初頭まで続いていた辞世の句についての歴史を紹介している。
作者は膨大な文章を続ける前に、僧や武士が実践してきた事を案内しているんだ。
この本の大半は辞世の句とその句に対するホフマンの非常に有益で考察に富んだなコメントで構成されてる。
仏教、儒教、神道の視点を勉強するために自分は最近日本の宗教に関する本をよく読んでいるんだけど、この本は花毎に異なる解釈、虫、日々の時、月に対する単語等々から俳句の作者の心情を照らす事に関して他の本以上かもしれない。
本の作者の解説によると日本語とは非常に暗喩的比喩的な言語グループに属するらしい。
でもこの本はゆっくり時間をかけて読むだけの価値がある。
この本は以前に日本人作家の書いた小説を読んだ事のある人にとっては更に面白いかもしれない。
平凡なコオロギや蛍の持つ意味を理解した時、心の奥をくすぐられたように感じる所にこの本の価値があると思う。
日本や東洋の宗教、東洋の軍事や日本文学等日本について真剣に勉強しようと思っている人にお勧めの素晴らしい本だよ。
東洋オタクだったら特に楽しめると思うな。
★★★★☆
心を締め付けられるような悲しさだった。
★★★★☆
これは死に関しての詩や死の直前に詠まれた詩が満載の本だ。
楽しくて機知に富んだものもあれば厳粛なものもあるけど、どれも凄く興味深い。
辞世の句がどのように実践されてきたか、詩(短歌や俳句)の形式の違いを知るためにも序文は是非読んでほしい。
ほとんどの詩は短い(俳句)けど、自分は長い方が好みかな。
個人の好みだけどね。
この本は自分達が議論するのを躊躇っている議題に対する良い導入になると思う。
★★★★★
凄く独特な詩集で、凄く興味深くて考えさせられるね。
俳句ごとに付けられたコメンタリーが邪魔というレビューもあって、これはある意味真実なんだけど、各俳句毎に(可能な限り)付け足されたストーリーは嬉しかったな。
考察が深まったと思う。
コメンタリーが邪魔に感じるのはこの俳句はこういう風に解釈しましょうという風に見えるからなんだけど、今回はしっかりと調べられてて助けになってたよ。
★★★★★
禅僧と詩、アルファベット順に2つのセクションで構成されていて、この本自体が芸術品だね。
美しい俳句は大抵技巧が凝らされてる。
俳句を詠む時には月や蓮、コオロギなど季節の言葉を入れなくちゃいけないんだけど、この本の美しさは紹介している俳句が個々人の人生や最後の言葉、彼らの魂の永遠性を著してる所だね。
荘厳で心落ち着かせる内容で、この辞世の句のコレクションは何世紀も続いている文学にした墓地という感じだね。
★★★★★
日本の辞世、あるいはデス・ポエムについて書かれた凄く興味深い本だよ。
ホフマンは日本の詩についての歴史、どのように辞世の句が作られていったのかも解説している。
それから例として辞世の句を数多く紹介していて、凄く古いのもあるけど、どれにも解説が付いてる。
日本の文化、歴史、芸術に興味があるなら凄く楽しく読めると思う。
禅宗の文化的側面に興味がある人にもぴったりだね。
★★★★★
日本の詩の素晴らしいコレクションになっている。
序文で日本の詩の変遷と辞世の句についてはっきり分かるように説明しているよ。
それから句を詠んだ作者とその時代の伝承に関して解説もついた素晴らしい俳句のセレクションがある。
シンプルな日本の詩が楽しめる人なら強くお勧めする。
★★★★★
この本を読む前は多くの(多分?)俳句ファン同様、自分が馴染みのある俳人は芭蕉と一茶位だった。
この本はそのレベルを変えてくれたという意味でも良い本だったね。
350句の俳句はしっかりした量だけど圧倒される程じゃない。
人によっては本の主題が悲観的過ぎると思うかもしれないけど、自分としてはその俳句に込められた作者の最後の言葉は美しいと思うな。
★★★★★
私はホスピス(ターミナルケア)でボランティアをしてるから、1冊の本の中に数百の死に対する考え、死への見方が集められているのは私の人生、私の仕事にとって大きな贈り物だったね。
いずれ必ず死を迎える全ての人にとっての本だよ。
★★★★★
この本は日本の伝統武道に興味がある人全てが読むべき本だと思う。
伝統的な教えの背後に流れる考えをより勉強するための素晴らしい参考になるよ。
★★★★★
肉体とはこの世の中で全てを可能とする知性の容れ物だという事を理解する助けになってくれた。
その中に我々の無常の平和があるのだという事も。
★★★★☆
凄く心動かされた。
死は自分の好きな議題だから特にね。
★★★★☆
本当に興味深くて参考になったよ。
辞世の句を読んだのは初めてだったし、素晴らしく美しい句もあった。
歴史も興味深いね。
デスポエム(直球)
辞世の句を読むたびに死の直前にあって一句読める位冷静でいられることに驚きを禁じ得ません。
(第七代横綱 稲妻雷五郎)