
色は国や文化圏によって捉え方が変わってきます。
ブレント・バーリンとポール・ケイが1969年に著した『Basic Color Terms: Their Universality and Evolution(基本の色彩語:普遍性と進化について)』(Amazon)では全ての文化に色の階層があると示唆しており、まずは黒と白から始まり、赤や青、その後でオレンジやピンクと言った説明的な色(の名前)が生まれてきたと指摘しています。
オハイオ大学は最近の研究結果として近年になって日本人が共通認識している色名として水色が追加されたようだと発表しました
1987年の研究では12色から成る基本色名に水色は含まれていなかったとの事。
研究者は57人の日本人に色を塗ったカードを見せてその色の名前を”薄い(light)”、”濃い(dark)”という表現を使わずに一言で言い表してもらったところ、54人が2つ以上の色見本を水色として認識していたそうです。
※上記の色がそのサンプルの1つ
従って、過去30年の間にこの色名が日本で広まっていったと見られ、研究者はこの色名が新たな基本色名に加わったのかもしれないと指摘しています。
(近い色を表現する言葉は他の国にも存在しており、例えばイタリアではセレスト(celeste)と呼ばれているとの事)
アメリカではこの色はlight-blueと呼ばれていて一語で表す単語はなく、”sky(空色)”がそれに近いが頻繁に使われる色名ではないとの事。
国や文化によって色に対する認識に違いがある事に対する海外の反応です。
アメリカと日本の色に対する共通認識と名称の違い
credit:iflscience.com
※日本人は57人中54人が薄い青を水色と認識しているが、アメリカでは薄い青をAquaと認識している人は51人中半数以下
スポンサードリンク
|
|
●ロズウェル、ジョージア州、アメリカ:男性
自分は”Sky(空色)”と呼んでるな。
●女性
”水”って透明な水という意味じゃないんだ。
●フレズノ、カリフォルニア州、アメリカ:男性
これは非常に興味深いな。
●バンドン、インドネシア:男性
これは青だろ。
●パリ、フランス:男性
これは”Aqua”だ。
シンプルにして完結。
しかも既にある名前だ。
●不明
↑しかもAquaも水という意味だよ。
●パース、オーストラリア:男性
ベイビーブルーとかパウダーブルーだな。
●ポプラー・ブラフ、ミズーリ州、アメリカ:女性
うちの娘の部屋の色に似てる。
●フィラデルフィア、ペンシルバニア州、アメリカ:男性
俺は今からこの色の事をBlurk™と呼ぶ事にする。
●メアリーバラ、ビクトリア州、オーストラリア:女性
Mizuって日本でWaterって意味だよね?
●オックスフォード、オックスフォードシャー、イギリス:男性
シアンじゃ?
●スペイン:女性
スペインだと”セレスト”と呼んでるよ。
●男性
意味なく複雑にさせるとこの色は空の青を表していて、イギリスはコヴェントリーの公式カラーでもあり、”True Blue(真の青)”と表現されたりもしてる。
これは”True as Coventry Blue(コヴェントリー・ブルーのように本物)”という言葉からの派生で、この街が強くて丈夫な染料の生産地として有名だったからなんだ。
●ホムトフ、チェコ:男性
ライトブルーの濃淡の一種なんじゃないのか。
●エルサレム、イスラエル:女性
ヘブライ語だと”tchelet(ティベリアス)”だよ!
※ターコイズブルーの事
●アメリカンフォールズ、アイダホ州、アメリカ:男性
日本のトップ5の色がパワーレンジャー(戦隊ヒーロー)の色なのが良いな。
●女性
文化によって色の見方も変わってくるから日本人にとってこの色は”ただの青”ではないんだろうね。
青と緑を同じ系統の色と見る文化もあるし(生まれ育った言語の影響で)、同じ理由で私達にとって”Mizu”と青は同じ系統の色だと見るし、(青と緑を同系色と見る人にとって)青と緑を完全に別の色と見るアメリカ人の事を変だと思うんだろうね。
●ビクトリア、ブリティッシュコロンビア州、カナダ:女性
↑良い点突いてる。
ちょっと前に色に関する記事が出版されてて、太古の文書には青に関する記述が無かったと言ってた。
例として『Odyssey』を挙げていて、海/海洋/水域は緑と表記されてたと言ってたね。
空について言及してたかどうかはわからないけど、その点に関してはあまりに明白だから青だという事は省略されてたのかも?
●オークレア、ウィスコンシン州、アメリカ:男性
periwinkle(ツルニチソウ)だろ
■←この色
●ミラノ、イタリア
イタリアだと”carta da zucchero”と呼んでて、ざっくり訳すと”砂糖紙”という意味。
■←この色
●女性
スープの事だっけ?
●トットネス、イギリス:女性
↑それはMiso(味噌)。
●女性
↑あああ!サンクス!
●男性
シアン、ターコイズ、ティール(鴨の羽色)、アクアマリン…
英語にもこの色を表す言葉はたくさんあるぞ。
個人的にはティールを推したい。
■←ティールはこんな色
●バルパライソ、チリ:女性
↑シアンは全然違う色だよ。
●ホノルル、ハワイ州、アメリカ:男性
水=Water=Aqua
●女性
スペイン語だとセレスト。
赤に対するピンクの青版。
●バージニアビーチ、バージニア州、アメリカ:男性
この色はベイビーブルーと呼ばれてたと思うんだが。
●レディング、イギリス:女性
Mizuはハンガリー語で”What's Up(どうしたの?)”って意味だよ。
●シドニー、オーストラリア:女性
これはアジュール(Azure)だよね…それともMizuと呼ぶべきかな?
■←アジュールはこんな色
●ヘルシンキ、フィンランド
”スーパーマリオ・スカイ”で。
●女性
蒼(あおい)は青とも緑とも訳せるんだっけ。
●ポートムーディ、ブリティッシュコロンビア州、カナダ:男性
HTML/CSS、フォトショップの色コードではどう表現するんだ?
●クラットロー、アイルランド:男性
ライトライトブルー。
●シドニー、オーストラリア:女性
スカイブルーでしょ!
●女性
私はこれをロビンエッグブルー(ツグミの卵の青)と呼びたい。
※ツグミの卵はこんな色
credit:finegardening.com
●女性
オレンジ色を赤としてる書物も多いんだよね。
●ブリストル、イギリス:男性
俺はこれを#c8eeffと呼んでる。
●ブエノスアイレス、アルゼンチン:女性
水と空が触れ合う場所の色、スカイウォーターだね。
●男性
俺達はこの色を”Türkis”とか”Wasserblau(ウォーターブルー)”と呼んでる。
素敵なSimson Roller(Simson SR50)の色だ。
※東ドイツのバイクメーカー
Simson SR50
credit:pinterest.com
●グラスゴー、イギリス:男性
ゲール語だと”liath ”という表現になるかな。
明るい銀の様な空色という意味だ。
●スプリングフィールド、ミズーリ州、アメリカ:男性
赤にはピンク、バイオレットには紫(Purple)があるのに青にはただのライトブルーしかないのは変だと思ってたんだ。
●男性
↑シアン、アクア、セルリアン。
ライトブルーを表現する英語はたくさんある。
みんながなんでそう言わないのかは分からない。
●女性
私はこの色をアイシーブルー(Icy Blue)と呼んでる。
●フランコーニア、ニューハンプシャー州、アメリカ:男性
”水”ではなく”水色”だな。
Water Colorという意味だ。
●男性
ついに新しい色を見つけてしまったのか。
※出来ない事、という意味で新しい色を見つけると言葉が使われる
●ピエトラサンタ、イタリア:男性
イタリアも同じだ。
ライトブルーの事を”azzurro”と呼んでいて、青とも緑とも違う色なんだ。
晴れた空の色でもある。
有名な歌もあるよ。
●ベンソン、ウォリンフォード、イギリス:男性
アクアと水色の違いは何なんだろうか?
日本人は俺達がアクア(水)と呼んでるものを水として見ていて、両者は同じ水(Water)のように見えるんだが。
●ホーシャム、ビクトリア州、オーストラリア:女性
↑アクアは英語で緑を含んだライトブルーの事で、ピュアな青とはちょっと違うな。
●モントリオール、カナダ:男性
つまり、日本語が進化していると言いたいんだろうか?
●女性
文化の違いでオレンジの濃淡がピンクや赤になったりするんだよね。
●パース、オーストラリア:男性
自分はこれを”マーカーでハイライトされた文字色”と呼びたい!
●サラソータ、フロリダ州、アメリカ:女性
クレヨンでは”robins egg blue”となってるね。
●リマ、ペルー:男性
これは興味深いな!
ここペルーではジャングルの先住民は我々が緑と呼んでる色を示す単語が複数あるんだ。
おそらく緑の濃淡がそれぞれ違う色という扱いなんだと思う。
●女性
ロシア語には青を指す単語が2つあるのが前から不思議だった。
1つは本来の青を指す”синий”、もう1つは”голубой”で英語だと”light Blue”以外に訳せる単語が無い。
誰かが英語における赤とピンクと同じだと言ってたね。
ネイティブの英語スピーカーとして、赤とピンクは全然違う色っていう扱いになる。
ピンクの服を着てる女性を見て赤い服を着てるとは思わないし。
ロシア人(と今の日本人)は青とライトブルーを見て同じように思ってるんだろうな。
新しい色が生まれたという訳ではなく、この30年の間に薄青を水色だと認識する人が増えたという内容になります。
(言い方を変えると日本人の共通認識としての色の名前で青から水色という名前が分派したとも)
英語圏でも色々な呼び名がありますが万人が同じ名前を思い浮かべるまでには至っていないため基本色名と呼べるまでにはなっていないようです。
どういう理由で日本の中で水色の認知度が高まっていったのか興味深い所です。
追記:ベルリン→バーリン、基本色名:その普遍性と進化→基本の色彩語:普遍性と進化について、に修正。ご指摘感謝です。
追記:ベルリン→バーリン、基本色名:その普遍性と進化→基本の色彩語:普遍性と進化について、に修正。ご指摘感謝です。