credit:timezone.com
世界最大の時計会社であるセイコー。
セイコーインスツルの盛岡工場の見学に行った様子が海外のサイトに紹介されていました。
引用元:timezone.com
スポンサードリンク
|
|
●ロンドン、イギリス
credit:timezone.com
セイコーは東京で設立され、最初の工場と本社は今でもそこにあるが、他の工場はどこもそこから数時間行ったところにある。
これは第二次世界大戦中セイコーは時計やコクピット用の機器だけでなく日本帝国軍のためにタイミング装置なども作っていたからだ。
米軍の空襲が本格化した事でセイコーは重要な製品の生産拠点を安全な地域へと移した。
グランドセイコーやクレドールの組み立て工場が540km離れた盛岡にあるのはそれが理由だ。
車で行けば6時間だが新幹線はやぶさなら2時間11分でこの距離をカバーする。
森岡周辺は山と深い森に囲まれた場所だが街は3つの川が合流する平地に広がっている。
盛岡市も大半が第二次世界大戦の空襲で破壊されたがセイコーの工場は街から30分ほど離れた場所にあり、そこは大きな道路から数百ヤード離れていて木々でほとんど目につかない場所だ。
credit:timezone.com
タクシーが到着し、私達は数人の担当者に迎え入れられて中に入り、靴を脱いでスリッパに履き替えてから会議室でこの工場についての歴史や何をしているかなど簡単なブリーフィングを行った。
幾つかの興味深い事を知ったよ。
・機械式のグランドセイコーの生産量はここ3年(※2014年末時点)で倍になっている
・ここ盛岡では年間約3万点作っている
・設計や研究開発は全て東京の本社で行っており、工場は生産のみを行っている
このマンモス級の工場を把握するためのスケールモデルがこちら。
credit:timezone.com
ここでようやく今回の旅行の目的である工場見学の時間が来た。
この工場には2つの目的があるのは私にとって凄く興味深かった。
地上階はクォーツ時計の生産専門の大量生産エリアだ。
ここでは1日に数万個生産している。
が、これはセイコームーブメントではなく、世界中の安価な時計を作っているメーカーがこのモジュールを買って自社の名前を文字盤に刻むようにTime Moduleとサインされている。
credit:timezone.com
その工業的ベヒーモスとは対照的に1フロア上がったエリアでは機械式のグランドセイコーとクレドールが作られていた。
壁の一方には写真と3つの等級に分けられた全職人の証明書が貼られている。
このエリアはかなり狭く、100ヤード(約91m)×20ヤード(約18m)位で100人弱くらいの工員が4~5区画に区切られたエリアで働いている。
北側の長い辺は深い森を望むガラス窓になっていて南側は職人たちが仕事をしてる様子を観察できるガラス張りの通路になっている。
嬉しい事に私達は中に入る事を許可された。
credit:timezone.com
最初に入った部屋はテスティングルームで最初に気付いたのは双眼顕微鏡が活躍している事。
今まで訪れたスイスのどの時計メーカーよりも数が多かった。
機械式グランドセイコーのテストはCOSC(スイス公式クロノメーター検査協会)とよく似ていた。
全てのムーブメントを17日間テストし、それから時計を組み立て、組み立てた時計は更に14日間テストする。
credit:timezone.com
そして、”聖地中の聖地”組み立てエリアに入る時が来た。
防塵の上着、帽子、靴カバーをつけ、高圧の空気で塵を吹き飛ばすエアロックの中へ入った。
このエアロックの目的は他にもあり、組み立て所は工場内よりも気圧が高く設定されているのでドアを開けると空気が中ではなく外に出ていくようになっている。
部屋に入ったらまず粘着性のあるマットで靴底についた塵を落とす。
これはもう手術室やマイクロチップ製造工場レベルの清潔さだ。
目の中に入った光景がほぼ全景だ。40名ほどの職人が個別の席で顕微鏡に身を屈めている。
credit:timezone.com
全員高価なハーマンミラーのアーロンチェアに腰かけ、どの机も専門分野と体格に合わせて作られている。
机は地元の家具職人による手製で本当に美しい褐色の地場産木材で作られている。
ここでは1人の職人がムーブメントを最初から仕上げまで作り、そのムーブメントを誰が作ったのかを記録するシステムを取っている。
もしそのムーブメントが修理に戻ってきたら作った人が作業にあたれるようになっている。
これ程までの責任は今まで出会った事がない。
1人の職人がグランドセイコーのムーブメントを1から組み立てる様子を見させてもらう事ができた。
credit:timezone.com
credit:timezone.com
職人自身が手に嵌めているものを作っている様子を見られて嬉しかった。
現在のグランドセイコーの自動巻きムーブメントは9Sで、出来たのは1998年だが1970年代からくる以前のムーブメントとの関連性はない。
グランドセイコーに重点を置いているが、実際の所同じ部屋で作られているクレドールのムーブメントの方がもっと印象的だった。
仮にグランドセイコーの製造施設がかなり小さい(small)としたら、クレドールの方はミニスケールで、わずか2人の職人が年間数百個のムーブメントを作っている。
しかしなんてムーブメントだ。
厚さは僅か1.9㎜しかなく、本当に驚くべきものとなっている。
アメリカの5セントコインとほぼ同じ厚みの日本のコインとの比較。
credit:timezone.com
このムーブメントの好きな所はデコレーションやスケルトンな見た目ではなくプレートとブリッジの配置で、そこにはムーブメントデザインの美的側面への明らかな敬意が込められていて、色んな理由でパテック・フィリップが1960年と1960年頃に作っていたムーブメントを思い起こさせる。
最近はこういう見させ方をしないムーブメントが多すぎる。
credit:timezone.com
次に入った部屋は組み立てたムーブメントをケースに入れる場所だ。
ケースは近くにあるセイコーの関連会社から来たもの。
これはクレドールのケースで先ほど見学した超薄いムーブメントを待っている所だ。
(ダイヤルの下部に書かれているUTMはUltra Thin Movementという意味)
credit:timezone.com
ケースに入れたら再度テストの時間だ。
上で言ったように組みあがったグランドセイコーはその後14日間のテストが行われる。
最初のテストは全ての自動巻き時計を巻く箱に入れる事。
credit:timezone.com
次の部屋は品質管理。
他の部署から届いたパーツの品質と歩留まりをチェックしている。
credit:timezone.com
credit:timezone.com
それから階下に降りて小さな部屋を訪れた。
そこはミュージアムと呼ぶにはあまりに小さな部屋だったけど、今回の私の訪問で最も興味深いものが展示されていた。
1960年代にセイコーがスイスのクロノメーター大会で勝利した事をどれ程の人が知っているだろうか?
これは特別な設計と組み立てをしたムーブメントを使い、誰が最も優れた時計を作れるのかを見るメーカー間の競争だ。
1969年、セイコーはポテトというニックネームのムーブメントでスイスの名だたるムーブメントメーカーを退け制覇した。
credit:timezone.com
あらゆるテスト用のクロノメーターと同じく、ダイヤルは非常に地味だ。
credit:timezone.com
ここで使われているダイヤルのスタイルはクロノメーター大会のルールの一部なんだと思う。
もう少し前の同じ大会のために作られた私のロンジン30Zと比較してみよう。
credit:timezone.com
それから更に階段を下り、私の靴に履き替えた。
靴紐を結ぼうとした時に目の端に奇妙なものが映ったので見回してみた。
疑う余地もなく今まで見た中で一番奇妙なセイコーの時計製品だ。
credit:timezone.com
これは従業員が空いた時間等で作ったもので、日本人にはユーモアのセンスが無いという考えを否定する逸品だ。
これで最初の工場見学のレポートは終わりなので時計に興味がある人はここでお別れだ。
が、駅でみんなにシェアしたいと思う本当に興味深い事を見つけた。
みんな新幹線は時間通りに来る事を知っていると思うが、それだけじゃなく停車する場所もぴったりなのだ。
私達が乗るのは9号車だったので、ここで立っていた。
credit:timezone.com
我々が乗る新幹線は数分前に到着してしばらくドアが閉まったままだったから新幹線の先頭がどうなっているのか見に行く事にした。
はやぶさはエアロダイナミックなデザインなので素晴らしく長いノーズを持っていてフロントとリアは同じ形状だ。
credit:timezone.com
最後尾に行ってみると騒音を立てながら極端に長いノーズの殻が開いて何か奇妙な機械が露わになった。
credit:timezone.com
その後、同じ線路にフロントの殻が開いた別の新幹線が現われた。
credit:timezone.com
その新幹線は我々が乗る新幹線の6フィート(約180cm)手前で止まり、その後駅員が運転手に合図を送りながらゆっくりと前進して連結した。
credit:timezone.com
●マドリード、スペイン
素晴らしいレポートをありがとう。
でも1つ質問がある。
>ケースは近くにあるセイコーの関連会社から来たもの。
グランドセイコーの大ファンとしてこれが気になってる。
グランドセイコーのケースはセイコーと関係のない林精器製造が作ってるんじゃなかったっけ?
ここは他にも自動車部品や医療機器を作ってる。
この辺明らかにしてくれると嬉しい。
●ロンドン、イギリス
↑日本でケースメーカーとセイコーの関係を聞いたけど関連会社だと言ってた。
自分はセイコーからのソースを信じるかな。
とは言え、日本の会社間の関係はアングロサクソンのそれよりも遥かに複雑だからね。
株の相互持合いや相互に関係する銀行があったりでほとんど迷路のようになってる。
林精器製造は腕時計のケースメーカーとして始まり、およそ一世紀前にセイコーが日本唯一の腕時計メーカーとなり、それ故に両者の関係は以前以上に近くなったんだと思う。
●マドリード、スペイン
↑ありがとう、それはもっともな答えだと思う。
これほどハイクオリティなものをわざわざ外部の会社から買うのは理に適ってないように思うし。
ま、自分はグランドセイコーの事となると客観的にはなれないんだけど。
●不明
もう1か月くらい後に行けば木々の紅葉が見られたかもね。
※訪れたのは2014年11月
●バンクーバー、カナダ
素晴らしかった。
次のレポートも楽しみだね。
●アルバカーキ、ニューメキシコ州、アメリカ
非常に興味深かったよ。
●フロリダ州、アメリカ
セイコーは大好きな会社の1つだし、前から思っていたセイコーの完璧さ、誠実さ、仕事に対する誇りの伝統が社内の仕事にも醸し出されているのが知れてゾクゾクしたよ。
素晴らしいレポートだった!
●不明
あの石の振り子時計は日差±0だな。
25セント賭ける。
●不明
精度が共通のテーマとなってるのが良いね。
●カリフォルニア州、アメリカ
写真が凄く良かった。
新幹線は最高だな。
●ローンパイン、カリフォルニア州、アメリカ
レポートをありがとう!
素晴らしい写真だった。
セイコーが誇る高級時計グランドセイコーとクレドールの製造工場の様子をレポートしています。
流石にかなり厳しい品質管理の元に製造されています。
追記:セイコーエプソン→セイコーインスツルに修正。ご指摘感謝です。
追記2:5ドル→5セントに修正。ご指摘感謝です。
SEIKO CLOCK (セイコークロック) 掛け時計 電波 アナログ コンパクトサイズ 銀色メタリック KX379S
追記:セイコーエプソン→セイコーインスツルに修正。ご指摘感謝です。
追記2:5ドル→5セントに修正。ご指摘感謝です。
SEIKO CLOCK (セイコークロック) 掛け時計 電波 アナログ コンパクトサイズ 銀色メタリック KX379S