
二次創作禁止、創作オンリーの同人誌即売会としては最大規模となるCOMITIA(コミティア)。
コミティアから商業誌へデビューした漫画家も多く、毎回各出版社が特別ブースを設けるなど出版社からの注目も高いこのイベント、海外からの参加者も増えてきています。
今回は海外から昨年の11月に開催された『コミティア94』へ参加した人のレポートを紹介します。
コミティア公式:comitia.co.jp
引用元:animeaffairs.wordpress.com
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あのイベントから1ヶ月経ったというのに、未だに僕の頭の中にはあの時の驚異的な体験が頭の中を飛び回っている。
時は2010年11月14日。
場所は(正しく言うなら)東京ビックサイト。
それは臨海線ゆりかもめ国際展示場正門前駅から少し歩いたところにある。
エキシビジョンセンターの画期的な外観はげんしけんファンにとってはお馴染みの光景だろう。
モンスターコンベンションであるコミケットに比べるとコミティアの規模は小さい。
このイベントでは展示場の不規則に広がったホールの1つか2つを使うだけだ。
(外に出されていた看板とビジネススーツに包まれた人たちの群れから推測するに、その日のビックサイトのメインイベントは就職説明会だった)
足をエスカレーターへと運びメインロビーを下に降りると、スタッフが張り裂けんばかりに歓迎の言葉を叫んでいる。
人々は波のようにイベントカタログの置いてある机に向かっていく。
(これがチケットの役割も果たしているんだ)
価格は1000円だ。
僕はカタログを買うとベンチに腰を下ろし、心を静めて読み始めた。
各サークルはサークル名、サークル番号及びサンプルイメージを載せた小さな枠を割り当てられている。
僕のような初心者にとって、これは買うことを決心するために充分とはいえない―ベテランはおそらくある種のシステムを持っているか、あるいはサークルの情報に熟知しているのだろう。
僕の場合はというとシンプルにメインのセクションに目を通し、広告の絵(顕微鏡サイズだが)でいいと思えたサークルをいくつか選びだすことにした。
カタログには2つの地図も載っている。
そのの地図はその日僕のベストフレンドだった。
参加サークルは全てジャンルごとに分類されている―青年、SF、少女等々。
この地図は僕の専門(イラスト)を得るために、巨大なホールの中の一角に焦点を合わせることを可能にしてくれた。
これが無かったら、驚異的な同人誌の量に入場の時点で完全に圧倒されていただろう。

もしあなたがこの場所をイメージしようとしているのなら、ジャンル区画の線と陰影は地図上でのみ存在していることを覚えていて欲しい。
そこには物理的なパーティションは存在せず、ただ果て無き机の海が続いているだけなんだ。
しばしの後、僕は僕の連れであるカタログと共にホールの入り口に形成されていた待ち行列に加わった。
午前11時、心からの歓声がホール内部から沸きあがり、その音は外にいる僕たちにも容易に届いてきた。
中の様子を見ることは出来なかったが、それがコミティア94の正式な開始の瞬間だったんだろう。
その後まもなく、イベントのスタッフは僕達にカタログを高く掲げるようにお願いし、入場を許可してくれた。
(間違いなく、みんなが入場料を払ったのか迅速にチェックするためだろう)
それは全てを破壊するような勢いだった―いや、これは事実じゃない。
僕はそう予想していたのだが、僕の見通しよりも遥かに穏やかなものだった。
有名なサークルへの狂ったような突進も無かった。
そこここへ多くの人間が引き寄せられるという事も無かった。
みんな、ただ元気良く自分の行きたいところへと向かっていた。
たくさんのサークルが参加する広々とした場所へと流れ込む無数の人々に飲み込まれ、僕は完全な新入りとして(コミティアだけでなく、あらゆるコンベンションのだ)少しの間恐れかしこまってはいたものの、結局のところ漫然と歩き始めることにした。
特定のサークルを決める事はせず、単に1つの列を端から端まで見て回ることにして、一般的なイラストのジャンルに入ると、サークルの表紙とサンプルページを素早くチェックして回った。
結局、その日僕が買ったものは全てそのエリアのものだった。
僕は価値があるものを見逃す事がないように、念のためスタッフがホールの一角に設けたサンプルコーナに向かった。
(地図には”見本誌コーナー”と書かれている)
そこには各サークルの見本誌がテーブルの上に広げられていて、素早く簡単に探す事ができるようになっている。
その日1日を終えるために、僕はもう一度会場を廻ってみた。
まず青年ジャンルから始め、会場のほぼ全てを廻っていき、並べられているものを出来るだけ見て回っていった。
ホールの端のアダルトジャンルにはなるべく入らないよう苦心していたので(幸運にもそのエリアは小さかったけど)、少年ジャンルのかなりの量を見逃したかもしれない。
それでも、なんとか一般ジャンルのほぼ全てのサークルを廻ることが出来た。
結局、計画していたよりも遥かにお金はかからなかった。(少量のイラスト本とイラストだ)
でも、これは僕の初体験であり、次に参加する時はもっと沢山手に入れるつもりだ。
ここで僕が入手したサークルの作品を紹介しよう。
これらが手に入れた全てではない事を断っておく。





僕の個人的な感想と最終的な印象を完全に書き記すにはおそらく別の記事が必要だろう。
しかし、端的にいうなら僕はコミティアで間違いなく信じられないような時間を過ごし、今後のコミティアに参加するのが待ちきれない。
もう既に決めているんだ。
頭の中では2年に1度は日本に戻り、その度にこのコンベンションに参加するという計画を立てている。
コミティアは年に4回開催されているから、この計画はかなりの柔軟性を持たせることが出来そうだ。
先日行われた『コミティア95』でも何人か海外からの参加者を見かけました。
オール創作ジャンル、ということに敷居の高さを感じるかもしれないコミティアですが、実際のところ即売会に興味があるけど行った事が無い、という人にとって一番とっつきやすいイベントなんじゃないかと思っています。
ジャンルが多岐にわたっていて参加サークルが適度に多く、それでいて1日かければ全て廻りきれるほどの規模であり、入場料(カタログ代)も手ごろな値段で、当日も開始直前こそ行列が出来ているものの1時間もしないうちに並ばず入れる位の参加者数等、かなり参加しやすい要素が揃っているように思います。
なにより適度にまったりしつつ熱い、という心地いい雰囲気があります。
創作系のみ、コスプレ無しという縛りにもかかわらず年々規模が大きくなっているのもそういう空気のなせる業なのかもしれません。
管理人雑記:
コミティアの魅力、それはその場でしか手に入れることが出来ない、ということ。
コミケの創作ジャンルと雰囲気、内容は同じなのですが、コミケの場合あまりにも規模が大きすぎ、3日目は他にも廻るところが多すぎてほとんど見て廻れないので、創作系に絞った場合はやはりコミティアに行くのが一番かな、と。
(最近じゃコミケに行く体力が…)
最近は同人誌を取り扱っているお店で一般向け創作も置くようになってきましたが、それでもまだまだ会場でしか手に入らない、下手したらその回でしか手に入らないという物もあります。
コミティアに並んでいる作品はゴリゴリの娯楽作というよりも作家性を全面に押し出したものが多いので決して万人にお勧めできるとは言えないのですが、その分自分の好みにぴったり合った物を見つけたときの喜びもまた一入です。
という訳で、コミティアの宣伝も兼ねてコミティア95で管理人の買った物の中でも特にお気に入りの一部を。

作品紹介:
『ドローイング・バーサス・アンダースロー』:電撃大王で『GUN SLINGER GIRL』を連載中の相田裕による体育会系な生徒会を描いた青春物(今回はその設定集)
作者サイト:jewelbox
『蛇人間』『札幌の六畳一間』:チャンピオンで『現代怪奇絵巻』を連載していた根元尚の怪奇漫画と日記漫画
作者サイト:札幌の六畳一間
『ジャポニカ自由帳』:小坂俊史、重野なおきの合同誌
作者サイト(小坂俊史):新しい冷蔵庫
作者サイト(重野なおき):重野なおきのページ
『魔法少女は三十代』:三十路が魔法少女になってしまったというお話。
サークルサイト:サークル なしごれん のページ
『HORNED GIRL』:秋吉風鈴によるある日角が生えてしまった女子高生のお話。
『クラウディア航行記』:空に浮かんだ島々を渡る輸送船の日々を描いたSF作。
作者公認サイト:小さな幸せ研究所
しかしWikipediaには例年2月は参加者が少ないと書いてあるのだが今回はやたら人が多かった気が。
次回、コミティア96は5月5日(こどもの日)です。
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あのイベントから1ヶ月経ったというのに、未だに僕の頭の中にはあの時の驚異的な体験が頭の中を飛び回っている。
時は2010年11月14日。
場所は(正しく言うなら)東京ビックサイト。
それは臨海線ゆりかもめ国際展示場正門前駅から少し歩いたところにある。
エキシビジョンセンターの画期的な外観はげんしけんファンにとってはお馴染みの光景だろう。
モンスターコンベンションであるコミケットに比べるとコミティアの規模は小さい。
このイベントでは展示場の不規則に広がったホールの1つか2つを使うだけだ。
(外に出されていた看板とビジネススーツに包まれた人たちの群れから推測するに、その日のビックサイトのメインイベントは就職説明会だった)
足をエスカレーターへと運びメインロビーを下に降りると、スタッフが張り裂けんばかりに歓迎の言葉を叫んでいる。
人々は波のようにイベントカタログの置いてある机に向かっていく。
(これがチケットの役割も果たしているんだ)
価格は1000円だ。
僕はカタログを買うとベンチに腰を下ろし、心を静めて読み始めた。
各サークルはサークル名、サークル番号及びサンプルイメージを載せた小さな枠を割り当てられている。
僕のような初心者にとって、これは買うことを決心するために充分とはいえない―ベテランはおそらくある種のシステムを持っているか、あるいはサークルの情報に熟知しているのだろう。
僕の場合はというとシンプルにメインのセクションに目を通し、広告の絵(顕微鏡サイズだが)でいいと思えたサークルをいくつか選びだすことにした。
カタログには2つの地図も載っている。
そのの地図はその日僕のベストフレンドだった。
参加サークルは全てジャンルごとに分類されている―青年、SF、少女等々。
この地図は僕の専門(イラスト)を得るために、巨大なホールの中の一角に焦点を合わせることを可能にしてくれた。
これが無かったら、驚異的な同人誌の量に入場の時点で完全に圧倒されていただろう。

もしあなたがこの場所をイメージしようとしているのなら、ジャンル区画の線と陰影は地図上でのみ存在していることを覚えていて欲しい。
そこには物理的なパーティションは存在せず、ただ果て無き机の海が続いているだけなんだ。
しばしの後、僕は僕の連れであるカタログと共にホールの入り口に形成されていた待ち行列に加わった。
午前11時、心からの歓声がホール内部から沸きあがり、その音は外にいる僕たちにも容易に届いてきた。
中の様子を見ることは出来なかったが、それがコミティア94の正式な開始の瞬間だったんだろう。
その後まもなく、イベントのスタッフは僕達にカタログを高く掲げるようにお願いし、入場を許可してくれた。
(間違いなく、みんなが入場料を払ったのか迅速にチェックするためだろう)
それは全てを破壊するような勢いだった―いや、これは事実じゃない。
僕はそう予想していたのだが、僕の見通しよりも遥かに穏やかなものだった。
有名なサークルへの狂ったような突進も無かった。
そこここへ多くの人間が引き寄せられるという事も無かった。
みんな、ただ元気良く自分の行きたいところへと向かっていた。
たくさんのサークルが参加する広々とした場所へと流れ込む無数の人々に飲み込まれ、僕は完全な新入りとして(コミティアだけでなく、あらゆるコンベンションのだ)少しの間恐れかしこまってはいたものの、結局のところ漫然と歩き始めることにした。
特定のサークルを決める事はせず、単に1つの列を端から端まで見て回ることにして、一般的なイラストのジャンルに入ると、サークルの表紙とサンプルページを素早くチェックして回った。
結局、その日僕が買ったものは全てそのエリアのものだった。
僕は価値があるものを見逃す事がないように、念のためスタッフがホールの一角に設けたサンプルコーナに向かった。
(地図には”見本誌コーナー”と書かれている)
そこには各サークルの見本誌がテーブルの上に広げられていて、素早く簡単に探す事ができるようになっている。
その日1日を終えるために、僕はもう一度会場を廻ってみた。
まず青年ジャンルから始め、会場のほぼ全てを廻っていき、並べられているものを出来るだけ見て回っていった。
ホールの端のアダルトジャンルにはなるべく入らないよう苦心していたので(幸運にもそのエリアは小さかったけど)、少年ジャンルのかなりの量を見逃したかもしれない。
それでも、なんとか一般ジャンルのほぼ全てのサークルを廻ることが出来た。
結局、計画していたよりも遥かにお金はかからなかった。(少量のイラスト本とイラストだ)
でも、これは僕の初体験であり、次に参加する時はもっと沢山手に入れるつもりだ。
ここで僕が入手したサークルの作品を紹介しよう。
これらが手に入れた全てではない事を断っておく。





僕の個人的な感想と最終的な印象を完全に書き記すにはおそらく別の記事が必要だろう。
しかし、端的にいうなら僕はコミティアで間違いなく信じられないような時間を過ごし、今後のコミティアに参加するのが待ちきれない。
もう既に決めているんだ。
頭の中では2年に1度は日本に戻り、その度にこのコンベンションに参加するという計画を立てている。
コミティアは年に4回開催されているから、この計画はかなりの柔軟性を持たせることが出来そうだ。
先日行われた『コミティア95』でも何人か海外からの参加者を見かけました。
オール創作ジャンル、ということに敷居の高さを感じるかもしれないコミティアですが、実際のところ即売会に興味があるけど行った事が無い、という人にとって一番とっつきやすいイベントなんじゃないかと思っています。
ジャンルが多岐にわたっていて参加サークルが適度に多く、それでいて1日かければ全て廻りきれるほどの規模であり、入場料(カタログ代)も手ごろな値段で、当日も開始直前こそ行列が出来ているものの1時間もしないうちに並ばず入れる位の参加者数等、かなり参加しやすい要素が揃っているように思います。
なにより適度にまったりしつつ熱い、という心地いい雰囲気があります。
創作系のみ、コスプレ無しという縛りにもかかわらず年々規模が大きくなっているのもそういう空気のなせる業なのかもしれません。
管理人雑記:
コミティアの魅力、それはその場でしか手に入れることが出来ない、ということ。
コミケの創作ジャンルと雰囲気、内容は同じなのですが、コミケの場合あまりにも規模が大きすぎ、3日目は他にも廻るところが多すぎてほとんど見て廻れないので、創作系に絞った場合はやはりコミティアに行くのが一番かな、と。
(最近じゃコミケに行く体力が…)
最近は同人誌を取り扱っているお店で一般向け創作も置くようになってきましたが、それでもまだまだ会場でしか手に入らない、下手したらその回でしか手に入らないという物もあります。
コミティアに並んでいる作品はゴリゴリの娯楽作というよりも作家性を全面に押し出したものが多いので決して万人にお勧めできるとは言えないのですが、その分自分の好みにぴったり合った物を見つけたときの喜びもまた一入です。
という訳で、コミティアの宣伝も兼ねてコミティア95で管理人の買った物の中でも特にお気に入りの一部を。

作品紹介:
『ドローイング・バーサス・アンダースロー』:電撃大王で『GUN SLINGER GIRL』を連載中の相田裕による体育会系な生徒会を描いた青春物(今回はその設定集)
作者サイト:jewelbox
『蛇人間』『札幌の六畳一間』:チャンピオンで『現代怪奇絵巻』を連載していた根元尚の怪奇漫画と日記漫画
作者サイト:札幌の六畳一間
『ジャポニカ自由帳』:小坂俊史、重野なおきの合同誌
作者サイト(小坂俊史):新しい冷蔵庫
作者サイト(重野なおき):重野なおきのページ
『魔法少女は三十代』:三十路が魔法少女になってしまったというお話。
サークルサイト:サークル なしごれん のページ
『HORNED GIRL』:秋吉風鈴によるある日角が生えてしまった女子高生のお話。
『クラウディア航行記』:空に浮かんだ島々を渡る輸送船の日々を描いたSF作。
作者公認サイト:小さな幸せ研究所
しかしWikipediaには例年2月は参加者が少ないと書いてあるのだが今回はやたら人が多かった気が。
次回、コミティア96は5月5日(こどもの日)です。
興味深い記事ありがとうございます。
このレポート読んだ人の反応はどうだったんだろう。